俳句例:101句目～
七草の供華の芒はゆれ易し/深見けん二
七草の笊躍らせてすすぎけり/重松里人
七草の箸を落して泣きにけり/川崎展宏
七草の粥の米磨ぐひとにぎり/朝倉和江
七草の粥ふつくらと父は亡し/津田仙子
七草やつれにかえ合ふ草もあり/千代尼
七草や似つかぬ草も打まじり/松藤夏山
七草や余所の聞へもあまり下手/炭太祇
七草や雨にくろずむ松ぼくり/小川軽舟
七草洗ふ指ひら～と茜さす/金田あさ子
七草粥とて病む父に食強ふる/毛塚静枝
七草粥に能登塩田の塩ちらす/細見綾子
あかんぼの七種爪もつみにけり/飴山實
七草粥匙もて祝ふみどり子は/大熊輝一
七草粥吹いて昭和を送りけり/三嶋隆英
七種のどれも濃みどり粥の中/上田芳子
七種の三つがそろひて粥炊くも/谷迪子
七種の薺は鉢を溢れけり/長谷川かな女
七種や跡にうかるゝ朝がらす/榎本其角
寄植の春の七草老いにけり/大場白水郎
俳句例:121句目～
島巡りの旅に七草過ぎにけり/吉田冬葉
七種や似つかぬ草も打まじり/松藤夏山
七種や唱哥ふくめる口のうち/立花北枝
提げてゆく七草籠やお年玉/高橋淡路女
七種や少女墓の火焚き捨てに/宮坂静生
七種や故郷遠からず近からず/中村苑子
七種や暮れても青き空のこる/水野柿葉
母のこゑ足して七草揃ひけり/あざ蓉子
七種や石屋を過ぎる弟子一人/斉藤夏風
浅みどり春七草の小籠かな/高橋淡路女
海苔芳し七草過ぎの朝の膳/下村ひろし
七種を祝へば散つてゆく家族/稲畑汀子
病む夫の七草爪をとばしけり/向笠和子
人生長し七種籠の長柄ほど/加倉井秋を
寂けさの七種爪を剪りてのち/黒田杏子
小原女の今日は七種のみの籠/西村旅翠
雪を被て春の七草名札のみ/大橋櫻坡子
惟然も亦七種摘みけむ七器山/高澤良一
飛ばしけり七草爪の大なるを/綾部仁喜
七種を摘む間に昭和終らむと/小泉八重子
俳句例:141句目～
獅子舞も七草過ぎのすがたかな/増田龍雨
七草の朝湯あとから利いてくる/高澤良一
七種やをみなに水と火の時間/加倉井秋を
七種の爪を飛ばして終るかな/秋山巳之流
七草の染野の土橋をわたりけり/大石悦子
七種の文書きなほし書きなほし/田中裕明
七種の富士はすずしろ色をして/高澤良一
七種の四いろがほどは庭うちに/原田且鹿
七種のはじめの芹ぞめでたけれ/高野素十
七種のそろはずとてもいわゐ哉/加舎白雄
七種と選ばれ畦に摘まれけり/大谷ユキヨ
七種のはじめの芹ぞめでたけれ/高野素十
七種を母の如くにたゝきけれ/平山/愛子
七種調す吾れも唐土の鳥知らず/坂内霞城
七草籠土をこぼしてかなしけれ/石田波郷
七草籠子なき夫婦の声は似て/瀬戸内寂聴
七草籠稚なき野の香寄せ合ひて/山崎秀子
七草のほか干からびてゐる厨/山本多河史
苞とけば七草の菜の青ひらく/能村登四郎
野べの石七草すべて寄り添へる/久米正雄
俳句例:161句目～
七草粥メニューに加ヘスキー宿/高橋悦男
あをあをと春七草の売れのこり/高野素十
七種囃す父の地声のしづかな夜/太田鴻村
みどりごも七草爪といふことを/西村和子
たとへばや春の七草枯園に/久保田万太郎
七草の粥まにあはず息絶えし/瀧澤伊代次
あたたかな日の及びゐる七草籠/茂里正治
七草粥忘られしころ癒えてゐむ/村越化石
月もまた七種いろに出でしかな/田中裕明
何添へむ七草揃へまださみし/上西左兌子
寝間に聞く七草打つは我家なり/藤田耕雪
七草のはじめの芹ぞめでたけれ/高野素十
七草の雨夜生まれてゐる子供/遅沢いづみ
七草やあまれどたらぬものも有り/千代尼
擂粉木もありて七種囃しけり/後藤比奈夫
しきたりの七草爪もとりしこと/下田実花
七草や信夫の田ごと影をなす/中田桜公子
七草やなくてぞ数のなつかしき/松岡青蘿
七草やアルトリコーダーたどたど/辻桃子
七草や目を真直ぐにほとけあふぐ/中山純子
俳句例:181句目～
七種の過ぎたる加賀に遊びけり/深見けん二
七草を買ふならはしのふとかなし/朝倉和子
七草の数をひもとくやうに解き/上田日差子
七草やからりと風呂屋戸を開き/本庄登志彦
今日ざらめ津軽七種の雪降るてふ/田中英子
死なざれば塩利きし七草粥少し/猿橋統流子
見るのみの芽の七種のとほき名よ/野澤節子
杓子動かぬ七種粥を恐れけり/長谷川かな女
七種爪ベランダは陽にあふれをり/平井洋城
母の膝のぬくさ今なほ七草爪/長谷川かな女
七草の根のほそほそと混み合へり/正木ゆう子
みほとけに七種粥の灯を上ぐる/中川/みさえ
七種粥ははがりの塩ひとつまみ/長谷川久々子
正月ももう七種のなぎさの貝がら/荻原井泉水
七草の雨あたゝかや伊豆を発つ/久保田万太郎
七草粥冷えそめたるはあはれかな/きくちつねこ
一度に粥の中に落し七草廣がる/著森遺稿集/貴志著森
七草や何をちなみに仏の座/江戸-路通/元禄百人一句
