「麦の黒穂」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「麦の黒穂」について
【表記】麦の黒穂
【読み方】むぎのくろほ
【ローマ字読み】muginokuroho
子季語・関連季語・傍題・類語など
・黒穂(くろほ:kuroho)
–
季節による分類
・「む」で始まる夏の季語
・「夏の植物」を表す季語
・「初夏」に分類される季語
月ごとの分類
麦の黒穂を含む俳句例
黒穂麦多し米軍返還地/古賀三十五
黒穂抜く何と重たき俤よ/松崎貞子
太陽に黒穂の黒き粉が育つ/堀内薫
光秀の生国黒穂踏みて佇つ/中澤康人
黒穂の粉ばさと双手に一揆村/松本旭
軽井沢麦の黒穂にきつね雨/小林貴子
黒穂出て村八分とは悲しけれ/星野椿
黒穂抜く童や顔に黒穂つけ/岩田麗日
すでにして黒穂と育つ他はなし/湯川雅
太陽に黒点のあり黒穂生ふ/石井とし夫
峠路は遥か黒穂の捨てゝあり/山口草堂
黒穂ぬく老いをな吹きそ山の風/中勘助
旅の靴黒穂を燃やす火を跨ぐ/橋本鶏二
晩年や黒穂の黒に指染まり/加倉井秋を
混血児と保姆と麦より黒穂抜く/島津亮
駅路や麦の黒穂の踏まれたる/芝不器男
黒穂もて丁々と打ち魂鎮む/田川飛旅子
黒穂抜き女ざかりを困りたる/後藤綾子
黒穂抜く愉しさ心病むならむ/福永耕二
黒穂など憶いしだいに酔いはじむ/徳弘純
俳句例:21句目~
さすらひて小箕よ乙女よ黒穂とり/中勘助
粟を刈る黒穂よごれの蜑の顔/塩谷はつ枝
舗装路に黒穂東京都に入れり/中島まさを
黒穂より黒き眸光るおばこの地/成田千空
黒穂一本まづ抜き麦を刈り始む/嶋田麻紀
麦黒穂阿呆と罵りし父は亡し/榎本冬一郎
黒穂抜く黒に徹せるものはよし/鷹羽狩行
黒穂焼く煙よりあはき星うまれ/木下夕爾
黒穂抜く島の真昼はけだるくて/鈴木真砂女
麦に黒穂多く償ひ得ざることせし/油布五線
黒穂には黒穂のさだめありにけり/川口咲子
阿蘇島の黒穂焼く火と判るまで/荒川あつし
黒穂抜けばあたりの麦の哀しめり/木下夕爾
麦に黒穂ひと日のストに鉄路錆び/福田蓼汀
師の逝くや麥のかなしび黒穂なせ/成瀬桜桃子
黒穂抜く火山灰のいたみもさりながら/泊喜雨
悪しき日のために黒穂をつみて挿す/田川飛旅子
うまや路や麦の黒穂の踏まれたる/定本芝不器男句集