俳句例:101句目～
紫木蓮幕あくように陽が射して/小出昌子
たかだかと雨意の木蓮崩れけり/日野草城
苔の上に木蓮散りてありしかな/尾崎迷堂
葉がでて木蓮妻の齢もその頃ほひ/森澄雄
はくれんにふと走る紅風抜くる/小池文子
はくれんの一弁とんで昼の月/片山由美子
はくれんの光つらぬく大手門/三好たけし
はくれんの昼より白き七夜かな/平井照敏
はくれむの負ふ錆び色は鉄の性/栗生純夫
もくれむの散り下手塀の内と外/高澤良一
はくれんや現状維持という堕落/大竹広樹
やゝ焦げて木蓮散れる砂上かな/河野静雲
一弁は垂れはくれんの一花なす/藤田湘子
僧が剪る木蓮の枝を受けにけり/尾崎迷堂
はくれんの散華尽くせし一樹かな/仁尾正文
十字架へしづかに銹びてゆく木蓮/横山白虹
仏心は多情にかよひ芽はくれん/上田五千石
モクモクと地のきほひや木蓮花/松根東洋城
木蓮の日のかゞやきに咲き揃ふ/鈴鹿野風呂
はくれんや風の行方の闇透きて/星野麦丘人
俳句例:121句目～
木蓮よ「その白い魔女を風葬に」/久保純夫
鰐口の青さびたる木蓮の花の白き/寺田寅彦
木蓮の芽に空を漉す日のひかり/長谷川素逝
非時の雪はくれむすでに錆ふかき/臼田亞浪
木蓮の芽のむさぼれる二月の日/長谷川素逝
はくれむの翳をかさねて日に対ふ/臼田亞浪
木蓮に白磁の如き日あるのみ/竹下しづの女
はくれんの白鷹となり翔たむとす/安東次男
木蓮花天翔けらんとかまへたり/徳永山冬子
木蓮花日覆の端にすこし見ゆ/長谷川零餘子
はくれむや蝕の月下に誰も居らず/村越化石
木蓮のみえて隣のとほきかな/久保田万太郎
炎立ちあふ白れんの花片日ざし/柴田白葉女
はくれむや起ち居のかろき朝来り/臼田亜浪
はくれむをほぐしにかかる朝の雨/高澤良一
はくれんの咲ける花ある苗木かな/中村汀女
木蓮に僅かのところ引き返す/阿部みどり女
白れんの羽二重明りのなかにかな/柿沼盟子
白れんの花の吹雪よ父母は老ゆ/小檜山繁子
もくれんじ雪に拾へば黒瞳もつ/猪俣千代子
俳句例:141句目～
空の日へ木蓮の芽のこぞるなり/長谷川素逝
もくれんの毳立つ冬芽こんなにも/高澤良一
もくれんの開ききりたるやや淫ら/辻田克巳
日輪と雲と木蓮の芽とうごかず/長谷川素逝
はくれんに集ふ大きな忌なりけり/辻口静夫
月高みはくれむ浮力のつくごとし/高澤良一
はくれんの阿吽の呼吸咲き出すか/高澤良一
はくれんに蒿雀は芽木をのみ伝ふ/佐野良太
木蓮にうるしのごとき夜空かな/三宅清三郎
絶え間なき雨木蓮の花に沁むや/中村草田男
あるじなき闇の木蓮葉をとゞめず/林原耒井
木蓮のにこ毛に眼よせあたたかき/佐野良太
はくれんやまぼろしの子が支へをり/石原君代
木蓮の芽をふちどりて日のひかり/長谷川素逝
木蓮を牡丹といひて嗅ぎをりぬ/阿部みどり女
はくれんの花に打ち身のありしあと/長谷川櫂
木蓮咲き満ち素足で洗うバスの床/田川飛旅子
はくれんやくちづけのあとくちくらく/岸田稚
はくれんの散るべく風にさからへる/中村汀女
はくれんのとどく二階の子のうまゐ/小原俊一
俳句例:161句目～
紫木蓮たけなはなりしがそれも散り/高澤良一
紫木蓮アンリ/ルソーの馬車とまる/西岡正保
はくれんに触れんと水位せりあがる/栗生純夫
木蓮のつたなく枯れし大樹かな/長谷川零餘子
はくれむに雨吹っかけて来たりけり/高澤良一
はくれむのひたすら白く夜にありぬ/臼田亞浪
憮然空より落つ木蓮花のひかり/安斎櫻カイ子
はくれんに朝日うやうやしくありぬ/綾部仁喜
他人の机に他人の手紙もくれん咲く/寺田京子
木蓮のつぼみのひかり立ちそろふ/長谷川素逝
木蓮の陽に酔い驢馬のような旅路/吉田透思朗
はくれむに似たれど辛夷で押し通す/高澤良一
マラソンの止ることなし木蓮白し/長谷川かな女
木蓮の一枝を折りぬあとは散るとも/橋本多佳子
もくれむの凍む枝に雨のぬくとからむ/高澤良一
もくれんの花のひかりの咲きあふれ/長谷川素逝
はくれんのひらくとくもりそめにけり/星野麥丘人
明くれば空の青きより来り咲く木蓮の花/安斎櫻カイ子
木蓮の蕾ひとしくふくらみし/野風呂第一句集/鈴鹿野風呂
いにしへの王のごと前髪を吹かれてあゆむ紫木蓮まで/阿木津英
俳句例:181句目～
白れんげ燃えたつ昼をひとり鬼日向の芝にうしろ向きおり/馬場あき子
うれひつつ日々ありふれば木蓮の花のをはりも見ずて過ぎにき/大辻隆弘
