書庫に関連した俳句の例をまとめました。
書庫を含む俳句例
書庫の径菜畑の径二月尽/山口青邨
書庫裏はさびし風鈴草に雨/田村了咲
書庫守に夕風湧けり法師蝉/岩田昌寿
街桜書庫のあたりの灯らず/木村蕪城
書庫の戸に鼠返しや熊楠忌/中瀬喜陽
北窓を塞ぎぬ書庫も司書室も/森田峠
書庫寒し獄のごとしとふと思ふ/森田峠
半日を書庫に過ごせり寅彦忌/西畠/匙
窓四角のこして書庫の蔦紅葉/鮫島交子
遠蛙書庫の匂ひは父の匂ひ/櫛原希伊子
わが書庫の紙と契りし月日あり/星野半酔
肉体は死してびつしり書庫に夏/寺山修司
書庫守の茶碗からびて冬至かな/岩田昌寿
書庫出れば月夜なりけり西行忌/岩田昌寿
書庫の塵冬日親しくなりにけり/飯田蛇笏
新涼や芝生につづく書庫の障子/宮坂静生
書庫を守る鍵鳴り落葉乾き反る/木下夕爾
吾は書庫子らは車庫より煤払/松本津木雄
書庫までの十歩の秋の芝なりし/綾部仁喜
新樹冷ゆ子の書庫にある革命史/河合澄子
俳句例:21句目~
書庫暗し外は青葉の雨ながす/八幡城太郎
椅子を立つ音にも書庫の秋深し/山本歩禅
春愁やあてなくひらく己が書庫/新井英子
書庫までの小径木苺熟れてゐる/山口青邨
書庫にかへす詩書の天金麦の秋/木下夕爾
アリバイの無き書庫におり今日の月/森沢程
人容れて寒の静けさ書庫に満つ/渡邊千枝子
向日葵の背らこぞれり書庫の窓/山田みづえ
夜の書庫に『ユトリ口』返す雪明り/安住敦
名ばかりの書庫に万巻小鳥来る/深見けん二
書庫さむうふみ通ふより茶梅咲く/飯田蛇笏
書庫に羽毛ただよえり冬野を呼べり/渋谷道
書庫の裏温泉街が灯る散るさくら/木村蕪城
書庫瞑く春尽日の書魔あそぶ/竹下しづの女
木沓穿き花活け替ふる梅雨の書庫/宮武寒々
秋めくやとんぼうよぎる書庫の間/室生犀星
質すべき一語霜夜の書庫に入る/篠塚しげる
雁渡るおのれがつひの書庫いでゝ/岩田昌寿
書魔堰いて書庫の鉄扉が生む朧/竹下しづの女
書庫暗し若葉の窓のまぶしさに/竹下しづの女
俳句例:41句目~
紋のなき夏羽織被て書庫を守る/竹下しづの女
わが書庫をかまきり攀づる愛なき日/宮坂静生
桜の日書庫にまはりて冷めて来し/阿部みどり女
日々の足袋の穢しるし書庫を守る/竹下しづの女
モロッコ皮に金の背文字や書庫の冷え/早川典江
花日々にふくらみやまず書庫の窓/竹下しづの女
書庫瞑く書魔生るゝ春逝くなべに/竹下しづの女
書庫守に声なきラグビー玻璃戸走す/中村草田男
赫茶けし書魔におぼろの書庫燈る/竹下しづの女
風三楼忌はまたチエーホフ忌書庫点す/岩崎健一
書庫の窓つぎつぎにあくさくらかな/竹下しづの女
書庫瞑しゆうべおぼろの書魔あそぶ/竹下しづの女
書庫古りて書魔老ひて花散りやまず/竹下しづの女
書庫の書に落花吹雪き来しづかにも/竹下しづの女