病みに関連した俳句の例をまとめました。
病みを含む俳句例
青ぞら片目を病みて/橋本夢道
母病みて桜紅葉の遠き嶺/原裕
妻病みし曇日の子に蜆蝶/飴山實
一樹病み百も二百も雨蛙/穴井太
病み鴨を移す間の渋滞/大森十七
寒病みの火燵もほしや後の月/斜嶺
汗し病み馬肉煮る日の蹠/片山桃史
妻病みて目尻の乾く九月尽/穴井太
油蝉朝より水の病み始む/岡本高明
橙や病みて果せぬ旅一つ/石田波郷
夾竹桃戦後の病みな長し/石田波郷
病みて見るこの世美し露涼し/遷子
主病みたり漆黒の甘茶仏/小林昭子
哲人の相に人病み秋の暮/山田弘子
朝蛙夜蛙教師病みつづく/木村蕪城
病みて夫常より強き鉄線花/岡本眸
病みし鶴抱きし男通りけり/中島昴
老婆病み命を惜む田植季/相馬遷子
長病みの女の首や夏の萩/小林嘉子
鴬や春を病みける人の髯/小杉余子
俳句例:21句目~
病み漂う麻酔の一夜大雷雨/中島斌雄
病み臥せる視野に蝿虎けふも/安原葉
汗し病み黄天に背に撒水車/片山桃史
蠅叩一本持つて病みにけり/松藤夏山
病み痩せて帯の重さよ秋袷/杉田久女
八月を病みて鯨に会はざりき/林圭子
長病みの母云ふ骨も悴むと/渡辺恭子
母病みて夜毎を露や貝割菜/岡本庚子
鶴病みて梅散る頃や冴返る/正岡子規
馬追や母が病み居し裏座敷/佐藤国夫
土門拳病みても写す塔に雪/橋本榮治
周辺の黴や手病みし妻の髪/皆川白陀
花青木夫婦で病みて灯しがち/岡本眸
病みつつも更待月を枕辺に/村上白浪
病み坐る人や褞袍に顔嶮し/高浜虚子
病みし馬緑蔭深く曳きゆけり/澁谷道
嫁がずに病みて浴衣の胸うすき/昌治
寒昴病みてぞ正す仰臥の寝/駒木逸歩
七夕や男忘れて病み居たり/河野南畦
病みぬれば病とあそび籠枕/長谷川櫂
俳句例:41句目~
風鈴や父耳遠く病み給ふ/高田風人子
天牛や東京の月病みてをり/鈴木五鈴
父病みて火種のごとき唐辛子/上田操
椎の舎の主病みたり五月雨/子規句集
磯松に旅人病み居り冬の雁/野村泊月
病みて臥す子の枕辺に雪兎/薦田伸子
病み臥して観る体内の梅の花/斎藤玄
春二番三番友ら病みにけり/堀口星眠
晩蝉の雨のごとしよ父病みて/石嶌岳
書初の筆もおろさず病み籠る/寸七翁
万両や病み月の娘の薄化粧/高間礼子
白木槿碩学病みて我儘なり/高橋馬相
山茶花や病みつゝ思ふ金のこと/久女
鎌鼬われは静かに病み臥せる/石川桂郎
遠ざかるものに病みし日秋扇/皆吉爽雨
永病みのかくし涙を雛に見す/三好潤子
汗し病み春は襟章を目に愛す/片山桃史
身と心病みて脆きや室の花/加藤千枝子
汗し病み母よ黄天に風呂溢る/片山桃史
十夜会の癲癇病みに一さわぎ/河野静雲
俳句例:61句目~
蜜舐めて病み隠るるか桜桃忌/清水基吉
蜆汁病みても母を哭かすかに/小林康治
花菜漬通ひ妻また病みて来ず/石田波郷
埋火のごとく妻病み夜の雪/野見山朱鳥
芥子咲けば碧き空さへ病みぬべし/篠原
良妻か過労病み臥す木の芽どき/及川貞
舟に病みし身をうし窓の夕凉/松岡青蘿
夏菊や病み臥す若き貌ばかり/加畑吉男
脚を病みすっくと起てぬ花蓆/倍/憲一
馬病みにけり青岸渡寺をみる/阿部完市
外套重く不幸の末の足病みぬ/森川暁水
胸病みし父を偲べば籐寝椅子/今泉貞鳳
病みし蚕を見る電球を傾けて/今瀬剛一
病み果の凍手拭を遺しけり/千代田葛彦
あるじ我病みをり蚤にふえられて/林翔
楚秋亡く波郷は病みて秋の暮/加藤楸邨
病み臥すや梅雨の満月胸の上/結城昌治
奥利根の紅葉は早し病み還る/椎橋清翠
病み居れば婢妬さや更衣/阿部みどり女
妻も病み霜夜の足の寝て揃ふ/小林康治
俳句例:81句目~
美女病みて水族館の鱶に笑む/西東三鬼
病み臥して愛すにあまる冬薊/石川桂郎
美しき名を病みてをり花粉症/井上禄子
妻病みて旅つづくなり冬鴎/水原秋桜子
淋しさの一生病みつつ寒の雁/野澤節子
美しき五月の晴の日も病みて/日野草城
夕顔に病み臥す人と物語り/松本つや女
病み痩せて長き手足や走馬燈/石田波郷
妻病みて託す供養の針わづか/内山亜川
病みほほけて白湯のんでゐる/金井三郎
くひな笛ふく息ほそし老の病み/中勘助
母病みて一人にあまる根深汁/下田実花
空病みて川かなします花うつぎ/岡本眸
鶴引く日近し病み鶴落著かず/原三猿子
火恋し病みても父の酒欲りき/平賀扶人
秋雷や草の如くに人は病み/金箱戈止夫
餅春に小腹たてけりヒョウソ病み/史邦
小照の母へ病みをり秋立つ日/原田種茅
熱帯夜きのふ蛇みて妻病みし/斉藤夏風
食客の病みて秋立つ二階かな/尾崎紅葉