「マスク」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「マスク」について
【表記】マスク
【読み方】ますく
【ローマ字読み】masuku
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「ま」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
マスクを含む俳句例
マスクして砕氷船のごと進む/林翔
凍る夜の袋マスクの馬の貌/有働亨
頬骨にマスクのあとや夜の客/原石鼎
頤にマスクをずらし饒舌に/岩田公次
修道女大きマスクに瞳澄む/山口季玉
マスクして月の光の屍室/大木あまり
五七忌の大きマスクの及川貞/岸田稚
マスクとる熔接工の眼が枯色/穴井太
美しき人美しくマスクとる/京極杞陽
純白のマスクぞ深く受験行/岸風三楼
原爆忌農薬マスク息苦し/松倉ゆずる
艀よりマスク大きく登校す/竹下流彩
硅肺法のマスク冬にも汗の顔/及川貞
マスクなき不安の盾の車中の書/金子潮
初詣マスク清らにかけにけり/吉屋信子
ふと心通へる時のマスクの瞳/神田敏子
陳情の二列目に居る大マスク/川村紫陽
よく喋る女マスクで蓋をせん/高澤良一
路に出てマスクの中の息熱き/原田種茅
マスクして赤い車の郵便車/平野/山石
俳句例:21句目~
マスクして北風を目にうけてゆく/篠原
マスクかけ暫く都鳥を見る/深川正一郎
マスクして検事己の貌となる/坂本木耳
マスクして隠さふべしや身の疲れ/林翔
顎マスクしてぼろ市の骨董屋/福神規子
会場にマスクの市松模様かな/高澤良一
図書館の薄暮マスクの顔険し/加藤楸邨
新しきガーゼのマスク老婦人/京極杞陽
マスクして下着売場を横断す/木本徹男
マスクとり唇あでに生れけり/吉屋信子
マスクして少年切に漫画読む/石塚友二
肝心な話はマスクとってせむ/高澤良一
千鳥見に彼もマスクをして来り/高濱年尾
つき添ひの母の特大マスクかな/指澤紀子
マスクかけサングラスかけ春の耳/辻桃子
マスクかけ仄かに彼の眉目かな/高浜虚子
マスクして鶴の白さにとなりけり/所山花
修道尼澄める瞳もてるマスクかな/森田峠
マスクしてものを一直線に見る/山田弘子
マスクせる兵の感涙きらびやか/飯田蛇笏
俳句例:41句目~
マスクして人と齢をあらそはず/長谷川双
マスクして断りの語尾濁しけり/川村紫陽
マスクして女のうしろ隙間なし/萩原麦草
マスクして寸鉄含みをりしかな/行方克巳
マスクして心隠せしごとくなる/北垣翠畝
マスクして我と汝でありしかな/高浜虚子
眼の笑ふマスクの人を考へる/青葉三角草
マスクして自負強き眉残しけり/岡田貞峰
咳こぼすマスクの中の貌小さし/吉田鴻司
大マスクとつて白子の味見せり/高澤良一
小樽にて大きなマスク買いにけり/山崎聰
息づきのよごれマスクに騏のごとし/篠原
朝戸出のマスク純白なるはよし/岸風三楼
麻酔マスクの奥綿菓子の様な眠り/渋谷道
見舞妻喰べよと一語マスクしつ/岸風三樓
豊年のけぶりの中にマスクして/岸本尚毅
避妊具を買ふマスクより已が聲/石川桂郎
大きなマスク息温かに人の喪ヘ/田川飛旅子
マスクして疾うに観念してゐる目/高澤良一
マスクして彼の眼いつも笑へる眼/京極杞陽
俳句例:61句目~
座の一人少し風邪気味マスクして/高濱年尾
待つ人のあるべきマスク深くせる/岸風三楼
マスクして振り返るには来過ぎたる/岡本眸
マスクとりその人のその声となる/板場武郎
早咲きの梅にマスクを掛けぬ日々/赤尾兜子
マスクして藪騒ぐ聴ゆ囲炉裡ばた/萩原麦草
没る日黄に防毒マスク脱ぎて嗤ふ/岸風三楼
浮かぬ顔悟られまひぞマスクして/大宮良夫
下校時のマスクをしてる少女かな/本庄志帆
目交してマスク同士の逢瀬かな/鳥居おさむ
看護婦のマスク布団を干す時も/青葉三角草
マスクしてをる人の眼を読みにけり/上野泰
マスクするたび耳朶は生え変る/宇多喜代子
福耳を引つぱってゐるマスクかな/下村非文
マスクしてそれはわざをぎ春の風/高濱年尾
マスクして重たき息となりにけり/那須淳男
老侯のマスクをかけて薔薇に立つ/高浜虚子
肝心な事言ふマスクはづしけり/石垣/弘子
マスクしておのづからなる女の目/高澤良一
ピカソ展マスクの僧とすれ違ふ/藤井寿江子
俳句例:81句目~
マスクの瞳三年越しに逢ひにけり/野村喜舟
言問橋マスクはづしてわたりけり/藤岡筑邨
マスクの人水口に幣立ててゆく/藤田あけ烏
マスクして我を見る目の遠くより/高浜虚子
わが憤怒あはれマスクに曇らひぬ/岸風三楼
遊ぶ子のときをりマスク掛け直す/加藤宵村
嘘云はぬためマスクとり物を言ふ/村上冬燕
酸素マスク掛けチチカカの船遊び/品川鈴子
鉄のごとき顎の傷痕マスクはづす/加藤楸邨
防毒マスク路次駆け冬日呆けたり/岸風三楼
ぼろ市に買ふ気のマスク外しけり/白岩三郎
お身拭ひいやに大きなマスクして/高澤良一
マスクして見舞の客は吉右衛門/楠目橙黄子
誰もマスク屍見し日は言葉やさし/岩田昌寿
マスク白くいくさに夫をとられきぬ/加藤楸邨
眼はうごき眉はしづかにマスクの上/山口誓子
あらたまの春のマスクや楽屋入/久保田万太郎
ポケットに切符とマスク連れ居らず/小出秋光
笑つてゐて何か言ひたいマスクの瞳/古市絵未
マスクして人の背なかが前にある/加倉井秋を