遠音に関連した俳句の例をまとめました。
遠音を含む俳句例
春の月雉の遠音に傾きぬ/士朗
虫遠音刻々月下美人解け/及川貞
うき時は蟇の遠音も雨夜哉/曽良
鶯の遠音と父の記憶力/栗林千津
塩田に遍路の鈴の遠音あり/舟月
鬼ケ城夏鶯の遠音して/前田普羅
山塊の月の仏法僧遠音/中村將晴
夢かれて初秋犬の遠音かな/西吟
打返す枕に虫の遠音かな/井上井月
恋猫の鈴の遠音や姥子宿/井上久枝
薺うつ遠音にひくや山かつら/青蘿
蜩の遠音に人の恋しかり/鹿野周治
鹿笛に答へて鹿の遠音哉/正岡子規
老鴬の遠音どこまでも遠音/及川貞
陵の青葉に潮の遠音かな/会津八一
日盛に知らぬ小鳥の遠音かな/泉鏡花
筒鳥の遠音近づくことのなし/森田峠
月夜の星大きくて蛙の遠音/北原白秋
宿題の子に邯鄲の遠音澄む/西村和子
筒鳥の遠音か夕雲岳とざす/福田蓼汀
俳句例:21句目~
蟲遠音近音月下の留標群/下村ひろし
朧夜に何やらものゝ遠音哉/正岡子規
高からぬ山突兀と百舌遠音/三好達治
朝夕の潮の遠音も羽子日和/西島麦南
うぐひすの西日になつて遠音かな/比良
こゑおもく牛遠音して梅の奥/石原舟月
みん~やつく~法師遠音なる/野村喜舟
三光鳥森のしづくとなる遠音/北川孝子
夏鶯の悲願の遠音あるばかり/飯田龍太
奔流の遠音となりし山椒の実/斎藤梅子
筒鳥の遠音ばかりに峡暮るる/江口良子
身を鍛へよと頬白の遠音冴え/飯田龍太
近づくと思ひし鹿の遠音かな/柳原極堂
海鳴りの遠音を聞くや冬籠/岡本癖三酔
雉鳩の遠音うつつに明易し/佐々木俊介
邯鄲の鳴ける遠音に風の出て/行方克巳
鶯のいつか去にけん遠音かな/会津八一
寒蝉の遠音ばかりの余生かな/山口草堂
鶯の遠音のありて雨読の日/浅井青陽子
鶸遠音笹かぶる井の底知らず/臼田亞浪
俳句例:41句目~
鮎の瀬は遠音あぐるや蚕仕度/前田普羅
鳴くてふに鹿の遠音や老が耳/松根東洋城
風鈴の遠音に似たり甲斐地酒/長谷川秋子
うぐひすの遠音置きたる鏡かな/中村祐子
うちまぜて遠音かちたる砧かな/飯田蛇笏
啄木鳥の柝を遠音に師匠亡し/上田五千石
鴬の遠音こたびは夫が聴きし/上野さち子
鶏遠音きこゆる北風に病臥かな/富田木歩
小春日の障子をはたく遠音かな/大谷句佛
恵那晴れて遠音はりゐる囮かな/本田一杉
郭公の遠音こだまは末消ゆる/豊長みのる
草笛の遠音はすでに暮れてをり/寺井満穂
雉子鳩の遠音や風のさくらんぼ/渡邊水巴
麦笛やおのが吹きつゝ遠音とも/皆吉爽雨
笛の音のあはれ遠音や盆の夜々/馬場移公子
山茶花に筬の遠音をなつかしむ/小松崎爽青
憂き時は蟇の遠音も雨夜かな/曾良「蛙合」
ひぐらしの遠音の糸の切れしまま/飯田龍太
雪ちらちら鵯の遠音をなつかしむ/臼田亞浪
あかがねの茶筒に雉子の遠音あり/友岡子郷
俳句例:61句目~
冴ゆる灯の見えて石切る遠音かな/広江八重桜
煮ゆる壺焼に海の遠音を聞きにけり/島田青峰
かりがねの遠音もあらむ川の音/小松原みや子
筒鳥の風の遠音となりにけり/三村純也「常行」
めづらしや水鶏の遠音竹をうつ/樗良「雪の声」
秋来れば博多小女郎もなげきけむ波の遠音に人の待たるる/柳原白蓮