「逃水」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「逃水」について
【表記】逃水
【読み方】にげみず
【ローマ字読み】nigemizu
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「に」で始まる春の季語
・「春の地理」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
逃水を含む俳句例
逃水に行止りなし雲の峰/仁平勝
北狐われら逃げ水に眠し/金子皆子
逃水のさきに父母そして兄/加藤朱
逃水を太平洋に追ひ落とす/河合清
逃水や重き鎖の雁の列/殿村莵絲子
逃水や砂漠に貝の化石売/石野冬青
逃水や道の片側田水鳴る/巌谷小波
逃げ水や子の運転の一直路/奈良文夫
逃水や天へ逃げゆく詩の影/仙田洋子
逃水やわが生涯の一句欲し/松本澄江
早退の子や逃水の上をゆく/中嶋鬼谷
逃水の逃げ果せけり日本海/熊谷静石
逃げ水や原子力発電所あり/五島高資
納骨にゆく逃げ水を追ひ続け/今井聖
逃水のごと燦燦と胃が痛む/佐藤鬼房
逃水や驢馬にて運ぶ壺の水/澤田緑生
逃水に入り車の解けてゆく/金子千侍
逃水や桃の向うに桃うかび/柿畑文生
逃げ水の中へ中へと郵便夫/鈴木蝶次
逃げ水の出発点は椿の木/櫛原希伊子
俳句例:21句目~
どの鳥もみな逃げ水に映らずに/北光星
吻けをして逃水を追うてをり/石原八束
団扇絵や野の逃水の一とこを/尾崎迷堂
逃水を追ひ貝塚に出遭ひけり/天休/翼
逃水を追ふや乳房は崖になり/櫂未知子
石蹴りし子は逃水のゆるる中/中村ふみ
逃水を追ふ逃水となりしかな/平井照敏
逃げ水のごと燦々と胃が痛む/佐藤鬼房
逃げ水の先に逃げ水父のくに/小林義治
逃げ水の水より現るる遍路笠/角川春樹
逃げ水の逃れきつたる日本海/有馬朗人
逃げ水も藺草のあをも秋の風/石川桂郎
逃げ水や人を恃みて旅つづく/巌谷小波
逃水の果て敦煌のありにけり/宇咲冬男
逃水の直路ビートの照り返し/高澤良一
逃水やゆきゆきてなほ石狩野/小川杜子
逃水や一途ときには疎ましき/田代民子
逃水や犬振り返り振りかへり/道川虹洋
時速六十逃水を追ひ旅はじまる/毛塚静枝
浮き世とや逃げ水に乗る霊柩車/原子公平
俳句例:41句目~
逃げ水の逃げゆく先や母の国/水野真由美
逃げ水や浜にんにくの幾砂丘/佐藤南山寺
逃水や亡き人いつもうしろむき/本多静江
逃げ水の行方の麦の穂立つなり/岡本歩城
逃水や斜里岳とろけ出しにけり/高澤良一
逃水や明日には明日の詩がある/仙田洋子
逃水や武蔵の国といま言はず/黒坂紫陽子
逃げ水やつひの日まで妻として/須賀一恵
逃水や追はぬつもりの影を追ふ/佐藤浪子
逃水や子の助手席にゐてねむし/矢島房利
逃げて逃げて逃水となる兎かな/中井黄燕
追へば消え追はねば盆の逃水よ/吉田紫乃
追ひかけてをれば逃水現はるる/佐藤秋水
逃げ水の逃げ切る高速道の果/相河美智子
途方あり逃水を追ふばかりにて/齋藤美規
自転車で過ぐ逃げ水を見しあたり/辻美奈子
逃水の消えたる宙にルドンの目/佐怒賀正美
逃げ水や麦はみどりの畝つめて/岡本まち子
逃げ水の果てに補陀落ありにけり/角川春樹
逃げ水のあときれぎれに喪の家族/渡辺純枝
俳句例:61句目~
逃水をいつか本気で追ひゐたり/猪俣千代子
逃げ水の野にタンク車を突き放す/内田牧人
逃げ水の逃げどころなき水の郷/黒坂紫陽子
逃げ水やわが生きざまの継ぎはぎに/長山遠志
逃げ水の逃ぐるを追ひてわが五十路/鷹羽狩行
逃げ水のなだれて海へ落ちにけり/島田たみ子
逃げ水の輝くさなか揺らぎつつこの世の夏をパレードが来る/谷岡亜紀