白紙に関連した俳句の例をまとめました。
白紙を含む俳句例
懐に白紙一帖更衣/岩木躑躅
行燈の白紙厚し鳥曇/金久美智子
白紙に拭ひて船の初鏡/宮武寒々
露寒や裏は白紙の喪の花輪/林翔
湯上りの心は白紙夕端居/上野泰
ともしびを囲ふ白紙秋祭/山本洋子
夕蝉や追悼の稿まだ白紙/鈴木鷹夫
寒月や白紙の飛狩のあと/加舎白雄
少年に白紙おかれて冬の鵙/桂信子
花冷の裏も表も白紙かな/大澤保子
湲流に初蝶の白紙漉村/松崎鉄之介
白紙に包みし土産蕗の薹/高浜虚子
白紙より湧く影のあり日雷/桂信子
含羞や白紙のうえの寒卵/河合凱夫
爪切つて白紙に包む夜の秋/中拓夫
新玉の句帳の白紙初心とす/田中英子
夏嵐机上の白紙飛びつくす/正岡子規
白紙に置く錐一本の残暑光/鈴木鷹夫
白紙に鱸よこたへ祝ぎの家/綾部仁喜
形代の白紙袂のあるあはれ/福田蓼汀
俳句例:21句目~
脚つまみ白紙の上へ蚊の骸/高澤良一
新年の白紙綴ちたる句帖哉/正岡子規
冬曙白紙明りといふべかり/中村明子
春昼の白紙にぬぐふ母の櫛/野澤節子
三伏の白紙につつむ絵蝋燭/吉田汀史
濃く磨りし墨と白紙や夏籠/尾崎迷堂
眼をとぢて白紙のごとき秋夕べ/奥きく
なまなまと白紙の遺髪秋の風/飯田蛇笏
苗代や浄き白紙を鳥おどし/高橋淡路女
白紙に土筆の花粉うすみどり/後藤夜半
梅一輪活けて白紙の海がある/対馬康子
白紙にもらふ用意や唐がらし/飯田蛇笏
胸中の未来は白紙小鳥来る/穐好樹菟男
初辰や白紙きよらに塗り机/上川井梨葉
白紙に一と握りづゝ舳倉海苔/前田普羅
吾れに白紙蛾に白壁のしろき夜が/鷹女
睡蓮の深みへ捨てし白紙かな/柿本多映
曲り角で夕陽と別れ明日は白紙/穴井太
誘蛾灯次のぺージは白紙かも/竹貫示虹
文字あまた白紙に戻る夜の雷/松村筺花
俳句例:41句目~
露時雨窓下白紙の暁けゐるや/巌谷小波
青葉木菟弔辞の紙のまだ白紙/宮田正和
年明ける畳に白紙いちまいと/稲垣暁星子
拡げおく白紙へ何か死ににくる/森田智子
浮塵子来て未だ白紙の稿横這ふ/岡本圭岳
枇杷の核の沁み拡がれる白紙哉/西山泊雲
白紙に置きたる露もありにけり/松藤夏山
湯豆腐や白紙にもどす子の進路/川崎慶子
明け易きものの白紙書きちらし/林原耒井
白紙を張りあましある燈籠かな/後藤夜半
禰宜平服白紙に鯛焼横たへて/平井さち子
空蝉を白紙に置きて二日過ぐ/赤尾冨美子
青葉騒白紙に戻す死後のこと/久保田豊秋
ペンの影白紙にありて死を論ず/浅井冬男
わが前の白紙いつまで虫の故郷/成田千空
火事遠し白紙に音のこんもりと/飯田龍太
利休忌の白紙にちかき置手紙/上田日差子
童女来て白紙をねだる暮春かな/加倉井秋を
わが前の白紙に零下三度の灯/阿部みどり女
ほたと落ちし墨も白紙のうらゝけき/碧梧桐
俳句例:61句目~
薔薇を詠むことを白紙にして戻る/古舘曹人
こほろぎの夜深みたる白紙かな/晏梛みや子
空蝉を置いて白紙に翳り生む/鍵和田ゆう子
神棚に貼りし白紙や夜の秋/吉武月二郎句集
笹枯れて白紙の如しかたつむり/竹下しづの女
二ン月の風や白紙を繰るごとし/竹田ろうかん
明易し白紙を巻ける旅枕/河野博行「貴船菊」
白紙に委任の愛の手形ぞサフランは/原子公平
弥生ここに白紙春のあなたに『妾薄命』/宇多喜代子
夏シャツまくつて見えない敵を白紙に描く/伊丹三樹彦