「水洟」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「水洟」について
【表記】水洟
【読み方】みずばな
【ローマ字読み】mizubana
子季語・関連季語・傍題・類語など
・洟水(はなみず:hanamizu)
・みずっぱな(みずっぱな:mizuppana)
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季節による分類
・「み」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
水洟を含む俳句例
各各の水洟顔や金の事/会津八一
水洟や貧しき者は欺かる/菅裸馬
水洟や鮟鱇鍋の夜としぬ/森澄雄
水洟やどこも真赤な実南天/爽波
水洟を拭き仏像と闇にあり/林徹
水洟の皆相当な悪ばかり/高澤良一
水洟と泪に喉の痛むかな/石川桂郎
水洟や押して事なき盲判/西島麦南
水洟の男が拝む神の陰/加藤知世子
水洟も郷里艶めく橋の上/飯田龍太
水洟や塩を詰め込むの腹/宮坂静生
水っ洟俳諧は奥深きかな/宇咲冬男
女教師が水洟すする皆笑ふ/楠節子
水洟を袖にまるめて蜆売/宮坂静生
水洟の富士の白毫久しかり/齋藤玄
水洟や女歌舞伎の老二人/会津八一
水洟の水色膝に落つ故郷/永田耕衣
水洟やわが三界の引越荷/阿部完市
水洟や樹齢壮んに夜の欅/千代田葛彦
水洟も泪も気配して寝ぬる/皆吉爽雨
俳句例:21句目~
水洟や仏観るたび銭奪られ/草間時彦
水洟やことさらふかく争はず/望月健
水洟や手遅れ患者叱しつゝ/相馬遷子
水洟や日暮れて仰ぐ梁柱/千代田葛彦
禁断の恋水洟に破れけり/稲畑廣太郎
牛糶つてゐる水洟の男かな/浅賀渡洋
風の日は雲呑が佳し水っ洟/高澤良一
水洟を拭き引導の声を張る/西田孤影
水洟や捺してことなき盲判/西島麥南
水洟や放蕩の涯行き暮れて/石塚友二
方丈記説く水洟の老教師/岩淵喜代子
水洟や秋刀にうすき骨のこる/四月草
水洟の定家しはぶく老の戀/筑紫磐井
老判事水洟啜ること勿れ/山内年日子
水洟や石に腰かけ日暮待つ/草間時彦
水洟の徒弟/老工並び尿る/佐藤鬼房
水洟の毛坊主の説く観世音/森田公司
水洟や指をいのちの陶作り/中島寿銭
水洟にかくれて何を企めるや/稲葉直
水洟をかむ仕種まで無器用な/稲室草竹
俳句例:41句目~
水洟をかむ百姓の大事な金/榎本冬一郎
水洟をかんで大きな音なりし/高浜年尾
ねもごろに土饅頭盛り水洟す/栗生純夫
水洟をすすり寒鯉売つて居り/田中冬二
呟き稼ぐ老ひし軽子の水洟は/小林康治
夢殿を出づる水洟見られけり/浦野芳南
水洟を貧乏神に見られけり/松本たかし
帰る母子の水洟を跼み拭く/柴田白葉女
花になほ水洟たらす念仏かな/松瀬青々
鼻長きキリスト吾は水洟かむ/山口誓子
恋の唄水洟すすり花筵織る/小原菁々子
洟水もをさまり四十雀が啼く/臼田亞浪
海苔採の身を削ぐ風に水っ洟/高澤良一
水洟が出て仕方なし仕方なく/京極杞陽
水洟に暮るるも北の金木駅/藤田あけ烏
水洟も光点日に透くコップ酒/香西照雄
水洟やお茶碗ひとつ箸一ぜん/後藤綾子
水洟やことりと停まる秩父線/大嶽青児
水洟やすこし機嫌の名士面ら/石原八束
水洟を滴る良寛のむかしより/山口誓子
俳句例:61句目~
水洟や娑婆ッ気つひに微塵なく/龍岡晋
水洟や孔雀の間より鳳凰ヘ/佐々木六戈
水洟や小菊清らに押しもあて/野村喜舟
水洟や引導の香語あともどり/河野静雲
水洟や拭うて首魁たる者は/佐々木六戈
水洟や父母の代の日暮見え/上田五千石
水洟や紅ふふめるは猫やなぎ/松村蒼石
水洟や落人の裔たらしむも/土井爽晴子
水洟や遠日矢の嶺消えたれど/杉山岳陽
水洟や鈍の恋など捨てむまで/小林康治
水洟や鼻の先だけ暮れ残る/芥川龍之介
水洟をかみて法座に加はりぬ/富安風生
水洟をかむを憚り第九聴く/稲畑廣太郎
彼老いぬ水洟とめどなかりけり/高浜年尾
この世また夢の水洟すすりけり/細川加賀
この家の子か水洟の立派なる/宇多喜代子
仏恩も水洟とゞむすべなけれ/篠塚しげる
水洟や添削されてゐるやうな/佐々木六戈
水洟や我孫子の駅のたそがれて/石田波郷
念力もぬけて水洟たらしけり/阿波野青畝
俳句例:81句目~
須彌壇に水洟のひと咳のひと/佐々木六戈
水洟が「情緒」の項に入つてる/櫂未知子
水洟の同じ背丈の母と歩めり/秋元不死男
馬思ふ御者も水洟垂れにけり/石島雉子郎
水洟や佛具をみがくたなごころ/室生犀星
水洟や灯をかかげたる机前の子/飯田蛇笏
水洟にからすき星のありにけり/田中冬二
水洟や仏具をみがくたなごころ/室生犀星
水洟や大志抱きしはそのむかし/木田千女
水洟の師の一喝をおそれけり/大橋櫻坡子
水洟や下ろしてみても貧しき灯/相馬黄枝
水洟をあやふんで居る炭団かな/会津八一
水洟やわれも暮色の一つとなる/宮坂静生
水洟やのつぴきならぬ火吹竹/松根東洋城
水洟やなさけなかりし我が法話/河野静雲
水洟や晩学の道遅々として/六久保/碧水
水洟をかめばサンタの声がする/仙田洋子
水洟の鼻ネクタイの上に据ゑ/猿橋統流子
水洟をすすり一茶の墓に来し/青柳志解樹
水洟や母の如くに老いにけり/松本ます枝