写経に関連した俳句の例をまとめました。
写経を含む俳句例
神護景雲元年写経生昼寝/小澤實
初写経心経二百六十字/青柳薫也
暁や写経の人に鐘凍る/巌谷小波
弘法の水硯海に初写経/高杉悟泉
一日を写経三昧蓮の雨/寺田圭子
水涸の水を硯の写経かな/尾崎迷堂
秋晴に外出心もなく写経/福田蓼汀
青嵐写経の中に声百千/加藤知世子
大沢の池の涼風来る写経/大橋敦子
初旅や三千院に写経して/高橋達子
御写経一日一巻水の澄む/林千恵子
写経して仏正月早や日暮/井沢正江
往生の手形に写経法師蝉/高澤良一
古写経の緑を柳かと思ふ/長谷川櫂
日雷写経の硯すぐ乾き/河野美保子
お写経の一字一画筆はじめ/桜山静子
写経して見えたり春の箒星/和田悟朗
大文字草と写経の百千字/百合山羽公
写経まだほんの三行座禅草/小野祐子
写経会や香染かをる夏衣/名和三幹竹
俳句例:21句目~
茶立虫写経に点す母の部屋/斎藤朗笛
蒼朮の焚かれ写経の墨匂ふ/吉年虹二
衝立の虎嘯はだかる写経門/塚田秋邦
雉なくや燃ゆる涙の血写経/正岡子規
多羅葉に始まる写経風涼し/松本宣子
青梅や椽に立ちたる写経生/会津八一
磨る墨の香りがゆかし初写経/曽田卓夫
ありさまや写経の庵主庭の蛇/尾崎迷堂
お写経の僧俗もなき圓坐かな/滝口芳史
二人居て写経のはなし茸むしろ/上村占
百畳の写経に火鉢なかりけり/福井重子
暑気払ふ一筆毎の写経かな/坪井冨美江
写経会の浄机ととのひ堂涼し/上原朝城
秋の日に心の字浮けり写経石/三宅句生
初写経清浄無垢の紙のべて/安藤つねよ
鈴虫やねむごろに拭く写経筆/長谷川翠
色足袋で写経するなり老芸妓/品田弘子
菩提樹の花さしのぞく写経台/金子篤子
鈴虫や写経の墨をおろすとき/大森保延
雉子鳴くや写経の一字誤てる/尾崎迷堂
俳句例:41句目~
青蛙飛んで鞍馬の写経どき/大木あまり
写経会の庫裡より麦茶よく匂ふ/岩崎正子
写経会や杉すれすれに雷歩く/大木あまり
夜の秋や写経に立つる筆の鋒/鷲谷七菜子
大寒の火の気を断ちし写経かな/藤岡あき
草かげろふ来しが写経を妨げず/白岩三郎
息つめて写経一と文字春の宵/石川/泰子
著莪咲けば即ちこれを挿し写経/景山筍吉
数へ日や予後の筆勢なき写経/藤原しげみ
梅雨ぐもり写経の硯洗ひけり/高橋淡路女
波羅蜜多写経の半ば蚊を叩く/北見さとる
癒ゆるべし夏書の写経賜はりし/加藤岳雄
白木蓮や尼に写経の日課あり/西川ようこ
亡き母へ手向けの写経寒燈下/近江小枝子
写経せむ発心菩提子とびにけり/中村明子
秋の蚊を打って写経の乱れかな/河野聖城
墨を濃く一字写経や夏きざす/美谷島寸未子
紅葉葉を噛みつつ二階に写経せり/夏石番矢
写経の字彼方に飛んで痩せる夏/河野多希女
あきらめの写経の日々や松の花/小原菁々子
俳句例:61句目~
雉子啼くや写経無の字に墨つげば/吉野義子
汗ひとつ肘にむすびし写経かな/赤松ケイ子
頓写会の写経の僧に明けしらむ/長瀬はる女
写経会の夜風にいぶる蚊遣かな/阿久津渓音子
写経の身いづこ刺さむと蚊のくるふ/加藤知世子
吾が写経妨ぐ勿れ火取虫/平松三平「かつらぎ選集」