「万両」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「万両」について
【表記】万両
【読み方】まんりょう
【ローマ字読み】manryo
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「ま」で始まる冬の季語
・「冬の植物」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
万両を含む俳句例
万両に庭の深さや妙圀寺/蓬丈
寺町の劣りし寺の実万両/澄雄
裸寺の雪浄土なる実万両/竹亭
雪吊の大小の小実万両/森澄雄
万両の紅己が胸裏にも/豊田曳峰
万両や市の女の声透る/原田逸子
万両や着丈合ひたる借衣裳/龍太
杉苔に万両溺れ寂光土/富安風生
万両のひそかに赤し大原陵/青邨
万両や尼の庫裡とて軒低き/原柯城
万両に土の締りて円覚寺/高澤良一
万両や配流の戸に古双六/古舘曹人
万両や使ふことなき上廁/富安風生
万両や暦日めぐること速し/風三楼
万両は兎の眼もち赤きかな/千代女
万両の万の瞳の息づきて/永方裕子
千両五百圓萬両三百圓/佐々木六戈
夕闇に万両隠れ去りにけり/左兵子
実万両女がひそむ喪服妻/高萩篠生
萬両や使ふことなき上厠/富安風生
俳句例:21句目~
萬両や物指もちて隣家へ/山本洋子
万両や一峯に向く半跏仏/古舘曹人
わが庭のもの千両も万両も/森澄雄
万両や万両たりし妻死にし/森澄雄
万両や紅玉吊つてたばしれる/林之助
万両のしだれる先に雨雫/小久保ユウ
万両の一房の実を楽しまむ/遠藤はつ
万両の下まだ濡れずしぐれをり/耕二
万両の向うを通る水のこゑ/高澤良一
万両の実の赤かりし一慶事/沢村芳翠
万両の実は沈み居る苔の中/高浜虚子
万両や病み月の娘の薄化粧/高間礼子
万両の平等院にきてをりぬ/藤平寂信
万両の白たいせつに喪正月/嶋田麻紀
万両や大みささぎを借景に/石倉啓補
碑の梶井万両になほ喀血し/能谷愛子
万両の零れる紅を掃初に/堀之内和子
万両や母に告ぐべきこと選ぶ/神蔵器
万両の紅をかざりてのぼり窯/白葉女
万両や雪の滲みゆく檜皮葺/山田孝子
俳句例:41句目~
万両を木伝ふ雨となりにけり/清崎敏郎
不読の日つづき万両雪新らた/宮武寒々
千両か万両か百両かも知れず/星野立子
千両の実も万両の実も赤し/稲田/重子
万両にゆすらの花の白き散る/正岡子規
万両の掛もめでたし御帳綴/筏井竹の門
万両の日にぬくみゐる我もまた/森澄雄
万両の鉢を土産に母見舞ふ/伊阪美祢子
御霊屋の萬両の冷え千両に/山口都茂女
房なして万両まつ赤月日また/広瀬直人
万両の雨見る熱き炬燵あり/大峯あきら
雪染めて万両の紅あらはるゝ/鈴木宗石
万両やふつと兎の目となりて/平井照敏
苔にして万両の朱の四粒沁む/三樹彦/
茶の花や万両の赤き実の下に/北原白秋
万両や夫亡く夫の生れし家/今井つる女
万両や幾代湧きつぐ隠し井戸/吉田知暁
万両や父亡きあとの母の日々/江頭信子
万両にかゝる落葉の払はるゝ/高濱年尾
万両をたまたまつゝむ茶の烟/阿波野青畝
俳句例:61句目~
万両や待つともなしに待つこころ/素人閑
万両の雪に明けある茶の間かな/橋本鶏二
万両の見ゆる端まで開け放つ/鳥居美智子
万両やつねのこころをたひらかに/森澄雄
万両の実を盗りにきて鵯がとぶ/和知喜八
万両の実の多かりしめでたさよ/栗田菊枝
万両に賽ころひらふ足袋はだし/河野静雲
万両に日当ることのなかりけり/大橋越央子
萬両の実にくれなゐのはいりけり/千葉皓史
万両や癒えむためより生きむため/石田波郷
生き残りたることかなし実万両/野見山朱鳥
万両やとび石そこに尽きてゐる/五十崎古郷句集
座について庭の萬両憑きにけり/萬両/阿波野青畝