メモに関連した俳句の例をまとめました。
メモを含む俳句例
買初のメモ靴墨と神曲と/飛旅子
献立のメモに加へる菊膾/川口洋
買物のメモ克明に十二月/亀井幸子
用多き机のメモや日短か/吉屋信子
寒の入薬箱より母のメモ/宮田ヒロ
メモ記す御用始の製図板/作山和子
額の花妻に仕事のメモふたつ/石寒太
買ひ物のメモに埋りし古暦/蕪木啓子
裏紙に妻のメモ書き小正月/高澤良一
メモしたる年越患者回診す/松岡巨籟
メモ帖に八月盡の鉛筆書き/高澤良一
メモ書きのそれが絶筆古暦/小林牧羊
啓蟄やメモに埋まる農暦/岡村喜代子
夫丹念吾はメモほどに初日記/及川貞
美人画の顔にもメモや古暦/今井風狂子
メモをして一行目から事始/松本あや子
看護婦の手の甲にメモ弥生尽/橋本韶子
梟に托せしメモを思い出す/相原左義長
机上メモまだ白きまゝ三ケ日/吉屋信子
初暦メモに汚すはかまひなし/石川桂郎
俳句例:21句目~
子の残すメモに癌の字大西日/中村祐子
新涼の小箱に溜まる料理メモ/斎藤道子
メモばかり増え春昼の忘れもの/中村翠湖
メモ一つ消して師走の一と日暮れ/稲岡長
メモ帳に記した春が見当らぬ/津沢マサ子
メモ洩れの文字の如しよ麦飯は/栗林千津
二人だけのメモリー束ね冬薔薇/石川和子
夜長の灯片仮名多き講義メモ/白井小枝子
夫のメモ黄泉より届く曝書かな/中森文子
年用意メモ消しゆけば残る吾/入江知世子
数へ日やメモ一つ消し二つ足し/大橋敦子
更衣ポケットにある皺のメモ/武藤あい子
書き置きのメモにて開く冷蔵庫/右城暮石
柿添へし机のメモは子に残す/石田あき子
薬味皿の紙帯にメモ四月馬鹿/平井さち子
置き書きのメモにて開く冷蔵庫/右城暮石
黴の書のメモに父字の孔子の語/羽田岳水
逝く春や英詩一片メモに古り/小野恵美子
句帳へとメモより写す去年今年/阿波野青畝
メモにとりうれしきことの初電話/富安風生
俳句例:41句目~
伝言のメモ入れマフのポケットに/坊城中子
余寒日々メモにある用片づきゆく/星野立子
ほうこんな本が出たかとメモ始め/高澤良一
どの部屋もペンとメモおき紅葉忌/近藤節子
とばされしメモ又さらふ貝寄風に/稲畑汀子
夕立雲急ぎのメモは手のひらに/平井さち子
手のひらにメモするナース春の風邪/川島美好
メモに書く句句帳に書く句春惜む/後藤比奈夫
メモしつゝ早や四月よとひとりごと/星野立子
アネモネや留守を預かる料理メモ/麻植/悦子
わがメモをわれの読めざる四月馬鹿/児玉寛幸
桃冷えてます昼餉の卓に添へしメモ/三宅郁子
くちなしやひととの約はメモに書かず/鈴木栄子
メイストームと記せしメモの飛ばさるる/増田信子
メモやたら書いては失くす十二月/谿昭哉/『航跡』