「苗木市」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「苗木市」について
【表記】苗木市
【読み方】なえぎいち
【ローマ字読み】naegiichi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・苗木売(なえぎうり:naegiuri)
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季節による分類
・「な」で始まる春の季語
・「春の生活」を表す季語
・「仲春」に分類される季語
月ごとの分類
苗木市を含む俳句例
二月や松の苗売る松の下/素牛
苗木市熊本言葉荒々し/高野素十
乙女椿緋乙女椿苗木市/西本一都
増上寺総門前の植木市/高澤良一
苗売の手甲白し上天気/野村喜舟
苗売の一燈宵を早めけり/近藤一鴻
春蝉や沼へ坂なす苗木市/藤田湘子
どの顔も風を楽しむ苗木市/源鬼彦
苗売に髻結びあへず起つ/清原枴童
苗木市雨の白佗助を買ふ/金田咲子
苗売の踏み去る道に日の力/原石鼎
如月や松の苗売る松の下/広瀬惟然
苗売や表格子を拭く妻に/清原枴童
霜どけの境内広く植木市/高木晴子
苗売や一年振りの顔馴染/内藤久子
苗売が坂道にゐて湖の町/斉藤夏風
釣銭に土のまじれる苗木市/白岩三郎
青空に羽毛の月出て苗木市/桜井博道
初弘法塀の限りに植木市/奥村木久枝
女等の一日遊びし植木市/小園/末子
俳句例:21句目~
日光黄菅括られ窶る植木市/都筑智子
何もせぬ女がをりて苗木市/藤田湘子
植木市何か買はねば夏迅し/長谷川双
植木市師の体温に甘え蹤き/石塚友二
夕風は冷ゆる一方苗木市/大峯あきら
植木市旅の吾等と先生と/吉野/十夜
苗売が路をせばめて左門町/奥野桐花
苗木市安物ばかり売れ急ぎ/石塚友二
山町の一と日賑ふ苗木市/石原清華女
植木市素通りさせぬ女おり/鈴木光彦
植木市金柑数多実をつけて/嶋杏林子
軍艦の泊まる港や植木市/栗原利代子
霧噴いて灯影涼しや植木市/三宅孤軒
坂下に老苗売のともす今宵/近藤一鴻
小休みや芋苗売に戯れつゝ/石塚友二
煙草吸ふ菊苗売りの男かな/大野信子
苗売が聖母讃歌の窓を過ぐ/谷野予志
苗売が霞ケ関にゐたりけり/細川加賀
苗売によき夕方の来りけり/星野立子
苗売の土に束ねしもの並べ/高浜年尾
俳句例:41句目~
苗売の声流れ来し俳句会/肥田埜勝美
苗売の濃き眉ぞ見せ笠のうち/原石鼎
苗売や唄ひはじめを朝顔に/野村喜舟
苗木市棒のごときを購へり/手塚美佐
苗売や産屋乍らも開かれて/小林康治
苗売りの苗に日当る弘法忌/吉田鴻司
苗木市素通り母の風邪見舞/本田豊子
苗木売り夕餉の灯色遠く見て/桂信子
苗木売安物ばかり売り急ぎ/石塚友二
少年に虚しき日あり苗木市/鈴木六林男
苗市に教へ子とその幼な妻/能村登四郎
鳩鳴くや眞晝睡たき植木市/石田あき子
紅少し引き甲斐甲斐し苗売女/片岡けん
苗売の上に天日とどまれる/波多野爽波
植木市春星に似た名をさがし/児玉悦子
夕冷えの湖となりけり苗木市/藤田湘子
奥多摩の山見えてゐる苗木市/皆川盤水
眠さうな苗売の声樹をくぐり/廣瀬直人
山茶花にほつほつ花や苗木市/高橋/守
抱き上げし子の足くびれ苗木市/皆吉司
俳句例:61句目~
時計塔立ちて萎えゆく苗木市/萩原麦草
餅搗きもして苗木市賑ははす/大熊輝一
百万石城下の苗木市混めり/岡部六弥太
苗木市どこも入口どこも出口/北野民夫
長身の僧の見てゆく植木市/岩淵喜代子
噴水の聞こえて来たる植木市/岸本尚毅
山国に行く苗売のバスに立つ/茨木和生
苗木市ゆふかぜ城を淋しうす/藤田湘子
水打つて星まで濡らし植木市/福田紀伊
山の汽車噎びて発てり苗木市/宮坂静生
苗木市山の匂ひの樅を買ふ/小林黒石礁
苗木市春の粉雪となりにけり/西島麦南
苗木市沈丁の香に搦まるる/百合山羽公
苗木市紅梅しるく咲きにけり/石原舟月
苗木市雲を眩しきものとして/木村蕪城
苗木市風に傷みし芽もまじる/大熊輝一
りんご苗売るみちのくの午祭/岩崎眉乃
銅像のうしろ向きなる苗木市/池田弥生
苗売や焼けて無かりし物の数/石川桂郎
植木市釣竿買うてもどりけり/中尾白雨
俳句例:81句目~
植木市夜となる水を打ち合へり/菖蒲あや
辻埋めて初金刀比羅の植木市/富岡掬池路
苗木市ひとりで持てぬ物を買ふ/岩下謐子
植木市すなはち乳房ふくらめり/寺崎治郎
夫と歩くたのしさ植木市でよし/中山長寿
苗売のよきおしめりと申しける/林田探花
雲ひとつ鳥居ひとつの苗木市/藤田あけ烏
もののもどかしく苗売の声過る/喜谷六花
苗売の立ちどまりつつ三声ほど/高濱虚子
ネクタイをゆるめて覗く苗木市/平野無石
地のぬくみ月にもありて苗木市/角川春樹
植木市母校が見えて汽車が過ぎ/千田一路
苗木市ぬかるみ跳んで客となる/中村房子
買ひさげし棒のごときも苗木市/皆吉爽雨
植木市当て字ばかりの名札つく/右城暮石
苗売女雨ともなひて来りけり/藤井諏訪女
八方に陽をひろげゐる苗木売/福田甲子雄
信じてもよき苗売のよごれし手/前内木耳
苗木市めぐりを老のはじめとも/長谷川双
寺の門でゝ苗売に逢へりけり/久保田万太郎