望むに関連した俳句の例をまとめました。
望むを含む俳句例
鳥葬を望む女の夏帽子/大西泰世
望むべし神の滝縦一文字/岸田稚
草臥て行手を望む柳哉/正岡子規
の血凍つ天草島を望む浜/杉本寛
補陀落や滝の聳ゆる波の上/春樹
花の丘聖観音が沖望む/村中至道
上川を望み空知を厭ふ秋/斎藤玄
姫島を望み陰陽石しぐれ/穴井太
六月の雪島山はソ連領/巌谷小波
知床の連山望み砕氷船/渡辺酔美
雄国沼望む峠やうつぼ草/石原栄子
海峡を望みてすする三平汁/源鬼彦
海峡を望み腹這ふ孕み馬/立花杏葉
淑気かな盃ほどの池望み/柳田芽衣
牧場を隔てゝ望む夏の山/野村泊月
雲望む如身じろがず枝蛭/篠崎霞山
斥候の故郷望む岡見かな/正岡子規
湖望む観音坂の初しぐれ/太田由紀
望みゐし扇子役へ年玉に/片岡我当
夏帽に白雲遠く望みけり/島田青峰
俳句例:21句目~
夏帽や故郷を望む舟の中/赤木格堂
むつ五郎鰭つよく雲望む/やしま季晴
練供養二つの塔を望み来し/青木月斗
桃を得て葡萄を望む患者哉/正岡子規
浜名湖や巽に望む小春富士/鈴木花蓑
望みごと言ふはたやすく暖かし/林翔
一画家の望みに叶ふ紙を漉く/森田峠
汗の馬馬具はずされて沖望む/源鬼彦
正月や望みの高き絵馬あふれ/林民子
風だけを望む夏服ゆゑに青/櫂未知子
夕雲を望む夏書の小窓かな/渡辺波空
大和路の望みの春も暮れにけり/智月
梅遠く望みて一路平かなり/島田青峰
筏の一語北暗ければ北望み/寺山修司
むさし野に筑波を望む尾花哉/正岡子規
冬晴や加須より望む遠筑波/市野沢弘子
古墳より古墳を望む大夏野/関口ふさの
子に託す一縷の望み紙を漉く/小川翠畝
身をもたげて湖上を望む籠枕/高田蝶衣
遠足の野を望み見て歓喜かな/島田青峰
俳句例:41句目~
米寿なほ生くる望みや初山河/大塚伊勢
望むべくなくも喜寿艶梅椿/深見けん二
高麗尽きて義州を望む春の雨/正岡子規
鳥渡り明日はと望む山夏野/河東碧梧桐
蝦夷人の望む渡りの帆十分/河東碧梧桐
まなかひに月山望む目貼り剥ぐ/鈴木英子
まんさくや多摩の横山望みつつ/小松鈴子
ビヤガーデン照明青き城望む/佐野まもる
奈良女高師望みし日はも冬外套/鈴木栄子
或る朝の背伸び望みの寒ごもり/河野南畦
梅雨の音高望みして寝ねられず/奈良文夫
煉炭熾す望みなき掌と思はねど/小林康治
白寿の嶺はるかに望む更衣/細見しゆこう
霜つよし一縷の望みまだ捨てず/相馬遷子
今日ばかり望みのままに子供の日/羽村野石
寒に臨む洋を望むに似たりけり/相生垣瓜人
晩年の子に望みかけ芋茎むく/三宮/美津子
軽ろき句を望みてならず団扇かな/尾崎迷堂
野分止んで夕日の富士を望みけり/寺田寅彦
昭和終りしてふサハリンの夏望む/山本つぼみ
俳句例:61句目~
蝶とぶや此世に望みないやうに/一茶/文化六年己巳
望むらくわれに一人の若き敵一壜の古きぶだうの酒を/高橋睦郎