こめかみに関連した俳句の例をまとめました。
こめかみを含む俳句例
隣人の顳憂しや秋刀食ふ/波郷
こめかみは鱗のなごり稲光/秋月玄
こめかみに未完の稿と雁渡し/原裕
鉛筆買ふ街の蝉声こめかみに/中拓夫
こめかみに残る疲れや霜の華/岸田稚
銀漢や指鉄砲をこめかみに/栗本洋子
こめかみに焚火の音す正月空/中拓夫
こめかみに走る静脈菜種梅雨/各務八生
こめかみの肯ひゐたる田螺和/大橋敦子
こめかみで耐える鵜篝五つの闇/稲葉直
こめかみに人形町の薄暑かな/有馬朗人
夏帽子こめかみ深く旅出づる/澤木欣一
こめかみにのこる銃音牡丹鍋/木田千女
こめかみに母の梅干渇きいる/本多春峰
壺焼を食ふこめかみに怒濤音/鈴木鷹夫
猪喰うこめかみに罅はしらせて/河合凱夫
十月やこめかみさやに秋刀食ふ/石田波郷
清水飲むこめかみの脈感じつつ/岡部玄治
こめかみにいま毒きたるかき氷/佐藤晏行
こめかみに力を入れて鷹を待つ/遠山陽子
俳句例:21句目~
こめかみに水鉄砲をあてがひて/後藤夜半
こめかみに花野を通りきし湿り/長谷川双
こめかみの老斑かなし北斎忌/黒田桜の園
ごまめ噛むこめかみ奥歯父にあり/熊谷愛子
なまこ噛む音こめかみに伝はりて/高澤良一
ピカソの皿こめかみの汗森で乾く/国村久栄
こめかみの汗に対ひて駅また過ぐ/原田種茅
こめかみに風ひびかふを秋思とも/藤田湘子
こめかみに風のあつまる梅もどき/篠崎圭介
夕杉山こめかみへ来る蜘蛛はらう/赤尾兜子
干杏噛みこめかみ痛む秀野の忌/殿村莵絲子
こめかみ痛むまで隣席の茸匂ふ/殿村莵絲子
筆始めこめかみ酔ひてきたりけり/小林康治
こめかみに音叉の余韻花の冷え/熊坂てつを
飯を噛むこめかみ汗をはじきけり/西島麥南
こめかみのさびしく動く遅ざくら/山上樹実雄
こめかみが寝つかれずをり青葉木菟/平川翠扇
こめかみは水のさびしさくちづけよ/鎌倉佐弓
こめかみを機関車くろく突きぬける/藤木清子
こめかみに音のしろがね梨食ぶる/赤松けい子
俳句例:41句目~
こめかみの辺りしゃきっと冬立てり/高澤良一
こめかみに楊枝の御加持の水垂るる/大石悦子
こめかみに柝のひびきけり初芝居/片山由美子
こめかみに鬱のあつまる曼珠沙華/鍵和田ゆう子
こめかみがじいんと鳴つて涼徹す/飛鳥田れい無公
焼米を噛むこめかみの動く人は淋しき/安斎櫻カイ子
風死してこめかみに来る日の方位/深谷雄大「白瞑」