「夏の星」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「夏の星」について
【表記】夏の星
【読み方】なつのほし
【ローマ字読み】natsunohoshi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・星涼し(ほしすずし:hoshisuzushi)
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季節による分類
・「な」で始まる夏の季語
・「夏の天文」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
夏の星を含む俳句例
鉢の子や国上に勁き旱星/原裕
旱星教会裏は曠野めき/三谷昭
旱星流木は山忘れざる/大庭紫逢
旱星百姓強き酒に酔ふ/長井哀耳
ふるさとや豊年星の旱星/有働亨
団交のあとを残業旱星/亀井糸游
面舵に船傾きて星涼し/高浜虚子
旱星神の水甕手窪ほど/佐藤火星
水使ふ音の夜更けて旱星/内藤吐天
水ゆれて猫の渡りし旱星/柚木紀子
行軍や古沼に夏の星一つ/相馬遷子
人形に生死の無くて旱星/永井純子
光年の時差の煌き星涼し/藤浦昭代
夏星よ黒猫百歳の耳立て/金子皆子
星涼し光となりて飛びにし代/林翔
月蝕の闇引き緊まる旱星/熊田鹿石
男泣く外科病棟の旱星/伊丹三樹彦
耳掻購い帰る東京の旱星/赤尾兜子
草の香を強く感じて旱星/如月真菜
力なき木々に力の旱星/永田耕一郎
俳句例:21句目~
星涼し青竹踏みの土不踏/村本畔秀
鬱々と潮は満ちをり旱星/下村ひろし
夏の星すゞろ篠笛吹く異人/中島月笠
旱星祈られ疲れの主は一人/池田澄子
草枕の我にこぼれぬ夏の星/正岡子規
夏星に海も日暮れの音展く/飯田龍太
梅雨の星齢といふも茫々と/廣瀬直人
木星の水と出会いの旱星/畠山あさみ
星涼し遊歩甲板の籐椅子に/岸風三楼
夏星のやう夫恋の火を胸に/仙田洋子
旱星積みたる漁網匂ひけり/植竹京子
星涼し川一面に突刺さり/野見山朱鳥
夏星や草木に人の息かかり/飯島晴子
旱星集へば踊るジプシーは/吉野義子
旱星食器を鳴らす犬と石/秋元不死男
屋根明るむUFOでなく旱星/安西篤
旱星われを罵るすなはち妻/西東三鬼
犬楠の木は石より堅し旱星/古舘曹人
狐憑き診て戻る夜の旱星/武井ひろ子
閨を出でて限に春の星涼し/会津八一
俳句例:41句目~
星涼しく白樺も闇たのしめり/宮津昭彦
星涼し夜は夜の面の龍馬像/つじ加代子
星涼し昼は黒砂に雲母賞でぬ/香西照雄
アラビヤの空を我ゆく夏の星/星野立子
嘴あらば銜へむ夏の星赤し/正木ゆう子
夏の星近き幹みな濡れてをり/桜井博道
畑から背負つて戻る梅雨の星/小出秋光
疲れ寝のてのひらを抜け旱星/桜井博道
カフェテラスの白き装ひ星涼し/大谷茂
夏星の座の組み変はる青氷河/小澤克己
水底の石にこもりし梅雨の星/伊藤敬子
酔うて寝る破片ばかりの旱星/上原勝子
夜泣き子の深き眠りへ旱星/三浦加代子
女立たせてゆまるや赤き旱星/西東三鬼
降ろされし帆の匂ひけり旱星/藺草慶子
星涼しうたごゑ流れくる川原/穴澤光江
エチュードの後のしじまの旱星/高橋修宏
夏の星きよらに光り寝そろひぬ/片桐苣女
父祖の地に入りて微塵の星涼し/橋本榮治
星涼しニューヨーク行パリー行/山本歩禅
俳句例:61句目~
星涼し吾子賜はぬも神の意か/水田むつみ
星涼しみよしのの坊灯をもらす/下村梅子
星涼し寝るを惜みて立つ門に/星野麦丘人
夏星や少女ひそかに初潮来る/沖田佐久子
身のうちの虚空に懸かる旱星/大道寺将司
星涼し樅のふれあふ音かさね/星野麦丘人
金星すでにただの夏星先駆者よ/香西照雄
星涼し謡の声のをとこをみな/猪俣千代子
星涼し遠い日本の見えそうな/シヨー麗子
ひとところ密雲洩るる梅雨の星/道部臥牛
蓼科の夜はしんしんと星涼し/鳥羽とほる
夏の星の顔なつかしも暮れかゝる/上島鬼貫
牛飼星涼し人に後るゝばかりにて/小林康治
星涼しアンデルセンの童話など/星野麥丘人
夏星のひとつを吾れの胆とせる/和田耕三郎
むささびや杉にともれる梅雨の星/水原秋櫻子
夏星一顆母の笊よりこぼれ落ちむ/磯貝碧蹄館
電報の文字は「ユルセヨ」梅雨の星/西東三鬼
夏星などよく知れる夫なりき愛したり/玖保律子
星涼しユダヤかたぎのはなし好き/久保田万太郎
俳句例:81句目~
水際ゆいてしんみりさむし夏の星/飛鳥田れい無公
跳ねたる夏星赤毛の赤ン坊漁夫が抱く/磯貝碧蹄館