秋刀に関連した俳句の例をまとめました。
秋刀を含む俳句例
隣人の顳憂しや秋刀食ふ/波郷
西行忌秋は月見による柱/秋刀
秋刀焼く煙の中の妻を見に/誓子
男あり晩き夕餉の秋刀焼く/寛彦
怖しや秋刀の剣洗ふ妻/辻田克巳
秋刀焼くや俎大師顕性寺/龍岡晋
秋刀焼き宝くじ焼く青焔/右城暮石
秋刀焼く匂の底へ日は落ちぬ/楸邨
銀の強き秋刀の並びけり/如月真菜
夕暮の物音親し秋刀焼く/西村和子
韓神の祭にささぐ青秋刀/佐野美智
山妻と旬の秋刀を二等分/高澤良一
黒潮のうねりて秋刀競る町に/青畝
怖ろしや秋刀の剣洗ふ妻/辻田克巳
秋刀来て腹筋台に足通す/和田幸司
秋刀焼く鰥に詩あり佗しとや/蓼汀
遠方の雲に暑を置き青さんま/龍太
十月や顳さやに秋刀食ふ/石田波郷
秋刀食ひ放題秋刀供養とよ/塩川昭子
旅の帰途夫待つ妻は秋刀買ふ/及川貞
俳句例:21句目~
妻と吾と旬の秋刀を二等分/高澤良一
膳の上に秋刀風吹く月明よ/大野林火
秋刀食ひ出世無縁の口拭ふ/福田蓼汀
老残の男の焦す秋刀かな/深川正一郎
町角に干網垂らす秋刀港/蓬田紀枝子
秋刀焼く匂ほのかに功山寺/梶原宇良
一悪に執し秋刀を焦しをり/小林康治
卓袱台と秋刀と低き電灯と/久野哲男
暗室の男のために秋刀焼く/黒田杏子
李氏の線惑ふ族の秋刀かも/石塚友二
水洟や秋刀にうすき骨のこる/四月草
江戸の空東京の空秋刀買ふ/攝津幸彦
貧厨といふ勿れ今さんま旬/川田長邦
秋刀焼く煙を逃げて机かな/石川桂郎
妻よ子よ黒焦げ秋刀食膳に/村山古郷
定食の皿はみ出して大秋刀/添野光子
秋刀焼く家を過ぎ先の家も焼く/直治
換気扇秋刀焼く煙早く吸へ/品川鈴子
新宅のまだ整はず秋刀焼く/鈴木花蓑
秋刀焼く香に踏む夜の鉋屑/木村蕪城
俳句例:41句目~
久々に青空を見し秋刀かな/岸本尚毅
青秋刀夕靄はわが丈とならず/松澤昭
晩年の妻直角に秋刀切る/加倉井秋を
飯熱く下ながらも秋刀かな/籾山柑子
長箸の炎振り消し秋刀焼く/亀井糸游
赤札に秋刀の口の尖りけり/堀之内和子
誰彼に及ばぬ才や秋刀焼く/石田あき子
船傾げ海ごと掬ふ秋刀かな/岡本日出男
膝の子のなみだ大粒秋刀食ふ/堀口星眠
秋刀喰ひ悲しみなきに似たりけり/空華
妻のごとし夕べ秋刀を買ひ戻り/樋笠文
星一粒秋刀やくため夕ベ来る/中村明子
星降るや秋刀の脂燃えたぎる/石橋秀野
秋刀食ふ卓袱台の脚落著かず/石倉啓補
七輪も遠くなりけり秋刀焼く/松本泰志
五十歳の神学校生秋刀焼く/山下知津子
東京に瓦斯火は赤し秋刀焼く/石川桂郎
秋刀焼く隣りに気兼ね立ち話/清田柳水
今に尚消壺存し秋刀焼く/宮城きよなみ
値札のみ上反り秋刀山積みに/香西照雄
俳句例:61句目~
働きし化粧のままに秋刀焼く/依光陽子
全長に回りたる火の秋刀かな/鷹羽狩行
秋刀焼き秋刀裏返し死を思ふ/小林康治
秋刀焼く煙まぶれに何言ふぞ/石塚友二
割箸を徐々に焦がして秋刀焼く/堀花江
秋刀焼く匂に針を仕舞ひけり/加藤芳子
秋刀一匹二匹三匹ぼくの空/磯貝碧蹄館
焼秋刀余生は十指折れば足る/乗本真澄
地酒よし秋刀の煙る店なれば/竹吉章太
夕星の光りそめたる秋刀買ふ/和田祥子
秋刀焼く独りの生活煙らせて/和田律子
秋刀焼くひそ~話沙禰たのし/河野静雲
秋刀焼くためとて残し炭団扇/石川桂郎
関東平野に雨が一粒秋刀焼く/清水哲男
秋刀喰ふ今年も妻と別れずに/福島壷春
鈴木寿一自作の皿に秋刀焼く/如月真菜
いつまでもいぶれる炭に秋刀焼く/刀水
秋刀には悲歌より直なつよき句を/雅人
配膳車秋刀の匂ひ配りくる/城木タネ女
さんま殿妻の悲嘆を句で申す/橋本夢道
俳句例:81句目~
産み月や秋刀の形ちに骨残す/椎橋清翠
尾頭に分けて二人に足る秋刀/尾亀清四郎
火の島や茫々秋刀よみがえれ/小泉八重子
火を花と火を滴りと秋刀焼く/上田五千石
火中なほ火を噴く秋刀沖荒るゝ/山崎秋穂
父の箸で秋刀の骨を寄せるなり/瀬間陽子
病むは癒ゆ秋刀の秋の到りけり/石川桂郎
私小説さておき秋刀焦がすかな/櫂未知子
秋刀の火吹き消すときの夕汽笛/水谷静眉
秋刀揚ぐ海の蒼さを零しつつ/鎌倉/博史
障子うつ蠅に日うとし秋刀焼く/西島麦南
秋刀焼くけぶりは妻を幸福に/榎本冬一郎
秋刀焼くはや鉄壁の妻の座に/五木田告水
秋刀焼くほどよき幸をけぶらせて/堀政尋
秋刀焼く戻りて子らよ家に食せ/石塚友二
秋刀焼く昨夜のバーが横戸開け/河野南畦
秋刀焼く煙の中で和服となる/加倉井秋を
秋刀焼く煙の逃ぐるところなき/菖蒲あや
秋刀焼く真上あかるき火星かな/仙田洋子
秋刀選り美貌を波の日に焼きぬ/古館曹人