「夏の空」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「夏の空」について
【表記】夏の空
【読み方】なつのそら
【ローマ字読み】natsunosora
子季語・関連季語・傍題・類語など
・夏空(なつぞら:natsuzora)
・夏の天(なつのてん:natsunoten)
・夏天(かてん:katen)
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季節による分類
・「な」で始まる夏の季語
・「夏の天文」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
夏の空を含む俳句例
夏空の冷え透明ぞ岳鴉/有働亨
新しき色氷塊と真夏空/飯田龍太
夏空の下美しき故山あり/上村占
薬師寺の新しき塔夏の空/星野椿
日も月も大雪渓の真夏空/飯田蛇笏
太平洋側は夏空嘘のやう/高澤良一
夏空のいよ~遠し鹿湯越/前田普羅
夏空の一滴蒼く氷河透く/仙田洋子
肛門を今蔵いけり夏の空/永田耕衣
浦上や瓦礫炎夏の空の波/石原八束
山一つ山二つ三つ夏空/中塚一碧樓
白きもの干して広さよ夏の空/篠原
夏空が秋空となる刻に音/鳴戸奈菜
夏の空青い間宮海峡がある/田中芥子
夏空に地の量感あらがへり/飯田蛇笏
積まれたる石の放熱夏空に/高澤良一
吹きあがる蜂の嗔りが夏空へ/中田剛
夏空の真中思へり寝返りぬ/櫻井博道
風狂が育ちてゐたり夏の天/加藤明虫
夏天より兵力輸送船の銅鑼/片山桃史
俳句例:21句目~
夏空へ雲のらくがき奔放に/富安風生
病む夏の空とはべつの空眺め/澁谷道
かの地層河より立ちて夏空に/桂樟蹊子
翼打つ音のばっさり夏空より/高澤良一
銃眼に更けては狙ふ夏天の星/横山白虹
鳩の歩の夏空までは遠きかな/安東次男
お山樹のゆらぎ雲ゆく夏の空/臼田亜浪
住持まで払ひ果てけり夏の空/服部嵐雪
夏の空やはらかき蔓あそびゐる/中田剛
大き木の光りいさまし夏の空/安藤甦浪
大杉のまた生む鳶や夏の空/佐々木冬青
紅き海名のみにすぎぬ夏の空/横光利一
夏天翔ぶ何かを街に置き忘れ/横山白虹
夏天翔ぶ眼下の街に数日居し/横山白虹
夏天邃し人間にふと死の希ひ/内藤吐天
夏空に妻子描かん雲もなし/栗林一石路
夏空に聖き炎あぐる塔二つ/下村ひろし
夏空に記憶の一樹家郷を去る/大井雅人
夏空やポプラは遠くでもわかる/上村占
夏空や旗あげし処国府台/長谷川かな女
俳句例:41句目~
鉄骨やいくさの後の夏の天/榎本冬一郎
尺蠖や夏天の雲のうごくなし/加藤楸邨
支ふべし夏空のまた砕けなば/橋本榮治
樹齢五百年夏空を割りて立つ/辻美奈子
夏空読むか学の眼鏡に緑映え/香西照雄
わが浴むたくましき身に夏の空/飯田蛇笏
夏の空より日の丸降ろす少年よ/鈴木伸一
夏空の羅馬やいのち惜しみ来し/小池文子
一夏天たゞに咳ひゞかせしのみ/斎藤空華
不動明王夏空かすめゆくものなし/中田剛
仰のくや夏空落ちん瀧の直グ/松根東洋城
傷悼の電車待つこゝろ夏天の松/石田波郷
動くもの一夏天のみさるをがせ/加藤楸邨
夏天ちかく放ち飼はれし馬の艶/大野林火
夏空や水中に建つモニュメント/橋本良子
死の夏天驢馬に愚かな縞ありぬ/片山桃史
夏空や廃れて高き煙出し/吉武月二郎句集
夏空や何かなしうてからすうり/田中裕明
夏空を航くに何にも鍵かけず/加倉井秋を
夏空といふ宙りすの尾のそよぎ/加藤耕子
俳句例:61句目~
死に消えてひろごる君や夏の空/三橋敏雄
原初斯く陽の昇りしや夏天の緋/村田治男
夏空が救ひのやうにある日なり/高澤良一
夏空があつまつてこの嬰児の瞳/平井照敏
夏天澄むを何か愉しく端坐せる/内藤吐天
夏天ゆ一機遠き妻子に雲泛ぶ/石橋辰之助
雲は王冠詩をたづねゆく夏の空/仙田洋子
パントマイム天使の輪っか夏空に/高澤良一
夏空馳すアンパンマンは強かりき/高澤良一
灯を消せばすなはち在りぬ夏の空/林原耒井
伐りごろの杉そそり立つ夏の空/福田甲子雄
ボヱームの人さし指に夏の空/長谷川かな女
空き罐がいつか見ていた夏の空/津沢マサ子
夏の空どこへ落ちても草の群れ/高桑婦美子
夏空透くドーム雀のこゑつづり/金尾梅の門
胸の上を夏天のもなかと誰も信ず/斎藤空華
夏天まで遊佐の砂丘といふならむ/吉田紫乃
子の瞳の中の吾も夏空も永久なれよ/香西照雄
シートベルトかちゃりと締めて夏空へ/高澤良一
さだかに夏空音さし交いに砂利を練る/古沢太穂
俳句例:81句目~
遠い日の零戦の影だと老人のいう/烏異常に太る都心の夏空/梓志乃