廃墟に関連した俳句の例をまとめました。
廃墟を含む俳句例
麦秋の中なるが悲し聖廃墟/秋櫻子
醜草も春草として萌ゆ廃墟/有働亨
雀の巣廃墟の天使享け給ふ/不破博
炎天は蒼し廃墟に貌よごれ/石原八束
とり返せぬ廃墟の廣さ鱗雲/津田清子
草の絮流離の果にある廃墟/井沢正江
蟻の列ドーム廃墟の裾にかな/静良夜
山静か廃墟に芥子の花二つ/今泉貞鳳
声呑むや廃墟夕焼剰すなし/小林康治
銀座銀河銀河銀座東京廃墟/三橋敏雄
廃墟にて赤き眸のある寒卵/石原八束
冬館訪ふ近道や廃墟の中/中村草田男
廃墟中瓦礫の抱く秋日影/深見けん二
黒揚羽廃墟の城の水汲み場/細見綾子
浦上へ高まる廃墟夏炎ゆる/石原八束
夕焼寒む廃墟灯るとび~に/岸風三楼
あはれこの廃墟にはやも天道虫/有働亨
人声をまね夏鴉廃墟守る/鍵和田ゆう子
一望の廃墟に似たり蓮の骨/渋谷のぼる
炭焼きし石組もまた廃墟たり/山口誓子
俳句例:21句目~
絮飛んで廃墟周辺秋ふかし/神尾久美子
涅槃風廃墟にできし砂の類/中村草田男
草萌になほ廃墟なる電車待つ/原田種茅
雲のかげ廃墟をかけり秋日刺す/中勘助
馬の宿廃墟となりし蝉しぐれ/石川保子
廃墟なりささやき降りて春の雨/有働亨
アマリゝス廃墟明るく穢なし/殿村菟絲子
バツタとび廃墟は海へ緑地なす/太田鴻村
外套重し廃墟の占める夜の位置/石原八束
天崩れ人は廃墟に時雨れたる/金箱戈止夫
夾竹桃の盛り廃墟が人集む/鍵和田ゆう子
炎昼や廃墟に文字のいのちあり/桂樟蹊子
聖蹟はすなはち廃墟雲の峰/久保田万太郎
胸には恋の廃墟ばかりで蚊喰鳥/楠本憲吉
菜種梅雨わたくしはひとつの廃墟/山本掌
銀行に廃墟のにほひ春の雪/鍵和田ゆう子
人のけはひ怖れ廃墟の月見草/鍵和田ゆう子
古ローマの廃墟の千草野猫棲み/小原菁々子
罌粟真赤廃墟の壁に咲くときも/稲垣きくの
湯ざめして廃墟の中に立つごとし/藺草慶子
俳句例:41句目~
廃墟浦上火の子の如く凧飛べり/野見山朱鳥
廃墟に梅雨首なき使徒の掌が祷る/津田清子
音がして生まれる廃墟梅雨の虹/高野ムツオ
みどりの時計の慰藉あり静かな廃墟/阪口涯子
凧揚ぐる廃墟の子等のなかをゆく/八木原祐計
廃墟の石段のぼる朝日が眉間で濡れ/伊丹公子
東京空襲アフガン廃墟ニューヨーク/大井恒行
廃墟という空き地に出ればみな和らぐ/金子兜太