物音に関連した俳句の例をまとめました。
物音を含む俳句例
物音やさゆる柏の掌/才麿
紛るべき物音絶えて鉢叩/樗良
棺の中物音もなし菊日和/原裕
物音に敏く図太く寒鴉/池田啓三
物音のよく通る空烏瓜/高澤良一
雛まつる壁裏昼の物音す/桂信子
耳傾むく北風より遠き物音に/林火
物音の隣まぢかき夜寒哉/中川宋淵
初午や物音ひびく部屋の壁/桂信子
十二月八日の昼の物音す/高澤良一
夕暮の物音親し秋刀焼く/西村和子
花通草物音一つたてぬ村/高澤良一
耳袋とりて物音近きかも/高浜虚子
家中に物音のなき雛納め/西村和子
物音の死して往還油照り/青谷小枝
魂棚にとどく物音何々ぞ/大峯あきら
コホロギヤ物音絶エシ臺所/正岡子規
雨を吸ひ物音を吸ひ山新樹/高木晴子
万緑の底に物音なく牧場/畠中じゆん
雪中の物音にして紙の音/本庄登志彦
俳句例:21句目~
家ぬちの物音ばかり夜の秋/星野立子
既に妻の朝の物音空に凧/中村草田男
物音のしてゐる家や目借どき/岸田稚
物音のよく聞え来る秋の晴/山下美典
物音の絶えて雨来る花真菰/白石みや
物音のしない家です蕨煮る/沓名普子
物音は人にありけりおぼろ月/炭太祇
物音は人にはあらず柿落葉/岩田由美
百姓の咳まじる遠き物音に/中山純子
蜉蝣と物音絶えし夜を共に/吉年虹二
長き夜の物音きくや白拍子/正岡子規
しんしんと物音断ちし雪安居/桑田青虎
一人の淋しい物音立てている/住宅顕信
亀鳴くや物音絶えし坊泊り/藤田つとむ
家々の立つる物音ものの芽に/高澤良一
物音は一個にひとつ秋はじめ/藤田湘子
物音も雨月の裏戸出でずして/田中裕明
物音の階上へつつぬけ鴨の宿/大石悦子
夜の長く物音遠くなりにけり/高浜年尾
露けさに物音ありぬ寺修理/松本たかし
俳句例:41句目~
香の物音たてず噛む安居かな/森樵仙子
物音低く住みて片陰に光る蛇/平井さち子
物音のなき安らぎや梅雨世界/古賀まり子
秋の稿いずこにいても物音す/鈴木六林男
物音のかたりことりと秋の風/山田みづえ
茄子苗につひに物音なき村か/大峯あきら
物音をはばかり起きれば梅雨雀/高澤良一
物音を立てぬ向ひ家みそさざい/高澤良一
除夜の家ひとりの物音およがせて/渋谷道
物音におどろきやすく虫の夜/阿部みどり女
冬かすかなる物音を立てにけり/佐々木六戈
落葉のあと夜の物音のひそみをり/鷲谷七菜子