俳句例:201句目~
置けばこつんと声を出す夜の胡桃/遠藤若狭男
胡桃割つて文書く文字のぎこちなく/大橋敦子
襞のふかみで考へてゐる夜の胡桃/能村登四郎
髪梳いて胡桃の栗鼠を待つこころ/稲垣きくの
群れ入りし小鳥胡桃にまぎれけり/阿部みどり女
胡桃ひとつは鳴らずひとつは黄泉の国/加藤楸邨
振れば鳴る胡桃もクリスマスのひとつ/村越化石
ことことと胡桃のなかのシャイロック/平井照敏
三鬼の忌くるみなかなか割りにくし/成瀬桜桃子
胡桃に棲まるカトウノヴィッチ/イクヤーノフの春/加藤郁乎
胡桃の実カサと割りつつ酒を飲む夫の孤独の縁にわが座す/平林静代