「暮の秋」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「暮の秋」について
【表記】暮の秋
【読み方】くれのあき
【ローマ字読み】kurenoaki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・秋くるる(あきくるる:akikururu)
・暮秋(ぼしゅう:boshu_)
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季節による分類
・「く」で始まる秋の季語
・「秋の時候」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
暮の秋を含む俳句例
十年も言葉一つよ暮の秋/禅桃
門を出て故人に逢ぬ秋暮/蕪村
四五反のきぬ裁残す暮の秋/湖
勾当の身を泣く宿や暮の秋/几董
暮秋の鬢髪吹かれ寺男/石原舟月
跡かくす師の行方や暮の秋/蕪村
孳せし馬の弱りや暮の秋/炭太祇
赤松の秋の日暮の真宗寺/高澤良一
海を出て四億年の暮の秋/矢島渚男
ちかぢかと馬の顔ある暮の秋/林徹
松風や軒をめぐりて秋暮れぬ/芭蕉
気のつかぬ隣の顔や暮の秋/炭太祇
落る日や北に雨もつ暮の秋/炭太祇
鴉四羽五羽六羽秋暮の倫敦塔/林翔
能すみし面の衰へ暮の秋/高浜虚子
眼力にあがる怒濤や暮の秋/齋藤玄
身邊に病人多き暮の秋/吉良比呂武
火口湖の俄に暮秋深めたり/岡淑子
掛幢の錦の縒れや暮の秋/尾崎迷堂
差毛して赤羽勝つ鳥暮の秋/内田百間
俳句例:21句目~
市人に晴れ続く日や暮の秋/島田青峰
暮の秋二重に生きて雲と土/落合冬至
うまし国の秋の日暮の棒置場/原田喬
暮の秋荒壁を日が歩くなり/田中冬子
川波に痩せゆく杭や暮の秋/野村喜舟
村はみな欅を門とし暮の秋/皆吉爽雨
梅もどき我あり顔や暮の秋/黒柳召波
ほどけゆく車の流れ暮の秋/稲畑汀子
水甕に箍をはめけり暮の秋/寺田寅彦
礼すれば釈迦三尊に暮の秋/下村槐太
秋暮るるなり長汀の土佐の国/小澤實
老母の硬き爪切る暮の秋/甲斐すず江
聞き過ぐる鑢の音や暮の秋/内田百間
井月の瓢は何処へ暮の秋/芥川龍之介
草の戸の臀たれ猫や暮の秋/飯田蛇笏
闘牛の花蘭ねぶる暮秋かな/飯田蛇笏
饂飩屋の晝来る町や暮の秋/内田百間
北海に突出し工場暮の秋/深見けん二
取に来る鐘つき料や暮の秋/正岡子規
喜雨亭に佳き酒にほふ年の暮/秋櫻子
俳句例:41句目~
かたまつて金魚の暮るる秋の雨/亜浪
二三日狐も寄らず暮るる秋/会津八一
夢さめておどろく闇や秋の暮/秋櫻子
大鐘の銘読んでゐる暮の秋/河野友人
子規庵の暮秋の畳明りかな/高澤良一
寒きとて寝る人もあり暮の秋/炭太祇
岩屋寺に佛もひとり暮の秋/上田俊二
返り咲く紫紺のあやめ暮の秋/福田蓼汀
女房をたよりに老うや暮の秋/村上鬼城
うす虹をかけて暮秋の港かな/飯田蛇笏
その中の眼の神へ寄る暮の秋/村越化石
蝶ときに人の貌する暮の秋/河原枇杷男
はね藁を食み込む臼や暮の秋/内田百間
帰り来て父母なき山河暮の秋/佐藤慈童
華やぎてわれここにあり暮の秋/原石鼎
ものつくる時みな一人暮の秋/後藤紀子
わたましの大飯くふや暮の秋/石原舟月
羅漢さまの一人は父よ暮の秋/松永静雨
花うつる忌の甕水も暮秋かな/飯田蛇笏
人のもの質に置きけり暮の秋/永井荷風
俳句例:61句目~
切株の木芙蓉兀として秋暮れぬ/森鴎外
船に乗れば陸情けあり暮の秋/高浜虚子
建て急ぐとんとん葺や暮の秋/石塚友二
国果の海の暗さや暮の秋/長谷川かな女
畫布伸べて壁の明りや暮の秋/内田百間
秋暮るゝ簗番炉火に竹を焚く/高濱年尾
金龍の舞の奇瑞や暮の秋/久保田万太郎
秋暮るるなり良寛の書の天地/対馬康子
音なき画彩なき楽に暮るる秋/福田蓼汀
大蛸の乾きて島の秋暮るる/梶山千鶴子
雲は暮秋河岸の高層工すすむ/飯田蛇笏
風紋をつくる風立ち暮の秋/鈴木真砂女
塵たいて立退く門の暮秋かな/石原舟月
鵜を撫して鵜匠の鬚や暮の秋/石川桂郎
病妻の閨に灯ともし暮るる秋/夏目漱石
祭文や小春治兵衛に暮るる秋/夏目漱石
暮の秋牛車とほりて微塵なし/戸塚時不知
暮秋発火の鑢と真正「血の道灸」/竹中宏
朴葉味噌熱く暮秋の飛騨に泊つ/石原舟月
尺寸に立つ子をつつむ冬の暮/秋元不死男
俳句例:81句目~
身のうちを病占めたり秋暮れよ/尾崎迷堂
暮の秋能登の婢を得たりける/五十嵐播水
ウラン怖づ暮秋を母の箒持つ/磯貝碧蹄館
永遠にふたりぼっちの暮の秋/山崎十死生
手向くべき線香もなくて暮の秋/夏目漱石
来ぬバスを待つも一人や暮の秋/北岡文子
暮の秋むま子ひひ子俵積む中に/五車反古
秋暮るる男なき家のあなづられ/福田蓼汀
稲村に乞食の火事や暮の秋/菅原師竹句集
糊細工に指先こはし暮の秋/長谷川かな女
胃ぶくろにすごもる虫や暮の秋/飯田蛇笏
ゆきずりの寺に僧なき暮秋かな/八幡城太郎
いちめんに彼方は錆びし暮の秋/阿久沢長道
刈りあとの篠が足つく暮秋かな/鷲谷七菜子
予後くらき患者ばかりの秋暮るゝ/相馬遷子
振り返る路細そぼそと暮秋かな/芥川龍之介
いささかなおひめ乞はれぬ暮の秋/与謝蕪村
絵師泊めて夜のにぎやかに暮の秋/石原舟月
ふつ~と煮ゆるおでんや暮の秋/久保田万太郎
生きざまの流浪にも似て秋暮るる/鈴木真砂女