「毛布」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「毛布」について
【表記】毛布
【読み方】もうふ
【ローマ字読み】mofu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・ケット(けっと:ketto)
・電気毛布(でんきもうふ:denkimofu)
–
季節による分類
・「も」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
毛布を含む俳句例
真珠選る赤き毛布を膝にかけ/篠原
猫柳毛布ぐるみの子沢山/今泉貞鳳
寝語りも一枚毛布星流る/吉田鴻司
屍包む毛布一枚風花す/古賀まり子
一枚の毛布を膝に稿重ね/近藤一鴻
新しき毛布の匂髯の間に/下村槐太
新しき毛布抱へて階登る/岡田史乃
兵営の力士毛布をまはし哉/森鴎外
別々の命の添寝毛布被て/品川鈴子
虜れの毛布枯野に垂したり/松崎豊
草雲雀毛布の耳に白地の被/宮坂静生
胸元で打つ波船の毛布は白/伊丹公子
老い母よ二色使ひの膝毛布/中村明子
牛市の牛の背中の毛布かな/田丸富子
白毛布チカ~柊の花に干す/久米正雄
まだ使ふ陸軍毛布肩身さむ/平畑静塔
青毛布赤毛布さま~の雛哉/寺田寅彦
雷光の軒に母の香毛布の香/飯田龍太
毛布の端七福神を倒しけり/大石雄鬼
足弱るばかり家居の膝毛布/松尾緑富
俳句例:21句目~
赫き土赫き家建て毛布干す/都筑智子
赤ん坊と一つ毛布に月涼し/岸本尚毅
放心をくるむ毛布の一枚に/山田弘子
春遅々と毛布の中の空気さへ/辻桃子
蝿生れ毛布被つてゐる妻よ/岸本尚毅
あくびせる日展ガール膝毛布/衣川砂生
サーカスの天幕の裏の干毛布/宮坂一巵
毛布被つて檣に倚るや冬の海/野村泊月
冬の月わたしの毛布照らしおり/大高翔
十年の苦学毛の無き毛布かな/子規句集
毛布被て春鮒釣のよこたはる/岸本尚毅
永病まず逝きし父なり白毛布/伊藤京子
埓もなし電気毛布に夢追ひて/水谷晴光
犬無聊噛んで小さくなる毛布/杉山鶴子
石工小屋毛布を張りし窓に梅/西本一都
電気毛布恋ふ古里へ荷造りす/吉良蘇月
青年波郷電気毛布の夢に出て/相馬遷子
黄天よ祖国よ毛布かぶり病む/片山桃史
毛布なる吾子にふたりの顔を索む/篠原
事務の娘の外から見えぬ膝毛布/小国要
俳句例:41句目~
あらよっと電気毛布に滑り込む/高澤良一
膝毛布たちまち温し今日に処す/中村汀女
膝毛布配られ飛機は北に発つ/山本白汀女
色あせしロシヤ毛布の旅寝かな/三溝沙美
毛布あり放すことなき句集あり/京極杞陽
みとり女に恩赦の如き足毛布/赤松けい子
葬らるるごとく毛布を足にまく/仙田洋子
やはらかく毛布身つつみ月の蝕/野澤節子
よき昼寝なりし毛布をかけありし/堺梅子
わしづかみ国無き露人毛布売る/岡田貞峰
ツンドラの軍隊毛布を抜け霊魂/高澤良一
一人なら毛布を奪ふこともない/櫂未知子
一枚のかの軍毛布いつ失せし/文挾夫佐恵
母に買ふ電気毛布をのばし見て/畠山譲二
佐渡航路春の毛布をあてがはれ/大石悦子
受けとりて毛布ぐるみの子の軽く/森田峠
地震長ししらず身構ふ毛布撥ね/石塚友二
柔らかき毛布に柱哭く日あり/津沢マサ子
太陽におおっぴらダブル毛布干す/楠節子
攻め網と毛布掛け乾す孵化番屋/石川文子
俳句例:61句目~
電気毛布の中の荒野を父さまよふ/林朋子
重ねおく毛布の耳の日差かな/藤田あけ烏
障子には毛布つるしぬ冬ごもり/室生犀星
毛布買ひ一夜は早く寝まりたり/石塚友二
毛布足すさるとり茨の夢を見て/永末恵子
雨の踊子毛布に眠る手を出して/金子兜太
毛布など一枚足して寝る夜かな/高澤良一
志摩ホテル白き毛布の目ざめかな/車谷弘
泣いてゐるかもしれぬ人毛布引く/後藤章
電気毛布にも青空を見せむとす/中原道夫
毛布敷く春愁の砂漠ひろげつつ/宮津昭彦
風邪の妻船の毛布を被き臥す/水原秋桜子
毛布被て星の一つに寝るとせり/村越化石
毛布にてわが子二頭を捕鯨せり/辻田克巳
船酔ひの被くにうすき貸毛布/文挟夫佐恵
毛布被し老の移民やその中に/五十嵐播水
空を飛ぶことの不思議な膝毛布/松山足羽
群青の毛布の時化てをりにけり/櫂未知子
毛布かぶり寝る玄界の濤を聴き/福田蓼汀
こやる身に毛布は厚し誰もやさし/野澤節子
俳句例:81句目~
ひとり夜を更かすに馴れし膝に毛布/安住敦
伸べ得たり電気毛布に左右の膝/水原秋桜子
夜半覚めて毛布に眠りいそがざる/皆吉爽雨
寝支度の電気毛布をぬくめに行く/高澤良一
毛布外套なんど蒲団にかけて寝る/寺田寅彦
河豚宿の小犬が噛んでゐる毛布/佐々木六戈
毛布の母背に磐石となるに堪ゆ/猿橋統流子
白毛布はなびら溢れして抱く子/赤松ケイ子
毛布敷いて抱へおろせし御像かな/河野静雲
電気毛布なんぞと云ひて取合はぬ/高澤良一
抜いてある電気毛布のコンセント/齊藤美規
掴みたる砂丘の馬車の焦げ毛布/加藤かけい
電気毛布夜半点滅のたしかさよ/水原秋櫻子
毛布被てイエスのごとく夫眠る/山下知津子
帰化せんと思うて久し毛布干す/千本木溟子
荒星や毛布にくるむサキソフォン/攝津幸彦
飛行冷えつつむ天衣の毛布かな/赤松ケイ子
見たることあらず干しゐる黒毛布/茨木和生
熊を彫るアイヌ膝覆ふ赤ケット/松橋与志彦
いと古りし毛布なれども手離さず/松本たかし