「薫風」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「薫風」について
【表記】薫風
【読み方】くんぷう
【ローマ字読み】kumpu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・風薫る(かぜかおる:kazekaoru)
・風の香(かぜのか:kazenoka)
・南薰(なんくん:nankun)
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季節による分類
・「く」で始まる夏の季語
・「夏の天文」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
薫風を含む俳句例
薫風や磴百八の男坂/水原春郎
薫風や白鷺城の鎧櫃/八十島稔
薫風や病影を雲光り過ぐ/朱鳥
薫風の御宿鰊御殿前/石塚友二
薫風に求めて軽き山中紙/林翔
薫風や金襴巻きし円柱/羽部洞然
薫風や裸の上に松の影/正岡子規
薫風や衛兵交代整然と/築谷暁邨
薫風や艶戻りたる花鋏/朝倉和江
薫風や汀小高み浜街道/尾崎迷堂
薫風や只自らを顧みし/倉田素直
薫風や千山の緑寺一つ/正岡子規
薫風の中疾走の三輪車/渡井恵子
柴進の表巫敷や風薫る/正岡子規
薫風に大きく開く旅鞄/寺井満穂
鷺一つ立て青田の風薫/正岡子規
薫風に天平佛の肌拭ふ/狹川青史
古杉や三百年の風薫る/正岡子規
風の字が起す薫風書展出づ/林翔
薫風や下戸に戻りし老が宿/太祇
俳句例:21句目~
薫風の恙拭ひてゆく如く/坂井建
薫風の泉なるべし大榎/本宮鼎三
薫風を捌き疲れて夕欅/高澤良一
廃殿に薫風檜の香失せず/杉本寛
石毎に松もつ谷の風薫る/正岡子規
薫風や煙草の煙吹ちらす/正岡子規
石菖や薫風起るへごの鉢/正岡子規
かきわける花暖簾や風薫/正岡子規
破風赤く風緑なり寛永寺/正岡子規
薫風や神との間の白几帳/毛塚静枝
絵の島や薫風魚の新しき/正岡子規
薫風や神への誓い美しき/榎本摂子
薫風の大樹の言葉渚まで/松沢鍬江
薫風や衆門なべて芳しく/小出秋光
脇息に薫風細き腕を吹く/正岡子規
舞殿や薫風昼の楽起る/河東碧梧桐
薫風の島のポストに落す文/星野椿
薫風や角砂糖にある背信/浅田孝子
古杉の風薫りけり奥の院/正岡子規
薫風や那智谷汲を一吹に/高橋睦郎
俳句例:41句目~
鼓聞え謡聞え松の風薫る/正岡子規
薫風や鼈甲いろの伸子針/島村久枝
薫風を入れて授業の甦り/紙野康美
薫風の鏡に写す眉目かな/日野草城
薫風の雪崩落ち来る庇かな/上野泰
薫風を嶺より賜ひ大山寺/桂樟蹊子
御白粉の風薫るなり柳橋/正岡子規
薫風は軽き等圧狷介なり/香西照雄
風熱く大和心の薫りけり/正岡子規
薫風に人死す忘れらるゝため/遷子
駆け引きはなし薫風の占師/秋尾敏
薫風も敗者の旗も崖の上/対馬康子
日光へ薫風杉の十里かな/赤木格堂
春日野や薫風含む巫の袖/正岡子規
薫風がまはす縄文紡錘車/宮坂静生
薫風やめばるの瞳漆黒に/堀口星眠
薫風や三千院の懸樋鳴る/天野和風
薫風や五百羅漢の幅の反/会津八一
歴史には残らぬ男薫風に/相馬遷子
薫風や井伊の姫御の赤鎧/京極杜藻
俳句例:61句目~
薫風や元日から咲く桜草/渡辺水巴
薫風や全速力の鹿の脚/和田耕三郎
薫風や出窓の多き異人館/水幸幸雄
薫風や千手自在に観世音/田宮房子
薫風や奥の幽みし行者堂/風間蕉美
薫風や嬰の欠伸のOの口/今瀬剛一
海女潜き薫風磯に白らみたる/仙臥
薫風や春秋共に五十年/古藤一杏子
薫風や本を売りたる銭のかさ/百間
理學部は薫風楡の大樹蔭/高浜虚子
薫風に草のさざなみ草千里/山口速
薫風に袂ふくらむ馬上哉/正岡子規
薫風に首洗はるる池の亀/高澤良一
花嫁に蹤き薫風を頒たるる/大石悦子
通過駅薫風だけが音となる/中村恭子
踏みならす橘橋や風かをる/正岡子規
松の木に風蘭もありかせ薫/正岡子規
薫風や笊いつぱいの豆達磨/遠藤梧逸
薫風の脈打つて来る草千里/西村博子
一帆や薫風岬飛ばんとす/東洋城千句
俳句例:81句目~
薫風や古りて艶増す竹人形/大塩千代
薫風や祭の町に古書を買ひ/伊藤京子
薫風や黄鶺鴒啼く水屋の巣/渡邊水巴
薫風や一度も花を挿さぬ壺/朝倉和江
薫風や下駄の低さの恥しく/野村喜舟
半島の薫風へ干すをとこもの/藤井綸
薫風に丸洗いせし五体かな/森しず子
薫風や浅間の煙吹きかはり/野村喜舟
夏草や君わけ行けば風薫る/正岡子規
薫風や釣舟絶えず並びかへ/杉田久女
薫風や樹齢きそへる神の森/長谷川翠
薫風や大文字を吹く神の杜/正岡子規
薫風や大樹と大樹隣り居る/村越化石
薫風や酒母の泡立つ壷屋甕/中村阪子
薫風やむかし伯山の張扇/水原秋櫻子
薫風や蝿取蜘蛛の一二匹/島村元句集
薫風や草にしづめる牧の柵/奈良鹿郎
薫風や舟を放つてはまち釣/正岡子規
松島や舟は片帆の風かをる/正岡子規
松風の匂はゞ須磨の朝の内/正岡子規