躯に関連した俳句の例をまとめました。
躯を含む俳句例
凍死の躯ちひさし籠の鳥/上村占
鶫旅立つ朧月夜の朧の躯/金子皆子
青嵐沐浴となす病躯なり/斎藤空華
本山の長き廊下に蛾の躯/関森勝夫
残躯寒し鋤焼亭の花八ツ手/橋本夢道
趺坐一躯花野半畳あれば足る/林昌華
百日の病躯包みし褞袍脱ぐ/景山筍吉
七月の病躯起すに縄のごと/下村槐太
五體投地の影さへや肥躯兜蟲/竹中宏
起重機の巨躯青空を圧しめぐる/篠原
勲章の重さ老躯の初明り/芥川龍之介
高陽炎老躯を支へ杖キラリ/香西照雄
躯こゝに命いづくの鯨かな/尾崎迷堂
つくづくと痩せたる病躯更衣/松本圭二
雪を来て恋の躯となりにけり/眞鍋呉夫
ねむたさの躯かしぐや通草棚/石川桂郎
雪しづり躯の母の帰り来し/安田千枝子
八月といふ巨躯の近々とあり/友岡子郷
厭世の柔かき躯をうらがへす/藤木清子
大寒にかまへて守る病躯かな/倉橋青村
俳句例:21句目~
米提げて躯に秋風を遊ばしむ/小林康治
小春日に犀の短躯を横たへぬ/高澤良一
湯浴みする病躯一片春あらし/伊東宏晃
春雪のゆたかに老躯との距り/品川鈴子
汝が家に躯はこべば無花果あり/岡井省二
老躯も痩躯をも蚊は選ばざる/相生垣瓜人
犬の躯が充ちし犬小屋落葉する/内藤吐天
百姓にまされる休躯野遊びす/榎本冬一郎
綿虫にふれんと宙に躯を泳がす/内藤吐天
菫濃し雲がねむくて躯を消せば/内藤吐天
躯いつぱい冬日にぬくみ牛細目/大熊輝一
青汐に虚無の水母ら躯を透けて/内藤吐天
高樹萌え短躯の逢引をちこちに/北野民夫
わが行くにどの寒木も躯を躱す/三橋鷹女
鬼遣りし声を老躯に収めけり/百合山羽公
一夜躯を河鹿徹りぬ瀬音すら/徳永山冬子
躯を高くして蟻がながめる砂糖壺/内藤吐天
とこしへの病躯なれども青き踏む/川端茅舎
党への票強まる病躯師走の投票へ/橋本夢道
老躯をも痩躯をも蚊は選ばざる/相生垣瓜人
俳句例:41句目~
菖蒲湯にしたしく老躯しづめあふ/石原舟月
ラグビーの花はタックル巨躯倒す/粟津松彩子
水母の躯ほのかにくもり芯見せず/久保田/博
ラグビーの巨躯いまもなほ息はずむ/山口誓子
春は来ぬあだのたのみの躯いたはり/林原耒井
孤独の勝利黒き秋衣に躯をつつめば/内藤吐天
ゴム毬のよう躯まるめて北風へ行く/山岡敬典
ゆるぎなくジヤケツ二十の躯をつつみ/丸山一実
頑躯汗すこやかあだをうたでやまじ/長谷川素逝
車窓吹雪長躯折りてねむりいとしむか/平井さち子
輪廻生死さもあれきみが病一躯霜ふれば霜にわがこころ灼く/山田あき