季節に関連した俳句の例をまとめました。
季節を含む俳句例
山中の巨石の季節苔寒し/林翔
風や聖や蒼柏順順季節/阿部完市
睡い季節裸の空の紐探す/森田緑郎
心太売れゐて新しき季節/後藤立夫
魂祭人間の死は季節なく/斎藤空華
鳥雲に恋得て残る季節工/勝亦年男
水虫の季節長い文章はだめ/増山美島
この島に人来る季節竹夫人/岸本尚毅
編物の季節来ぬ食後の葡萄/内藤吐天
セルといふ短き季節愛すなり/上村占
三月は孔雀の季節三女生る/北野民夫
人妻の素足の季節硝子の家/鷹羽狩行
人許す季節木犀咲きはじめ/和田順子
季節とは柱に掛けし真菰笠/後藤夜半
秋高し雲に魚の棲む季節/佐藤勇奈男
芳香茶薔薇の季節にまだ遠く/高澤良一
どくだみの季節長しよ惚けし母/上林裕
初雪の季節の便りちらほらと/脇本柾木
仏桑花爆心に咲き喪の季節/下村ひろし
竹馬の季節次郎を憶ひ出す/佐野まもる
俳句例:21句目~
汗の季節梧桐の幹ひそりとす/友岡子郷
激怒する体温の渦バラの季節/佐藤鬼房
藤散つてより藤蔭のよき季節/福永耕二
農婦らに跣足の季節胡麻の花/西村公鳳
野馬追へ帰郷を急ぐ季節工/矢田鹿苑子
鱈うまき季節の越の海鳴れる/橋本花風
山椒の芽母に煮物の季節来る/古賀まり子
木々の間に季節ふりむき深む秋/高橋絹子
生きものに恋の季節の遠辛夷/篠田悌二郎
献花いま百合の季節や原爆碑/後藤比奈夫
白すぎる一日季節なき窓を拭く/吉川真実
あいまいな季節の流れ薔薇の園/矢島渚男
語尾少しあげて小鳥は恋の季節/清水径子
いんげんの季節の三色御飯かな/高澤良一
逢ふことの重要度いま螢の季節/鈴木栄子
うららかや恋の季節の動物園/波多野惇子
金木犀ふりむく季節来てをりぬ/森川光郎
叩くのは季節の音かわたし咲く/和田美代
季節いま雪見障子に花の保津/後藤比奈夫
季節ただしく大学祭の丘も紅葉/岸風三楼
俳句例:41句目~
季節労務に海渡る日の緑の羽根/大谷利彦
アフリカに蚤の季節といふがあり/嶋田峰生
花冷や茄子にトマトに季節なく/鈴木真砂女
つばくらや海は季節の紺まさり/佐野まもる
溶けてみどりの季節山川昂れり/柴田白葉女
恋猫の季節と云ふか黙らっしゃい/高澤良一
柿冷ゆるそんな季節となってをり/高澤良一
黄金を掘らねばならぬ地獄の季節/青木重治
東京の燈火したしむべき季節/久保田万太郎
小鳥らの季節血のいろ柿に出て/猪俣千代子
籐椅子や季節めぐりてきたりけり/京極杞陽
若草の饒舌手には「太陽の季節」/池月一陽子
萩幽しわたしの好きな季節となる/鈴木しづ子
狩られて桃の季節をはりぬ操車場の寂/竹中宏
毛虫の季節エレベーターに同性ばかり/岡本眸
季節は五月ひとことで切れ「幸に」/川崎展宏
過ぎ去りし汗の季節のなつかしく/波多野爽波
よごれが季節梅の純潔決意など/赤城さかえ句集