尺蠖に関連した俳句の例をまとめました。
尺蠖を含む俳句例
尺蠖の真から青し仏径/大中誉子
尺蠖の尺残しけり何迷ふ/近藤一鴻
尺蠖の探り直せる空の奥/高澤良一
尺蠖の遅々寸々を愛すべし/塘柊風
尺蠖や教師の他に能もなし/樋笠文
尺蠖も緑に擬する山深み/富安風生
棒立ちし寸取虫の思案貌/杉山青風
尺蠖の尺が小刻み竹生島/河合凱夫
尺蠖に尺計らるる松葉杖/國島十雨
尺蠖や測り疲れて一文字/吉田水乱
尺蠖やたかが男の自尊心/仙田洋子
尺蠖や杉山中に睡り足る/進藤一考
いまの世の尺蠖あゆむ車石/川勝ミヨ
尺蠖の真砂に落ちて怒りけり/日原傳
動く葉は尺蠖の居りにけり/高濱虚子
尺蠖の頂礼大地しづかなり/嶋田麻紀
尺蠖の道とり乱す人の胸/稲垣きくの
尺蠖の騙し果せしとは笑止/原田青児
尺蠖や夏天雲のうごくなし/加藤楸邨
尺蠖をつれて去りたる大没日/原田喬
俳句例:21句目~
尺蠖のあそべる旅の机かな/細川加賀
尺蠖を見る頬杖を子も真似ぶ/西垣脩
尺蠖虫病歴どこか略さねば/朝倉和江
山青く青き尺蠖風をはかる/宮津昭彦
空探るとき尺蠖の枝となる/田中鼓浪
尺蠖の五体投地や朝の飢/吉野トシ子
尺蠖の哭くが如くに立ち上り/上野泰
訴へか祈リか尺蠖首を振り/福田蓼汀
尺蠖の尺は一昨日より長し/高木一惠
尺蠖の尺取り急ぐ梅雨晴間/和田祥子
尺蠖の葉尖にさぐる空の翳/原田種茅
尺蠖の歩く蚕部屋の竿秤/皆川美恵子
さりげなく尺蠖虫を転がしぬ/吉井幸子
尺蠖の濡れ桑にゐて虹あかり/飯田蛇笏
尺蠖の尺振り切つて声疲る/河野多希女
尺蠖の夕日は掴みがたきかな/大類孝子
尺蠖の尺とり終へて逆立てる/阿部夕礁
尺蠖に華麗なる授業などはなし/樋笠文
尺蠖ののぼりつめたる宙ばかり/近藤実
尺蠖や夏天の雲のうごくなし/加藤楸邨
俳句例:41句目~
尺蠖虫尺とりうせて酒剰さず/石川桂郎
尺蠖の行方をきめる頭上げ/栗林真知子
尺蠖の青嶺はかるや句碑の前/巌谷小波
来し方や尺蠖ほどの節度なく/春名耕作
尺蠖の大きな伸びの昼さがり/平子公一
尺蠖の一ト指し詰まり畢りけり/河野南畦
尺蠖の糸引き落ちて明けゆけり/太田蓁樹
尺蠖や仕事を明日へのばしゐて/朝倉和江
尺蠖や律義に生きて疎まるる/奥野曼荼羅
尺蠖の棒立ちとなり枯れはじむ/本澤晴子
天へかへる尺蠖の子をはげましぬ/原田喬
子の探す尺蠖消えて枝となる/福屋千穂美
尺蠖が棒となりたる疾風かな/阿波野青畝
尺蠖のひたすらの歩を風の中/渡邊千枝子
尺蠖のひとたび縮み執着す/手代木唖々子
鍬の柄に尺蠖が立ち雨季に入る/木村仔羊
風ありて尺蠖とぶがごときかな/高橋馬相
尺蠖虫計りたがへし身を吊るす/篠田悌二郎
尺蠖の速度に乗りてパンかをる/鳥居おさむ
尺蠖の胡瓜の枝かとだまされし/城戸崎松代
俳句例:61句目~
尺蠖虫の焔逃げんと尺とりつつ/中村草田男
登りつめて尺蠖天をさぐりけり/小山百一翁
尺蠖の時を惜しまず戻りけり/なかのげんご
葉を食べて尺蠖茎になりすまし/小林いまよ
尺蠖の逃げゆくときも尺をとる/山内年日子
尺蠖とゐて知らざるを知るとなす/藤岡筑邨
尺蠖の計り了ふことなかりけり/阿部みどり女