黄砂に関連した俳句の例をまとめました。
黄砂を含む俳句例
岸壁に来し郵便車黄砂降る/白虹
大陸の果なき黄砂曇とも/稲畑汀子
次々に黄砂を拭ふ帰り水/川崎展宏
黄砂降る動哭の子の長睫/中野由美
黄砂降る水動かざる養池/内山/都
黄砂降る洋館なべて幻に/澤井洋子
鴬の声もかすむや黄砂降り/古賀新男
外国の黄砂造幣局に降る/竹中碧水史
戦没碑瓶の中まで黄砂降る/宇都宮靖
戦艦は海底にあり黄砂降る/大庭紫逢
故郷は海峡の果て黄砂降る/武内英子
黄砂来る黄旗滅びし黄土より/的野雄
黄砂降り籠にけばだつ白兎/横山房子
黄砂降る長城に立つ葬り終へ/杉本寛
黄砂来る胸に馬蹄のペンダント/高橋叶
雑音の多きラジオに黄砂降る/山内崇弘
三蔵の往きし黄砂の城に立つ/藤本三楽
赤い靴はいて亡命する黄砂/森田むつみ
荒川の犬と黄砂を浴びており/小高沙羅
黄砂降る沙翁の節の一くさり/筑紫磐井
俳句例:21句目~
宙吊りの愛在り海へ降る黄砂/寺井谷子
小惑星自転のうなり黄砂降る/我妻民雄
山頂のモラエス館に黄砂降る/藤江駿吉
風葬の地より届きし黄砂かな/平田君代
経本の耳のささくれ黄砂くる/重田忠雄
黄砂舞ふ孫子の生地魯か斎か/田中英子
黄砂降り遠望の海消えにけり/石田慶子
黄砂降るこの空の果戦禍あり/中村敏子
黄砂降る黒き瞳のかなしみに/野澤節子
ちはやぶる鳥居に迫る黄砂かな/五島高資
六甲も街もにびいろ黄砂来る/小川濤美子
叔父ふたり遺骨還らず黄砂降る/松下訓子
楊貴妃の骨の溶けゐる黄砂かな/渡辺重昭
遼太郎逝きてモンゴルより黄砂/柳澤一生
父に蹤き渡りし国の黄砂来る/佐藤喜代子
黄砂降る日も生まれつぐ無精卵/三沼画龍
肉食家族に黄砂は夜を流れおり/寺井谷子
黄砂ふる子の落書のボンネット/蔵本丈晶
遠き日の戦陣よりの黄砂降る/佐々木帯山
黄砂降る耶馬台国に卑弥呼在り/猿渡藜子
俳句例:41句目~
黄砂降る華北のいくさ夢にみる/筒木真一
売れ残る黄砂の宅地みどりの日/清水晴子
黄砂ふる遊びざかりの老夫婦/延原ユキエ
わが兄も黄砂となりて戻り来よ/緒方しま子
黄砂ふる日を曼荼羅にぬかづきぬ/吉田汀史
黄砂ふる朝より二杯目のコーヒー/足柄史子
黄砂降る海に消えゆく舳先かな/長嶋美年子
青春を斉すに似る黄砂が降る/竹下しづの女
我が生れし大陸よりの黄砂かな/服部たか子
父いまだひきずりしもの黄砂降る/斉藤久美子
死して灰黄砂まじりに翔ぶもよし/鳥居おさむ
うつむきてひた行く驢馬や黄砂降る/坪井澄郎
雲仙の火山灰もまじへて黄砂降る/築城百々平
電光ニユース消えて黄砂の街残る/中西徳太郎
黄砂降る身近かに死者の多き日は/今村ケサヱ