「夏蜜柑」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「夏蜜柑」について
【表記】夏蜜柑
【読み方】なつみかん
【ローマ字読み】natsumikan
子季語・関連季語・傍題・類語など
・夏橙(なつだい:natsudai)
・夏柑(なつかん:natsukan)
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季節による分類
・「な」で始まる夏の季語
・「夏の植物」を表す季語
・「初夏」に分類される季語
月ごとの分類
夏蜜柑を含む俳句例
姉若く妹老いぬ夏蜜柑/小澤實
海渡りたし爪深く夏蜜柑/中拓夫
夏蜜柑一皮一皮渓流へ/右城暮石
夏蜜柑人親切に空青く/京極杞陽
欠航の風の苦しき夏蜜柑/和知喜八
満山の仏とあそぶ夏蜜柑/加藤楸邨
夏柑の徴動だもなし年酒享く/原裕
黒汐の海夏蜜柑落果して/右城暮石
花匂う枝を撓めて夏蜜柑/和知喜八
割る時の親指太し夏蜜柑/今瀬剛一
山吹の返り咲あり夏蜜柑/子規句集
蟇交る一夜あまたの夏柑落つ/中拓夫
渋滞の車窓より買ふ夏蜜柑/飯田弘子
滝の前深く刃入れる夏蜜柑/沢木欣一
遺言の真ん中にある夏蜜柑/久保純夫
墓石に映つてゐるは夏蜜柑/岸本尚毅
ラテン語の風格にして夏蜜柑/橋間石
一つ年とつて雪降る夏蜜柑/和知喜八
夏柑の不器量青空市晴れて/高井北杜
夏柑の皮浮く島に接岸す/稲垣きくの
俳句例:21句目~
枯草山夏柑は色ととのへて/松村蒼石
夏みかんもぐや瞬く海の星/西村和子
妻の顔夏蜜柑剥くはや酸かり/森澄雄
夏蜜柑夫とわかちて海眩し/岡村月子
夏みかん良寛ここに発心す/高澤良一
夏蜜柑肝臓燃ゆる口に合ふ/相馬遷子
夏蜜柑海鳥こゑをかさねあふ/風間淑
夏蜜柑むき緑陰は二人のもの/富安風生
夏蜜柑やや歪む妻も健康に/榎本冬一郎
日に一つ食ふ夏蜜柑麦黄ばむ/皆川白陀
息みたし夏蜜柑ほど漲るまで/宮津昭彦
山荘のとなりの部屋に夏蜜柑/和知喜八
トンネルの口ある山の夏蜜柑/和知喜八
夏蜜柑たべて水勢あたらしき/和知喜八
夏蜜柑熟るゝに花も匂ひけり/佐藤瑠璃
海女の目や額に影して夏蜜柑/石田波郷
夏蜜柑を買ひ子供の手に触れ/小澤碧童
夏蜜柑みのる木蔭に父祖の墓/吉屋信子
夏蜜柑鈴成りの山汽車くゞる/右城暮石
夏みかん骸となりて匂ひけり/日野草城
俳句例:41句目~
爪深く立てても女夏みかん/藤田津義子
老友と居れば幼名夏みかん/百合山羽公
夏蜜柑月のごとくにぶらさがり/上野泰
若者の愛語さらりと夏みかん/岡田和子
夏帽に二つ買ひけり夏蜜柑/岡本癖三酔
夏みかん土塀に溢れ城下町/北里/千寿
夏蜜柑いづこも遠く思はるゝ/永田耕衣
嫁ぐ子と野に坐しわかつ夏蜜柑/及川貞
夏蜜柑海の彼方は窶れたり/宇多喜代子
夏蜜柑年々鈍くなり行けり/相生垣瓜人
海を恋ふ夜の帳簿に夏柑のせ/桜井博道
夏蜜柑剥く大富士を前にして/七田千代子
読みかけの書に夏蜜柑酸跳ばす/津田清子
夏蜜柑肩にあたるをもがんとす/前田普羅
外道井のほとり明るし夏蜜柑/下村ひろし
夜に剥いてさびしさ添へり夏蜜柑/森澄雄
婚約の頃も酸かりき夏みかん/山口波津女
楽しき世来るか夏蜜柑子と頒ち/内藤吐天
沖見るは女を待つ眼夏みかん/長谷川秋子
没日いま夏蜜柑いろ硝子はこぶ/桜井博道
俳句例:61句目~
こだまする樹海わが掌に夏蜜柑/村越化石
ころびたる児に遠ころげ夏蜜柑/皆吉爽雨
壱岐のせて波のかがやく夏蜜柑/野中亮介
夏みかん夜更けて稿を起しけり/関戸靖子
夏みかん手に海を見る場所探す/細見綾子
夏みかん爪立てられて匂ひけり/西村和子
夏みかん皮の黄浮かべ運河の朝/古沢太穂
眉に力あつめて剥けり夏蜜柑/八木林之介
素盞嗚の緋の川上の夏蜜柑/うさみとしお
夏みかん目にとぶつゆの五月かな/龍岡晋
夏みかん諏訪の訛をきみもいう/古沢太穂
夏蜜柑こころ披きてもの言へず/根岸善雄
夏蜜柑ざつくり剥きて旅たのし/桂/啓ヂ
雨意山に葉がくれのこる夏蜜柑/福田蓼汀
夏蜜柑すすり明日より何せむや/岸風三樓
夏蜜柑つぎつぎ黴びて空光る/福田甲子雄
夏蜜柑の種子あつむれば薄緑/川島彷徨子
夏蜜柑へ頬もたれゐて疲れかな/中山純子
夏蜜柑むきをる顔のすつぱさよ/唐笠何蝶
夏蜜柑よく吸ひし子の四肢匂ふ/渡邊水巴
俳句例:81句目~
夏蜜柑一つうしろ手に行く支那人/京極杞陽
夏蜜柑のすつぱきことを海に告ぐ/櫂未知子
温泉疲れや老の分けあふ夏蜜柑/合田丁字路
夏みかん灯虫もほのと来初めけり/中村汀女
夏みかん手に重し林芙美子の忌/成瀬桜桃子
吾子危篤夏蜜柑すでに町になし/川島彷徨子
今日も来る耶蘇のすすめや夏蜜柑/岩田由美
夏蜜柑の二ふくろ三ふくろゆきわたり/篠原
夏みかん酸ゆくわが家は昼も暗き/森川暁水
夏柑のけむりをあげて踏まれたる/宮坂静生
うべなはず夏蜜柑より皮剥がす/篠田悌二郎
夏みかん若もの夢をいだきそめ/篠田悌二郎
大夏柑むさぼりし息をつぎにけり/石田波郷
木の夏柑むすこむすめも婚期きて/和知喜八
夏蜜柑女子クラス乗せ帰る汽車/秋元不死男
夏みかん生らせっ放し帰らぬ父/八木原祐計
父の日の夏柑湯など浴びにけり/百合山羽公
夫に手を見られてむける夏みかん/山口波津女
夏蜜柑かかへて夜汽車にのるんだ/栗林一石路
夏みかん剥いて睡気を覚ましけり/田村かず子