耳鳴りに関連した俳句の例をまとめました。
耳鳴りを含む俳句例
耳鳴りに梅も椿も真空管/穴井太
耳鳴りは宇宙の音か月冴ゆる/林翔
耳鳴りの砂漠に出れば春霞/斉藤夏風
蝉遠く耳鳴りに似る終戦日/鈴木鷹夫
鰰の腹のはじけて耳鳴りす/杉野一博
虎落笛わが耳鳴りと重なりぬ/西田早苗
耳鳴りのあの夕暮は蝶の羽化/柿本多映
耳鳴りのして啓蟄の村を出づ/佐川広治
耳鳴りのするほど静か枯木山/鈴木みよ
耳鳴りは神の欠伸と繰り返す/窪田圭子
耳鳴りの刀槍の闇近くなる/林田紀音夫
凍港の波と耳鳴る母よ老いたり/辻升人
耳鳴りの右に馴染めり四月馬鹿/宝法子
耳鳴りの放埓に年逝かむとす/久保乙秋
耳鳴りの果て木枯となりにけり/石嶌岳
耳鳴りの止むとき深き霧の音/鈴木鷹夫
残る虫耳鳴の虫が聴いてをり/川崎展宏
耳鳴りの耳に挿したや紅の萩/鈴木鷹夫
耳鳴るや師走を寝よと賜ふ風邪/及川貞
炎天に耳鳴りのごと乗る木馬/対馬康子
俳句例:21句目~
耳鳴る冬の大鳶が棲み発寒川/寺田京子
薄ら日の耳鳴りとある水引草/香坂恵依
耳鳴か梅雨明蝉かとも訊す/篠田悌二郎
虻来りわが耳鳴りと闘へり/広谷一風亭
蚕豆咲く透明の季の耳鳴り/北原志満子
蚯蚓鳴く耳鳴りもまた闇の声/山口草堂
耳鳴りの耳振つて聴く時雨かな/小出/恋
いんいんと耳鳴りわれに時亡ぶ/片山桃史
雪ふかきしづもりに耳鳴つてをり/上村占
コスモスを仆し続ける父の耳鳴り/武政郁
耳鳴りの又つのる日や土用凪/小沢満佐子
一ときの鳥の耳鳴りレース編む/対馬康子
耳鳴りはたぶんあの陽炎のせゐ/櫂未知子
川開き遠きいくさよ耳鳴りよ/宮川としを
耳鳴りに似てさわさわと落し水/前山松花
耳鳴りを春の近みの風音とも/冨田みのる
耳鳴りの他だれもゐぬ秋のこゑ/鈴木翠峯
灯を消して枕に虫や耳鳴りや/渡辺七三郎
耳鳴りのつんと抜けたり星月夜/秋山陽子
耳鳴りの耳に切りこむ鵙の声/山田麗眺子
俳句例:41句目~
耳鳴やホ句皆半ば暑さまけ/阿部みどり女
耳鳴りに似し初蝉のはろかより/朝倉和江
耳鳴りと虎落笛とを分けられず/工藤克巳
古き耳鳴れ鳴れ亀も鳴きをれり/相生垣瓜人
海鳴りを耳鳴りとして今朝の食卓/瀬川泰之
終戦日ノモンハン耳鳴りけふも診る/佐竹泰
耳鳴りにまぎれず啼けり冬ひばり/日野草城
耳鳴りの替る冬田に出でにけり/中戸川朝人
耳鳴りの奥にヒロシマすわりこむ/棚橋麗未
耳鳴りを忘れてをりし蝉しぐれ/杉山よしの
耳鳴りのきのふは吹雪けふ瀬音/正木ゆう子
耳鳴りやわれと火鉢が置かれたる/永井龍男
ひつじ田の枯れ見せ始む耳鳴りす/斎田史子
おけら鳴き止みて耳鳴り戻りけり/諸田宏陽子
ポンポン船のような耳鳴り月見草/夫馬瑳衣子
白い耳鳴り坊さんたちのとほい酒盛/高柳重信
耳鳴りか若しやほうたる鳴けるかと/山中蛍火
耳鳴りの森がふくらむアイスティー/角谷憲武
耳鳴りのやうに湯が沸くシクラメン/竹沢スミ
螻蛄鳴くや我が耳鳴りと紛ふかに/小林富美子
俳句例:61句目~
梟されてもの憂きは断頭以後の長き耳鳴り/高柳重信
朝蒼き冬の渚の耳鳴りと告げていきなり近き唇/佐佐木幸綱