胎児に関連した俳句の例をまとめました。
胎児を含む俳句例
日輪草透視胎児の女なり/日原輝子
胎児いまの呼吸や冬銀河/辻美奈子
胎中の胎児三寒四温越ゆ/清水基吉
空蝉は胎児の容千年樹/伊丹さち子
虎落笛胎児は耳の形して/森田智子
いきいきと胎児脈うつ立葵/和田悟朗
苗代寒胎児が母の貌を変ふ/辻田克巳
母ぐるみ胎児多しや擬砲音/三橋敏雄
燻り炭胎児に代り妻むせぶ/鷹羽狩行
女の身瓶の胎児にみつめらる/三谷昭
空豆や胎児のように莢の中/青木久代
炎昼の胎児ゆすりつ友来る/野澤節子
薫風を深く胎児が四肢のばす/吉原文音
花の下胎児はぐくむ湿りかな/青江沙椰
胎児への道はひとすぢ冬満月/杉本雷造
麦踏の胎児に双手置き憩ふ/増田河郎子
勾玉は胎児のかたち建国日/合屋多久美
春の夜の浴槽に胎児との浮力/寺井谷子
夕凪や烏賊の胎児の瞳は緑/奥野曼荼羅
妻告ぐる胎児は白桃程の重さ/有馬朗人
俳句例:21句目~
胎児いま二/五センチ桜咲く/宮地英子
春愁よどけと腹蹴る胎児かな/仙田洋子
月光や葡萄のなかにゐる胎児/大屋達治
重くなる胎児に夏の鬱たる樹/中山純子
露と星胎児動けばひめ犇々と/川口重美
土佐水木胎児の形になりすます/吉田紫乃
寒き夜は胎児のかたちして眠る/大浜恵一
強ひて言へば綿虫百はわが胎児/栗林千津
日向ぼこせり胎児より下降して/齋藤愼爾
波のごと胎児うごきて冬ぬくし/三角尚子
水呑んで胎児のうごく稲の中/上高原ひ郎
五ミリにもみたぬ胎児よ初写真/河内協子
爽やかな告白のごと胎児動く/長谷川秋子
秋の霜老いは胎児に似て眠る/長谷川朝風
秋涼や胎児のごとく寝まりたる/黒滝恒子
蓮華田に逆立っている胎児かな/森田智子
エコーに写る胎児の欠伸桜咲く/土本美亀
遠雪嶺見むと胎児もともに出づ/鷹羽狩行
一本づつ葱洗ふはや胎児重し/榎本冬一郎
北の虹胎児捨てたる身を包む/八木三日女
俳句例:41句目~
風邪の日は胎児の姿勢で充電す/比嘉友恵
虹の輪の真下に我と娘と胎児/石崎多寿子
初風呂に胎児うごきてあふるる湯/古堅蒼江
胎児に夏母への一歩おづおづと/山本つぼみ
花野の空胎児に帰り浮くとせば/高野ムツオ
るんるんと胎児つらぬく砲あつて/阿部完市
春寒のくらがり胎児のまねをする/佐伯春甫
春あけぼの胎児とひとつ呼吸せり/仙田洋子
新緑めぐらし胎児育ててむわれ尊/金子皆子
離ればなれの鉄骨銃座にも胎児/東川紀志男
山茶花に雪よ胎児がわが夜の友/上野さち子
胎児のごと老いてまるまり冬至風呂/清水基吉
胎児のみにきこえて霜の降りにけり/八田木枯
パラソルを廻し胎児をよろこばす/中尾寿美子
本犀のにおう祈りにつぶれる胎児/八木三日女
蝌蚪の辺に胎児をささぐごとくたつ/佐藤鬼房
打楽器の夏夜たかぶり胎児動く/円城寺うた子
麦は黄に胎児こぼれんばかりなり/野見山朱鳥
室の花胎児に聞かすシューベルト/安養寺美人
花びらを踏みももいろの胎児かな/長谷川久々子
俳句例:61句目~
胎児にとって真冬のフォルテは必要不可欠/夏石番矢
羊水の海に沈みてとなる胎児のごときわがかなしみぞ/槇弥生子
ふとおもへば性なき胎児胎内にすずしきまなこみひらきにけり/葛原妙子
メスのもとにひらかれてゆく過去がありわが胎児らは闇に蹴り合ふ/中城ふみ子