軋むに関連した俳句の例をまとめました。
軋むを含む俳句例
町裏に都電の軋む飾売/藤木竹志
蚊喰鳥艀溜りの軋む音/皆川盤水
万緑に大吊橋の軋む音/山下美典
舫舟軋む潮来の花菖蒲/深山佳宏
冬銀河軋む扉を開け放つ/前田秀子
貝拾い石拾いわが骨軋む/吉川真実
浮桟橋軋む底より秋の声/野木民子
二階まで軋む階段遍路宿/塩野邦江
庭先に江の電軋む花八つ手/水原春郎
春の雪降る下宿屋の階軋む/対馬康子
梁の軋む音して夜のしばれ/田村了咲
流氷のモザイク軋む夕疾風/池森昭子
流氷の峨々たる下に海軋む/大立しづ
流氷の白き時間が軋むなり/倉田素香
初詣丹の橋軋む阿弥陀堂/遠藤アサ子
喜多院の回廊軋む花の冷え/島田ヤス
砂に寝て砂の軋むや秋日和/山口誓子
艫網のぎぎぎと軋む冬の朝/福田忍冬
鳥帰る浮き桟橋の軋む音/能田多佳子
藤椅子に二十世紀の音軋む/吉年虹二
俳句例:21句目~
軋む莢豆ステンレス流し台/品川鈴子
風葬や木の芽が軋む島の蔭/古館曹人
颱風の竹の軋むを耳に坐す/石川桂郎
宿坊の廊下軋むや春の宵/内田八重子
流氷哭き月下の港軋むなり/豊長みのる
うまや出て軋む太肉田掻馬/百合山羽公
炎昼に軋む二本の樹のごとし/大西泰世
廊どこか歪みて軋む流氷期/金箱戈止夫
行き交ひて浮橋軋む夕ざくら/犬塚幸子
冬の虫何かが軋むごとく鳴く/保坂伸秋
回廊の軋む音してつつじ燃ゆ/関ただお
夏至ゆうべ地軸の軋む音少し/和田悟朗
夜の底の流氷軋む音にこそ/米田双葉子
寄居虫売漁港に軋む音ばかり/窪田英治
大佐渡の軋む凩はじまれり/渡邊千枝子
身のどこか軋む音して麦の秋/廣瀬町子
薄氷のあの家この家軋む音/文挟夫佐恵
熊手華麗軋む人ごゑ夜の天に/石原八束
流氷の軋む港に灯もやらず/中戸川朝人
星月夜水車は夢を巻き軋む/佐々木幸子
俳句例:41句目~
身の軋むかすかな痛み単帯/つつみ真乃
夢に障子醒むれば軋む船の壁/田川飛旅子
子の椅子の二階に軋む夜長かな/内藤信子
絹糸の軋む着物をとく夜なべ/田坂かつみ
覚めをれば寒さのはてに軋む家/石塚友二
暑い夜のブランコ軋む基地の網/仲村阿莉
遠方より朋ありかみきり虫軋む/星野昌彦
鉾の灯にとほく手機の音軋む/つじ加代子
階少し軋むも月の奈良ホテル/水田むつみ
廃船のわづか軋むは凍らぬため/鈴木鷹夫
さすらいに似て固き椅子ひくく軋む/穴井太
羊歯軋む井戸まで森のかわいた径/久保純夫
萱草や柱状節理軋むごと/神尾季羊「日向」
ブランコ軋むため傷つく寒き駅裏も/赤尾兜子
らっきようを泣き軋むほど洗いけり/石川登志子
姫歩きそれでも軋む川床座敷/石河義介「恐山」
あたゝかや明治の腕車軋むとき/『定本石橋秀野句文集』