俳句例:101句目～
葱坊主時代の外に佇ってをり/高澤良一
葱坊主海山を恋ひ揺れあへり/村越化石
葱坊主犬は真つ赤な口あけて/岸本尚毅
葱坊主猪首鶴首ありにけり/向久保貞文
葱坊主発射の仕掛ありさうな/小島正女
葱坊主見てゐて人に遅れけり/江藤都月
葱坊主越しに伝はる噂かな/波多野爽波
葱坊主風にひとりで遊ぶらし/村越化石
五十より始むる起算葱の花/磯貝碧蹄館
尼寺のあれやこれやの葱の花/柿本多映
虻忙し世の中忙し葱坊主/山内/年日子
あちこちにふえし才女や葱坊主/藤田湘子
葱坊主すでに妖気の絡み合ふ/百合山羽公
おのづからある大小や葱坊主/増田手古奈
かなしくて笑ひたくなる葱坊主/山本馬句
かなしみも余裕の一つ葱坊主/大木あまり
じやんけんの石より大き葱坊主/斉木永久
すぐと言ふ道の遠さよ葱坊主/丸田余志子
葱坊主吹かるる方ヘヘんろみち/羽部洞然
蜑が戸や浪もひゞかず葱の花/楠目橙黄子
俳句例:121句目～
葱坊主さびしき故にわが愛す/吉川千代子
葱坊主ひとの情事は見て見ぬふり/安住敦
葱坊主皮を被りてゐたりけり/佐々木六戈
蝶の来て葱の坊主の何ともな/深川正一郎
葱坊主あるじ疎まれゐたりけリ/山口草堂
耐へてきて葱坊主打ち打ち帰る/中村苑子
筒袖のミノカサカラカサ葱坊主/田口一穂
葱坊主子が子を産めば孫なりけり/安住敦
童女泣きやすし夕日の葱坊主/柴田白葉女
疲れどつと夕日のなかの葱坊主/南部憲吉
ふくれゐし童女が笑ふ葱坊主/加藤知世子
葱坊主子が賞状をかぶりくる/加藤知世子
母逝きて泣き場所が無し葱坊主/今瀬剛一
葱坊主雨降ればまたさむくなる/大野林火
葱坊主どこをふり向きても故郷/寺山修司
葱坊主鼻緒の切れし下駄さげて/石川文子
薄暑なり葱坊主見てせうべんす/日野草城
板前となりし吾が子や葱坊主/牛山一庭人
遺されて一人足らざる葱坊主/佐々木六戈
球体を出でゆく死者と葱坊主/増田まさみ
俳句例:141句目～
葱坊主何みる農婦の大きな眼/柴田白葉女
雇はれてゐる気安さや葱坊主/吉田/麗子
月の夜は朱儒の来てゐる葱坊主/浅沼艸月
頭を寄せて風の私語聞く葱坊主/松本幹雄
風呂敷をはたけば四角葱坊主/波多野爽波
葱坊主どこから見ても後向き/小檜山繁子
たちむかふ山脉あはれ葱の花/林田紀音天
だんだんに人を忘れし葱の花/佐々木六戈
晴れわたる五億年後の葱坊主/津沢マサ子
葱坊主子を育てては嫁にやり/成瀬櫻桃子
是非もなき丈比べなり葱坊主/小泉八重子
擢んづる者みな婆娑羅葱坊主/佐々木六戈
夜が明けて釣人のゐし水葱の花/志賀青研
念佛の漏れてくるなり葱坊主/佐々木六戈
広き居をじだらくに住み葱坊主/山本馬句
味噌蔵に消ゆるちちはは葱坊主/佐川広治
もとどりを少搓ほどよる葱坊主/栗生純夫
葱の坊主褐の薄ぎぬ着てゐたり/松瀬青々
葱坊主気弱な坊主出てゆけり/鈴木八駛郎
葱の花の天ぷらのいろ喪の家族/小高沙羅
俳句例:161句目～
をととひのつくづく遠し葱坊主/甘田正翠
葱の花少しひもじき日昏れ刻/鈴木真砂女
うらやましきまでにぼろぼろ葱坊主/原田喬
葱坊主にわづか足らざる吾子の丈/中野美保
葱坊主いつしか意地を折りゐたり/三好潤子
降り暮るる石垣のもと葱坊主/阿部みどり女
書くうちに覚悟となりぬ葱坊主/宇多喜代子
葱の花そしらぬ顔に蝶とびし/藤島/きぬゑ
年寄りのひとつぱしりや葱坊主/小島千架子
葱坊主ジヤンケンすれば石ばかり/今泉貞鳳
葱坊主沖を見るくせが治らない/野間口千佳
四十以後の自嘲烏滸なれ葱坊主/中村草田男
葱坊主はじけんばかり夜へつづく/佐藤鬼房
生きる意味しんしん説けり葱の花/鈴木節子
時差呆けのまなこからかふ葱坊主/仙田洋子
掃き拭きの済みし手さみし葱坊主/岡田和子
泊ることにしてふるさとの葱坊主/種田山頭火
陽を得て睦めよ鍼医の杖と葱坊主/磯貝碧蹄館
抜きんでるものみな婆娑羅葱坊主/佐々木六戈
みなちがふ雲を見てゐる葱坊主/なかのまさこ
俳句例:181句目～
道ばたの葱の坊主ですたすた旅ゆく/大橋裸木
信濃夕冷え葱坊主どもふるへあがる/藤岡筑邨
葱の坊主に自動車待ちて手をあぐる/長谷川かな女
葱坊主にしとしと夕雨の温泉の窓から首出す/大橋裸木
