「七種」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「七種」について
【表記】七種
【読み方】ななくさ
【ローマ字読み】nanakusa
子季語・関連季語・傍題・類語など
・七草粥(ななくさがゆ:nanakusagayu)
・七日粥(なのかがゆ:nanokagayu)
・七種はやす(ななくさはやす:nanakusahayasu)
・薺はやす(なずなはやす:nazunahayasu)
・七種打(ななくさうち:nanakusauchi)
・薺打(なずなうち:nazunauchi)
・薺の拍子(なずなのひょうし:nazunanohyoshi)
・宵薺(よいなずな:yoinazuna)
・若菜迎え(わかなむかえ:wakanamukae)
・叩き菜(たたきな:tatakina)
・七所祝(ななとこいわい:nanatokoiwai)
・七雑炊(ななぞうすい:nanazosui)
・七種貰い(ななくさもらい:nanakusamorai)
・二薺(ふたなずな:futanazuna)
・七種売(ななくさうり:nanakusauri)
・若菜売(わかなうり:wakanauri)
・薺売(なずなうり:nazunauri)
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季節による分類
・「な」で始まる新年の季語
・「新年の行事」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
七種を含む俳句例
七種や今を昔の粥の味/鴻村
七種や女ぞろひの孫曾孫/梧逸
七種の花の夜あけや渡鳥/ため
七種や謡本手にお隣りへ/つる女
七種や明けぬに婿の枕もと/其角
七種の薺神饌田に摘む/皆川東水
七草をきざむ俎新しく/谷田好子
七種や粧ひしかけて切刻み/野坡
七種の夜を根深煎る隣あり/也有
海鳴りへ七種を打つ音加ふ/柏禎
行燈に七種はやす手暗がり/句仏
七草や神も蓬が島あそび/白/尼
七草や派手な暮しも芝居もの/勇
七草や女夫めをとに孫女夫/野坡
七草や兄弟の子の起そろひ/太祇
七草やけふ一色に仏の座/支/考
天暗く七種粥の煮ゆるなり/普羅
とけそめし七草粥の薺かな/立子
七草やあらしの底の人の声/麦水
中宮寺見えて七草摘み揃ふ/孝子
俳句例:21句目~
七種や沖より雨の強まり来/貞弘衛
七種や西も東も雪の山/大峯あきら
七草の雨夜トランプ睡くなる/鬼房
七日客七種粥の残りなど/高浜虚子
七種やもう編笠の人通り/浜田酒堂
七草や母の丈こし男の子/長谷川櫂
七種や母の火桶は蔵の中/黒田杏子
七種籠柄長く置ける書棚の前/風生
七草の電話の声の女の子/長谷川櫂
雪国に来て七草の芹の香よ/小島健
七草をうち出しけり母屋の灯/裸馬
七種や七日居りし鶴の跡/松岡青蘿
七草の名札新らし雪の中/鈴木花蓑
七種や全き虹を称へつつ/田代朝子
七草粥佛に選ぶ白茶碗/八牧美喜子
七草粥川の明るさ背にのこり/子郷
七草や襟にはね込む薄氷/中村史邦
庭水辺摘む七草の芹紅に/山口青邨
忠霊につゞく七草揃ひけり/齋藤玄
母許や春七草の籠下げて/星野立子
俳句例:41句目~
籠に植う春七草の年用意/松藤夏山
七草の粥煮ゆる間の炉の火色/井上雪
七種や爪にも齢兆しをり/山崎ひさを
七草の粥のあをみやいさぎよき/青々
七種のひびきからある水の音/千代尼
くちびるを七種粥へ尖らせる/蔦三郎
七草粥の段通の座につきぬ/長谷川櫂
七草を打ちしづかなる命かな/井上雪
七草を売る丸ビルの花屋かな/清水浩
七種に更に嫁菜を加へけり/高浜虚子
七草の屠蘇の色濃く酔ひにけり/桂子
七種を買ふ手軽さの一括り/高橋淑子
七草や松の根に注ぐ残り酒/坪野文子
山並めし伊豆や七草七ツ瀧/矢島渚男
七草や風呂の煙の木の匂ひ/兒玉南草
七草や夫婦の丈夫な飯茶碗/池田澄子
七種粥欠けたる草の何何ぞ/鷹羽狩行
七種の庖丁鳴りし伊那盆地/中澤康人
人戀し春の七種数ふれば/加倉井秋を
七草の土間の奥より加賀言葉/井上雪
俳句例:61句目~
七草や雪を払へばそれでなし/千代尼
園枯れぬ春の七種秋の七種/高濱年尾
大事なり七種籠に水やるも/石川桂郎
七種の日の額白の馬とをり/友岡子郷
客二人七種はやす戸に来る/高浜虚子
つゝましく箸置く七草粥の朝/及川貞
七種の白猫畦を歩きをり/大峯あきら
帯高く七種籠を提げてきし/黒田杏子
はらわたに七草残る佛とも/青木重行
七草のはこべら莟もちてかなし/青邨
七草に更に嫁菜を加へけり/高浜虚子
七草のまことに淡き粥の味/角川春樹
七草の雪降る渡り廊下かな/長谷川櫂
七種やほの~しらむ厨窓/高橋淡路女
七草や粥にあつまる門弟子/中川四明
七草粥形見の箸を揃へけり/角川照子
七草の苗札立ちて何もなし/石川桂郎
七種や薺すくなの粥すする/臼田亞浪
七種や夕焼海の中にあり/鈴木多江子
七草に鼠が恋もわかれけり/高井几董
俳句例:81句目~
昭和史閉ず七草粥に白き膜/寺井谷子
朝雲のよき七草を囃しけり/阿以鎮雄
末寺とて七草までを休みをり/神蔵器
七種や庄司が谷の杓子舞ひ/水田正秀
湯上りの七草爪をとりて昼/下田実花
竹剪って七草粥の椀づくり/富田潮児
黒楽茶碗七種粥の匂ふなり/近本雪枝
羽黒巫女露の七草摘み足らふ/森澄雄
夫へ盛る七草粥や古天目/上野さち子
我庭に春七種の一つ欠く/阿部みどり女
日当りの七種籠も丈けてあり/高木晴子
煮させけり七種粥を八日にも/林原耒井
胸の闇濃ゆく七種粥冷ゆる/小松崎爽青
静かなる七種までの日を重ね/高木晴子
七草に喩ふればはこべらの妻/三森鉄治
七草のため背高泡立草を攘つ/川崎展宏
七草のつねの夕焼空なりし/石田いづみ
七草のつみ揃はねば歩きけり/菊山九園
七草を三篇うつた手くびかな/服部嵐雪
七草の一つ加へてサラダ盛る/斉藤静枝