「業平忌」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「業平忌」について
【表記】業平忌
【読み方】なりひらき
【ローマ字読み】narihiraki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・在五忌(ざいごき:zaigoki)
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季節による分類
・「な」で始まる夏の季語
・「夏の行事」を表す季語
・「仲夏」に分類される季語
月ごとの分類
業平忌を含む俳句例
情淡く熱淡く老い業平忌/林翔
男享年五十六業平忌/川崎展宏
水うまき夕を在五中将忌/上村占
遺されし男友達業平忌/山田弘子
扇もて西日さへぎる業平忌/森澄雄
打興ず男女の声や業平忌/野村泊月
青簾かけたり此日業平忌/増田龍雨
造りもの井筒に芒業平忌/井上格志
聳え立つ恋の峠や業平忌/京極杞陽
海道に籬し居りて業平忌/後藤夜半
業平忌少女のすなる男役/井上皆子
男にも云へぬ一行業平忌/田中水桜
一と所画く八つ橋業平忌/後藤夜半
在五忌の伝業平の山の墓/茨木和生
老人にきし在五忌の女客/中西夕紀
在五忌の伝業平の山の墓/茨木和生
湯上りの軽き立膝業平忌/藤田郁子
業平忌女は怨み易きかな/加藤三七子
業平忌修しごころの草笛か/大橋敦子
傘の内顔のぞかるる業平忌/大石悦子
俳句例:21句目~
夕ベより集ふ文の徒業平忌/山田弘子
業平忌かもめの声の潮さび/永方裕子
大方は哀れをうたひ業平忌/清水基吉
寝て脱げる靴下長し業平忌/緋乃道子
つひにゆく心余りて業平忌/川崎展宏
干傘の飛びころげたり業平忌/辻桃子
水音のどこから夢の業平忌/寺井谷子
温習の老妓ばかりや業平忌/河野静雲
山寺に絵像かけたり業平忌/高濱虚子
わが好きな井筒の謡業平忌/吉井莫生
深山蝶青しるく舞ふ業平忌/山田弘子
山杯にしろり明けたり業平忌/加藤郁乎
沢の蟹ほのぼの紅し業平忌/神尾久美子
業平忌水辺の言葉水に消え/上田五千石
人を待つ時のしづかに業平忌/岩田由美
業平忌きのふと過ぎし講義かな/森田峠
一つ咲く菖蒲を剪りぬ業平忌/富安風生
業平忌赤き蒲団のほされけり/高柳重信
東路にけふは業平忌なりけり/下村梅子
老残のこと伝はらず業平忌/能村登四郎
俳句例:41句目~
みちのくの信夫の高湯業平忌/遠藤梧逸
たそがれの水紋に痴れ業平忌/大庭紫逢
小町忌のなき淋しさや業平忌/野村喜舟
野あやめは指貫のいろ業平忌/村上光子
歩かぬは流離より憂し業平忌/花田春兆
御像をけはひまゐらせ業平忌/河村宰秀
在五忌を昨日に水無き橋渡る/佐野美智
文机に書措かず在五中将忌/阿波野青畝
母と居れば君来ましけり業平忌/松古堂
三河女と早苗取ろうよ業平忌/松本たかし
佐保路ゆく身に旅塵なし業平忌/井沢正江
夜を光る水ひたひたと業平忌/小松崎爽青
牡丹の荒れまく惜しき業平忌/相生垣瓜人
山寺のはなやぐ一と日業平忌/田畑美穂女
抜き捨てし草もさみどり業平忌/茨木和生
老女ともなりゆくわが身業平忌/下村梅子
日の本の男の子かなしも業平忌/三橋鷹女
業平忌あつものの蓋の露しとど/高橋睦郎
草庵にひろごる蝌蚪や業平忌/水原秋桜子
業平忌おりたつ池に杜若咲く/高橋淡路女
俳句例:61句目~
イヤリング失くして戻る業平忌/黛まどか
業平忌きれずわかれず書を典ず/加藤郁乎
業平忌男もすなるピアスかな/居田小夜子
あぢさゐに茜濃くなる業平忌/柴田白葉女
在五忌のゆかりの寺を訪ねけり/近藤明子
うきぐさの花のあはれや業平忌/奈良鹿郎
ご先祖に会つたことなし業平忌/桑原三郎
われもまた三河をみなや業平忌/伊藤萩絵
消えさうに月の繊さよ業平忌/小松崎爽青
族の夢に貌のあまたや業平忌/鍵和田ゆう子
業平忌左遷といふ語いまもなほ/あかぎ倦鳥
早苗田にあやめ立ち添ふ業平忌/松本たかし
業平忌何時なりしかとたかし忌に/成瀬正とし
断髪のえりあし青し業平忌/日野草城「青芝」
座布団を折りて枕や業平忌/上野一孝「萬里」
夢に来し男は誰ぞ業平忌/関口ふさの「晩晴」
業平忌老いの声音のさわやかに/久保田万太郎
貝に描かれたる業平の忌なりけり/加倉井秋を
流れ藻のからみからまる業平忌/橋間石「和栲」
業平忌萱草の雨もこの日より/岡井省二「鹿野」
俳句例:81句目~
さざなみの鳰の細り音業平忌/秋山幹生「春容」
業平忌いまも浅間にけむり立ち/藤岡筑邨「蒼滴集
フランソワーズモレシヤンと居る業平忌/千原草之