「胡瓜」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「胡瓜」について
【表記】胡瓜
【読み方】きゅうり
【ローマ字読み】kyuri
子季語・関連季語・傍題・類語など
–
季節による分類
・「き」で始まる夏の季語
・「夏の植物」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
胡瓜を含む俳句例
爼の傷の歳月胡瓜もむ/藤井寿江子
甥姪の機嫌気妻や胡瓜揉/石塚友二
古漬の胡瓜好みて食細し/高澤良一
訝れば根ごしの蔓の細胡瓜/森鴎外
湖の雨の涼しき胡瓜もみ/富安風生
世を以て黄昏となす胡瓜揉/藤田湘子
糠床も母の形見よ胡瓜漬く/有里要子
平凡を願ふくらしや胡瓜漬/三澤久子
教師一生ひん曲る茄子胡瓜/辻田克巳
詩も川も臍も胡瓜も曲りけり/橋間石
茄子胡瓜よりも素直に女達/遠藤梧逸
病室の小さき爼胡瓜もみ/石田あき子
へぼ胡瓜盆の仏の馬になれ/松野自得
胡瓜棚傾きうつる出水かな/野村泊月
妻の母独り居泉に胡瓜浮べ/香西照雄
蠅帳の裡の翠微や胡瓜もみ/吉屋信子
刻む音胡瓜は春の奢かな/松根東洋城
故郷の味を守りて胡瓜もみ/倉田静子
貧乏の光をちらし胡瓜もみ/原コウ子
庭畑の胡瓜いびつに妻病める/手島靖一
俳句例:21句目~
胡瓜皆すんなり基準値合格品/高澤良一
茄子曲り胡瓜歪める誕生日/相生垣瓜人
神農にさゝげて早き胡瓜かな/飯田蛇笏
茄子胡瓜母の育てしものを食ふ/大串章
胡瓜揉む答のいらぬ夫のぐち/土田京子
退勤のすぐなる水仕胡瓜もみ/高野彩里
手作りの鼻曲りたる胡瓜かな/尾崎紅葉
指太くなりし月日や胡瓜揉む/弓木和子
遣唐使もどりし寺の胡瓜揉み/近藤園子
七年の濁りになれて胡瓜もむ/南雲糸虫
三日月の匂ひ胡瓜の一二寸/佐藤惣之助
上げ板のきしむ厨の胡瓜もみ/高橋尚子
二三日採らねば胡瓜遠目にも/相馬黄枝
珍しいうちは胡瓜も皿に盛り/作者不詳
伸びすぎて胡瓜疲れぬ地に近く/小澤實
低くして灯のにほひける胡瓜揉/森澄雄
其題の胡瓜の頃に死なれけり/正岡子規
食卓に夫がゐる夜の胡瓜もみ/西村和子
馬はわが庭の胡瓜よ夫来ませ/山岸治子
板の間に胡瓜ころがり暑気中り/龍岡晋
俳句例:41句目~
鼻唄のきのふと同じ胡瓜もみ/黛まどか
味噌でくふ生マの胡瓜の祭かな/龍岡晋
夕月のいろの香を出す青胡瓜/飯田龍太
帰省子に杉山にほふ胡瓜もみ/野澤節子
移り香の衿になほあり胡瓜漬/日野草城
職離れ変るくらしや胡瓜もみ/藤村藤羽
胡瓜きざむ家過ぎ着きし宿もまた/篠原
胡瓜つかむ蜑の白爪帰りざま/古館曹人
胡瓜もぎ噛みて何者かと語る/西東三鬼
胡瓜もみゆふべ七時の空明り/石川桂郎
胡瓜もみ世話女房といふ言葉/高濱虚子
胡瓜もみ今宵の味は妻か母か/有馬暑雨
胡瓜もみ命日の日の高上り/大峯あきら
胡瓜もみ夕餉明るき中にすむ/相馬黄枝
胡瓜もみ蛙の匂ひしてあはれ/川端茅舎
胡瓜もむエプロン白き妻の幸/西島麦南
胡瓜又シルクロードを伝播す/稲畑汀子
胡瓜喰らひ息の涼しき貧家族/澤木欣一
ごた~と煮てしまひぬ茄子胡瓜/寺田寅彦
しの字曲りのの字曲りの胡瓜かな/辻桃子
俳句例:61句目~
懐ひ茫々胡瓜の牛に茄子の馬/小松崎爽青
水溢れ胡瓜トマトも溢れ来る/蓬田紀枝子
わが畑のはしりの胡瓜もまれをり/飴山實
曲がることついつい忘れ優胡瓜/高澤良一
斗酒ありや日暮れて胡瓜刻む音/尾崎紅葉
初胡瓜河童に二本流しけり/菅原師竹句集
厨ごと手抜き加減に胡瓜もみ/西村美佐子
市に見し今朝の胡瓜や小指ほど/尾崎紅葉
胡瓜食む水の他人となりながら/攝津幸彦
自転車の少女把手より胡瓜立て/川崎展宏
巌に置くキャンプの胡瓜青々と/橋本鶏二
大たらひもて百膳の胡瓜もみ/石川星水女
秋立つと水に浮ばす茄子/胡瓜/西村公鳳
茄子胡瓜白き豆腐を買ひ得たり/林原耒井
蔓になつて胡瓜吹かれぬ鯉幟/大谷碧雲居
胡瓜いでて市四五日のみどりかな/大江丸
訪ひとはれしつつ今宵の胡瓜揉み/上村占
夕空に窓つつまれぬ胡瓜もみ/岡本まち子
豆殻をさしくべながら胡瓜もみ/松藤夏山
一雨去り一雨また来る胡瓜揉み/角川春樹
俳句例:81句目~
輪にもせず竪にもわらず胡瓜哉/正岡子規
胡瓜噛む音続けよ半盲の母よ/伊丹三樹彦
寝たきりの父にとどける初胡瓜/石田仁子
旅戻りやはり吾が家の胡瓜もみ/長尾鳥影
新涼や胡瓜きざむに音たてて/鈴木真砂女
胡瓜植え山の暮しの變化日々/今井千鶴子
旅疲れともなく家居きうりもみ/稲畑汀子
うかうかと胡瓜の育ち過ぎしかな/石山耶舟
でで虫の胡瓜を喰うてまた殖ゆる/岩田由美
のびきりし胡瓜の蔓の空およぐ/小川/木橋
へぼ胡瓜地を擦るばかり忍野町/新井佳津子
スパシーバばかり連発生マ胡瓜/猿橋統流子
ヘボ胡瓜笑ひ怺えるかたちかな/小出きよみ
ラジカセを大きくかけて胡瓜もみ/足立悦子
一山の胡瓜買ふ腰子につかまれ/千代田葛彦
仰向いて胡瓜の馬の流れずに/阿部みどり女
写し倦む過去帳や胡瓜見て来よか/河野静雲
勾玉のひでり胡瓜を折りて食ふ/赤松けい子
胡瓜揉みぽりぽりやりて昼餉了ふ/高澤良一
好き嫌ひなき子に育ち胡瓜もみ/嶋田摩耶子