靴音に関連した俳句の例をまとめました。
靴音を含む俳句例
靴音の暑さ呆けの穹の花/松澤昭
霜柱踏めば軍靴の音すなり/篠原
新涼の靴音を待つ石畳/西村和子
新盆や空耳なれど靴の音/秦夕美
十二月八日靴音消ゆる壁/寺井治
山滴る靴音軽き朝かな/中村輝峰
鼬罠あり戦争の靴の音/白石多重子
立冬や靴音一人急ぎくる/高橋幸代
寒月や氷ふみわる靴の音/正岡子規
ひぐらしの駅に駅夫の靴の音/昭彦
青写真父の靴音近づきぬ/石倉啓補
靴音は女が高しものの芽に/古舘曹人
血の担架秋風は靴音に昏れ/片山桃史
靴音と栗落つる音の均しさ/四ッ谷龍
噴水の辺り靴音たてゝ歩す/高木晴子
地の底に靴音とどく氷かな/長谷川櫂
寒月へのぼる靴音螺旋階/近藤甚之助
宵浅し露台へのぼる靴の音/日野草城
春泥や靴音重く子の帰る/高橋淡路女
枯れ急ぐ男ばかりの靴音に/影島智子
俳句例:21句目~
枯園や靴音家の中行ける/相生垣瓜人
霜の夜の塀に靴音跳ね返る/臼井培子
靴音一つ戒壇院の秋の昼/鷲谷七菜子
靴音の記者は乙女か夏めける/室生犀星
靴音の響かぬ雪の深さかな/佐々木京子
おん靴の音まぢかくて花散りぬ/及川貞
わが靴音おもし梵鐘に烏鳴き/河合凱夫
桐咲けり天守に靴の音あゆむ/山口誓子
霜柱踏めば軍靴の音うまれ/田中矢須彦
桟橋にひびく靴音三鬼の忌/片山由美子
汗馬降り音信絶えし我が靴音/片山桃史
菜明りやわが靴音の靄ひゆく/林原耒井
憂国忌どこかで靴の音しきり/石崎素秋
街角の靴音白とわかるまで/菅原さだを
車内爽やか山歩きせし靴音ぞ/大熊輝一
霜の夜の靴音止りベル鳴らず/林原耒井
霧の夜の靴音果して夫なりし/西村和子
靴音に咳で応へて灯しけり/板橋美智代
靴音の消ゆる黒土初大師/鍵和田ゆう子
おのがうちに靴音を積み雪の館/宮坂静生
俳句例:41句目~
ゆふざくら堂の靴音出で来る/山口波津女
靴音の凍ててオランダ坂に沿ふ/山田弘子
葬も了へてなほ靴音をまつ秋夜/飯田蛇笏
画布さむし大き靴音きて去れる/木下夕爾
火恋しわが靴音をわが聞けば/佐々木六戈
靴音をビルより落とし後の月/富川三枝子
梅雨の階真夜の靴音のぼりくる/木下夕爾
舗道凍つわが靴音の夜々ほてり/河合凱夫
マラルメの靴音を恋ふ枕木よ/荻原久美子
火戀しわが靴音をわが聞けば/佐々木六戈
螺旋階段凍てて靴音をこぼしける/有働亨
街凍ててこころおごらず靴の音/飯田蛇笏
靴音はをんならしくも霜夜なる/室生犀星
アパートの靴音おもき梅雨に入り/藤後左右
自宅附近にきて不器用な靴音さす/仲上隆夫
靴音が淋しいこの道がきらいです/黒田政子
春の靴音人の流れに溶けずわれ/小松崎爽青
我講議軍靴の音にたたかれたり/井上白文地
白靴の音なき午後をペルシヤまで/和田悟朗
靴音のみな跳ねかへる寒さかな/仲村美代子
俳句例:61句目~
セーヌ流れわが靴音に落葉降る/深見けん二
ひゞくものたゞ凍てきりし靴音のみ/河合凱夫
ガスの夜の街知性の靴音であるく/吉岡禅寺洞
靴音がコツリコツリとあるランプ/富澤赤黄男
天にオリオン地には我等の靴音のみ/楠本憲吉
冬野来る靴音か父母に逢う音か/長谷川かな女