孤児に関連した俳句の例をまとめました。
孤児を含む俳句例
孤児の枕並べて夢凍る/寺田寅彦
鸚鵡孤児寒夕焼に舌染めて/渋谷道
孤児たちに清潔な夜の鰯雲/佐藤鬼房
雲は冬残留孤児の富士額/大木あまり
家遠しみそ萩つむは孤児か/幸田露伴
息白し残留孤児といふ老も/三嶋隆英
孤児院の一人にひとつ寒卵/本庄登志彦
孤児ねむる良夜の夢を握りしめ/穴井太
孤児達に真向よりの秋夕日/石橋辰之助
孤児の高さに洗面の鏡くもる/津田清子
孤児院の便所の庭や三十三才/内田百間
冬薔薇孤児賛美歌の他知らず/宮坂静生
孤児たりき今は夕焼二児の父/中島斌雄
孤児院に芒山ありあそぶ見ゆ/皆吉爽雨
孤児睡る月光の地靴にて過ぐ/中島斌男
聖夜にて給水塔鳴る孤児の家/沢木欣一
足長き孤児に蛙がのどでなく/川口重美
孤児たちに晩涼の鐘動き鳴る/友岡子郷
七夕竹孤児ら願ぎ事余白多し/平井さち子
孤児院の皿にはみ出るコッペパン/穴井太
俳句例:21句目~
孤児たちに映画くる日や燕の天/古沢太穂
真っ黒い太陽を描く孤児である/九堂夜想
麻薬街の内部撫で了る鼠の孤児/赤尾兜子
薔薇枸橘棘持ち孤児の成長期/八木三日女
孤児の瞳に吸殻せまる地は極寒/原田種茅
冬鵙に天あり孤児の提げしもの/加藤楸邨
飛行雲水渡る孤児まだ見えて/林田紀音夫
孤児園は長き隧道冴え返る/鍵和田ゆう子
つばめ帰る残留孤児は孤児のまま/相田勝子
ボスポラス海峡孤児のやうに未明/田中亜美
何がここにこの孤児を置く秋の風/加藤秋邨
凍蝶か指紋いちにち孤児と呼ばれ/川本洋栄
冬日宙見る見る孤児が煙草吸う/石橋辰之助
孤児ら遊び土手の枯草擦り切れし/津田清子
孤児の歯を抜いてついばむ青葡萄/沢木欣一
小春日の石に本読む孤児の午後/加藤知世子
春来るか孤児ら踊りの足つきなど/古沢太穂
満面に夜火事を見るや孤児二人/榎本冬一郎
孤児どもが群れて威をなす冬の園/小寺正三
蚊ぶくれに爪立て孤児ふてくされ/川口重美
俳句例:41句目~
見しりの孤児が殊に丈伸び帚草/平井さち子
隅だけが鳴るハモニカの孤児嚏/中村草田男
鰯雲も孤児のシャッポも夕焼けて/川口重美
花菜いちめん孤児に山彦野彦する/磯貝碧蹄館
孤児の癒え近しどんぐり踏みつぶし/西東三鬼
草城の死の以後は孤児山茶花見る/伊丹三樹彦
孤児わらうわらう冬河あるばかり/石橋辰之助
窓あけても翔ばぬ冬鳩孤児の園/鍵和田ゆう子
蝌蚪見れば孤児院思ふ性を棄てよ/中村草田男
被爆忌へその日の孤児が母として/下村ひろし
脚冷えて立ちて観ていし孤児の野球/鈴木六林男
孤児ら同じパン食ぶ墓域濃紫陽花/鍵和田ゆう子
孤児院跡に消えた歌追うピンクガラー/伊丹公子
牧師の手套まぶしく孤児のなでられる/川口重美
夜雪よごれ孤児ほおたいを巻きかえす/古沢太穂
孤児院のどこぞで鳩なく日本の雨季/平井さち子
親子電球涼やか孤児らすぐかたまる/平井さち子
孤児にはや異人のにほひ花サフラン/鍵和田ゆう子
友がトマト配して孤児の餉さみしからず/平井さち子