故里に関連した俳句の例をまとめました。
故里を含む俳句例
佇つ人に故里遠し浮寝鳥/風生
故里の入口寒し亂塔場/正岡子規
暗闇に故里訛富士詣/吉村あい子
笹鳴やけふ故里にある思ひ/篠原
春暁の夢の土橋の故里よ/高柳重信
恵方道故里人と話しつれ/富安風生
故里の厠の貧し李咲く/瀧澤伊代次
天井の低き故里千鳥鳴く/小田泰枝
故里に帰りし女芹を摘む/真柄嘉子
猪肉の包み大事に故里人/細見綾子
故里の人を思へば霰降る/会津八一
故里の河口越冬つばめかな/内田郁代
故里は母ありてこそ猫柳/長谷川満子
母ありてこその故里春の雁/藤田正聲
母と住む此処が故里稲の花/三谷スミ
故里の青嶺さびたり鰻食ふ/細見綾子
故里をぶら~歩く金盞花/真田三裕紀
子にうつす故里なまり衣被/石橋秀野
花人として故里にある一日/山田弘子
山鳩のみ故里の声つまびらか/林薫子
俳句例:21句目~
故里は火を点したる夜寒哉/寺田寅彦
故里にしばらく菊の奴かな/野村泊月
故里へ近づく鰊ぐもりかな/高岸藤渓
故里や六年ぶりの風呂の秋/寺田寅彦
故里や稲妻がして早寝せり/細見綾子
故里の人や汗して菜飯食ふ/細見綾子
故里や蝉の聲しむ母の骨/栗林一石路
故里の夢麦秋の汽車に覚む/橋本喜夫
故里は子規の松山つくつくし/川崎祥子
故里は今も無医村冬ぬくし/坂本登美子
汗引いて山河やうやく故里ぞ/皆吉爽雨
年の暮故里に身をゆるめたる/細見綾子
故里に禰宜とし帰る夏帽子/石川冨美子
故里の何処を向いても冬銀河/東濃幸子
故里の粟餅を焼き老いんとす/細見綾子
故里の深雪に吾子を旅発たす/山田弘子
母病むと訪ふ故里や羽蟻の夜/山田弘子
甘草の芽の出し土橋故里に/瀧澤伊代次
故里の野の香炊き上げ嫁菜飯/山田弘子
女の履歴書に故里の川がある/鹿山末広
俳句例:41句目~
芹摘んで故里とほき齢かな/望月たかし
苗木植う故里の山踏みしめて/川崎俊子
いまだ見ぬ夫の故里黄沙降る/豊田美奈子
ゐのこづち故里に来てただ睡し/中村苑子
墓参せし夜の雨音の故里に寝る/大橋裸木
故里につながる蜜柑ころがれり/村越化石
故里に声なき昼やもつれあい/津沢マサ子
故里の蚊の声あまし酒をくむ/瀧澤伊代次
故里を語らばや蝌蚪生るゝなど/細見綾子
日貼剥ぐや故里の川鳴りをらむ/村越化石
故里の銀漢小さくなりにけり/瀧澤伊代次
田螺生るわが故里の津守かな/柴田きよ子
目貼剥ぐや故里の川鳴りをらむ/村越化石
老の身に故里ありて栗とどく/松本つや女
藁塚ごとに藁塚の影あり故里は/藤岡筑邨
霧こめた野に泣くところ故里は/竹屋敦子
馬屋見れば故里遠し合歓の花/瀧澤伊代次
ここ故里のひととこの眠り草かな/大橋裸木
草の穂をぬいて故里見てありく/瀧澤伊代次
夕陽ひろびろ我が故里は麦蒔かれ/木村緑平
俳句例:61句目~
故里を発つ汽車にあり盆の月/竹下しづの女
故里や打てば炎えたつしびと花/河原枇杷男
盆燈籠の下ひと夜を過ごし故里立つ/尾崎放哉
寒ン晴れの故里に戻り芋粥に喉やく/大橋裸木
故里や家失せてうちむらさきの樹も/二宮貢作
白髪すいて故里ばかりがとおくなる/中谷みさを
雀の声の故里のそこここへ土産を分ける/大橋裸木
麦の夜風のなまぬくき故里へ病んで戻る/大橋裸木