踏み絵に関連した俳句の例をまとめました。
踏み絵を含む俳句例
踏絵の徒花影月影わが前に/原裕
鴎らの踏絵人造湖の着水/安達真弓
苗代の泥足はこぶ絵踏哉/正岡子規
春昼や踏絵に残る銀の色/中川宋淵
五月闇踏絵に人の足の跡/中村石秋
腰撓め踏絵見し腋汗走る/小林康治
母子草壁間のそれ踏絵かや/下村槐太
荊冠も目鼻も失せし踏絵板/岩崎眉乃
教皇の一の宝として踏絵/稲畑廣太郎
膝の子も母も顔なき踏絵かな/森田孟
ビルの影踏絵の如し冬の朝/落合冬至
竹落葉雲中に踏み絵馬堂へ/渡辺恭子
冷凍鞄に革命と踏絵憶う夏/赤尾兜子
踏絵見る夾竹桃を背の窓に/多田裕計
硯かと紛ふ踏絵の減り具合/山田純子
踏絵図の女の足の白さかな/鈴木鷹夫
紙踏絵涙のあともありぬべし/冨田和子
薄氷と踏絵と赤いハイヒール/水月りの
踏絵から先祖逃れて夫のあり/辻村麻乃
踏絵見し旅より崩れ月の雨/大岳水一路
俳句例:21句目~
踏絵なき世の霜柱ふみにけり/平田君代
金鳳華踏絵も光さびにけり/水原秋櫻子
雪降るや踏絵荊冠縛手図に/野見山朱鳥
扁平に干され踏み絵の村無音/伊丹公子
鳥わたるかつて踏絵の島の上/朝倉和江
太柱の蔭よりいでて踏絵かな/野村喜舟
岬に集る無言の提灯踏絵の町/金子兜太
晴るる日も崖に波濤や板踏絵/宮坂静生
梅咲くや少し踏絵の心地して/山中蛍火
ダリヤ咲く踏絵の残る郷土館/村松圭治
からかねの踏絵の端の光りをり/山本歩禅
ためさるるあうら冷たき踏絵かな/中勘助
深夜帰宅山茶花踏絵の如く踏み/楠本憲吉
足袋はかぬ天草をとめ踏絵かな/青木月斗
踏絵する誰も見てない姉の部屋/梅原昭男
踏絵ふまざれば獄門ふめば地獄/岩岡中正
罅はしりをりし踏絵の台なりし/京極杞陽
林道の処女雪踏絵のごとくあり/関森勝夫
数かぎりなき足過ぎし踏絵かな/吉田汀史
あたたかき日ざしに踏絵忘じをり/宇野芳子
俳句例:41句目~
いちまいの踏絵のイエス語らねど/山本歩禅
はんざきにせせらぐ谷の踏絵橋/小野せいや
乳飲児を抱きて踏みしといふ踏絵/山内山彦
使ひべりせぬ踏絵を貸してあげる/櫂未知子
踏絵てふことあり足を拭ひをり/金久美智子
手をついて踏絵舐めをりむらの奥/大屋達治
踏絵はや極暑にうすれかくれ耶蘇/玉城一香
寒き日の踏絵に差せばレモン色/佐野まもる
夏蝶のかなた踏絵をふみし日は/赤松けい子
身に入むや木目くぼみし踏絵板/小坂かしを
灼けし環礁踏絵の如く歩みゆく/岸本マチ子
踏絵見る遠き世もかく蓮枯れて/神尾久美子
はなばなを踏絵のごとく踏みゆけり/平井照敏
主のお顔なくなつてゐし踏絵かな/大森扶起子
消えかかる主となり給ふ踏絵かな/坂田美代子
男鹿なまはげ踏絵に勝る足跡なし/相原左義長
身にしむや踏絵のマリヤ頬ひかり/岡部六弥太
踏絵してキリストの眼のなくなりぬ/滝沢伊代次
抱かれたるイエスをさなき踏絵かな/加藤三七子
擦り減りし踏絵のびるぜんまりあさま/加舎逸子