「虫干」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「虫干」について
【表記】虫干
【読み方】むしぼし
【ローマ字読み】mushiboshi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・土用干(どようぼし:doyoboshi)
・曝書(ばくしょ:bakusho)
・虫払い(むしばらい:mushibarai)
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季節による分類
・「む」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
虫干を含む俳句例
飽足らぬ女心や虫払/鷺喬
元禄の長者番附虫払/小松月尚
内張の銭の暑さや土用干/許六
虫干の吹毛九尺薪寺/松瀬青々
秀吉の書状短しお風入/森田峠
一竿は死装束や土用干し/許六
港より見えて廓の土用干/篠原
山の家の虫干風や棉の花/原月舟
長持の奈落の衣や虫払/籾山柑子
かけたらぬ女心や土用干/千代女
虫干のほのめく衣や草の宿/虚子
虫干の塵や百年二百年/正岡子規
なき人の小袖も今や土用干/芭蕉
涅槃衣も衣箪笥や虫払/喜谷六花
罪ふかき女めでたし土用干/鬼貫
虫干や寺世話人の古袴/渡辺香墨
筆のもの忌日ながらや虫払/召波
虫干しの紐蝶結び玉結び/檜紀代
虫払鼠の糞の大いなる/飯田蛇笏
虫干しや甥の僧訪ふ東大寺/蕪村
俳句例:21句目~
虫干や手畳敷を大般若/藤野古白
虫干や古の経巻き返し/尾崎迷堂
戊辰頃の父の日記や土用干/黒風
虫干の母の信玄袋かな/柳下良尾
虫干や吉野初瀬を二度の雲/鉄丸
寺縁起三十丈のお風入/渡辺俊子
亡き人の小袖も今や土用干/芭蕉
虫干や父の結城の我似合ふ/茅舎
虫干や裏の竹きる薪寺/松瀬青々
無き人の小袖も今や土用干/芭蕉
大学の隷書の印や書を曝す/小林理
けし咲くや雛の小袖の虫払ひ/可南
土用干父の形身の支那鞄/朝山義高
山を見る二階なりけり土用干/涼菟
黄表紙の糸のほつれや土用干/紅緑
拝領のもの一竿や土用干/高浜虚子
法體の先祖の像や土用干/会津八一
虫干や散らぬ三十六歌仙/野村喜舟
獅子頭八方にらむ土用干/加藤一智
虫干や東寺の鐘に遠き縁/飯田蛇笏
俳句例:41句目~
虫干や襟より父の爪楊枝/川端茅舎
虫干や質屋の通ひ竿の先/尾崎紅葉
曝す書の薄し戦没学徒集/岩崎照子
槻かげに主憩へり土用干/西山泊雲
一束の古き寫眞や土用干/会津八一
時頼公強装束のお風入れ/高澤良一
打敷に小袖の名残お風入/山敷恵三
経櫃の参之内参お風入れ/高澤良一
寺に生れ寺に育ちて虫払/能美丹詠
虫干や金沢文庫経ばかり/野村喜舟
政宗の眼もあらん土用干/正岡子規
経櫃に虫払せし日を誌す/下村梅子
蜑が戸の虫干見ゆる澳辺かな/誓子
虫干や庵に久しき松ふぐり/加舎白雄
山人の衣裳持なり土用干し/河野静雲
山姫や鹿の子白無垢土用干/山口素堂
虫干しの開山語録と韓櫃と/高澤良一
土用干千人針の捨て切れず/橋本蝸角
崩れ居る懐爐の灰や土用干/会津八一
灯台の虫干見学者にさらす/矢島渚男
俳句例:61句目~
風入れの釣竿の穂に結ひし糸/上村占
真贋はともかく一茶土用干/高橋秋郊
虫干しの一竿すずし土用干/正岡子規
虫干や甘んじてなる保守の人/森鴎外
虫干や白粉の花さきこぼれ/村上鬼城
虫干や絵巻ほどけば姫の髪/中村堯子
風入れの案内当山方丈にて/高澤良一
書を曝す中に紅惨戦絵図/橋本多佳子
風入や五位の司の奈良下り/正岡子規
龍宮も今日の潮路や土用干/松尾芭蕉
虫干や捲き癖つきし鹿の皮/籾山柑子
祥啓の耳毛の達磨お風入れ/高澤良一
虫干や返す人亡き書一函/河東碧梧桐
虫干や遺影の兄は椰子に凭り/轡田進
虫干や野口英世の姉の刀自/西本一都
虫干に蕪村の偽筆掛りけり/正岡子規
虫干に金の燭台ありにけり/山本洋子
曝書人年若くして官高し/池上浩山人
曝書して浦の白波攻めつづく/中拓夫
方丈を大きく使ひお風入れ/高澤良一
俳句例:81句目~
虫干のこの紬着て遺影夫/塩谷はつ枝
伝牧渓伝何くれとお風入れ/高澤良一
鴆毒の壷も曝すやお虫干/芥川龍之介
虫干の中に匂ふやさくら餅/岡本松浜
虫干の四S遠くなりにけり/三村純也
うたゝ寝や揚屋に似たる土用干/其角
虫干の寺宝に遊女苦役の図/松藤夏山
さらさらと又落衣や土用干/皆吉爽雨
それぢやあがり昔恥けん土用干/昌夏
虫干の振袖纏ふたはむれて/品川鈴子
虫干の母の貧しき金銭簿/丸田余志子
わが物も昔になりぬ土用干/子規句集
お風入れ道隆さまの洗面具/高澤良一
虫干の箱あけまじき鼠かな/佐藤紅緑
縁に腰して曝書の人と語り去る/篠原
二郎雨三郎風や土用干/菅原師竹句集
笏載せて縁起十巻書を曝す/木田素子
白無垢の一竿すずし土用干/正岡子規
いさゝかな料理出来たり土用干/蕪村
虫干の衣の香にゐて客主/吉岡禅寺洞