電話を使用した俳句

俳句例:101句目~

花芭蕉母の電話の祖母のこと/対馬康子

蝶の昼部屋の奥なる電話鳴る/高木餅花

見えてゐる島と電話や蝶の昼/小山白楢

訊きかへす梅雨の電話のなほ遠し/林翔

訛りつつ梅雨の海底経し電話/品川鈴子

誰が死ぞぎくりと電話秋の暮/草間時彦

鎌倉と話す電話や吹雪をり/池内たけし

降る落葉急ぐ電話が繋がらず/西岡正保

雪に明け学校焼けし電話くる/永井龍男

電話して土用の浪の様子聞く/高木晴子

初電話少し用事も述べにけり/白岩三郎

電話にて呼びあひ集ひ初稽古/京極高忠

電話より手紙待たるる紅芙蓉/西村和子

初電話母臨終のことをきく/多田香也子

初電話爺と婆になりました/赤坂芙美江

初電話猫がだんだん重くなる/隈元拓夫

電話ボックス冬の大三角形の中/今井聖

初電話言葉短かくあたゝかく/高木晴子

初電話阿蘇へと心動きつつ/深見けん二

初電話雪の精なる越なまり/浜谷牧東子

俳句例:121句目~

電話ボックス灯る颱風圏の中/池田秀水

電話不意誘ひも不意や五月晴/松尾緑富

娘の声の妻に似て来し初電話/嶋田一歩

電話後の瞼の厚み恵比寿かな/四ッ谷龍

電話早吾を待ちゐし医務始/五十嵐播水

山の日を讃へやまざる初電話/木村蕪城

露草や泣かれて暁の電話きる/仙田洋子

風邪引いて不参の電話月の客/宮武寒々

星より星へひかり糸曳く初電話/隈治人

鬼灯の鉢は電話の鳴るところ/広川里子

無事帰任せし夫よりの初電話/本郷桂子

病状を先づたしかめる初電話/猪野舟水

縁起よき男の子の声や初電話/水野千波

雪の降る佐渡ヶ島より初電話/北澤瑞史

面影や黄泉へかけたき初電話/伊原咲子

鳴る頃と思へば鳴りぬ初電話/山田弘子

けいちつや電話の奥に幼ごゑ/北村昭子

ぶら下げし電話が遠し砂日傘/松浦敬親

亡き祖母に電話の来たる星祭/河村静香

人日の声を聞きたく把る電話/斎藤道子

俳句例:141句目~

傾城に電話をかけん秋のくれ/正岡子規

出代りの友との電話楽しけれ/北里信子

年の内電話にとどく呱々の声/河田青嵐

初秋や寺の電話を借りて語る/永井龍男

夕薄暑電話で誤診わびにけり/佐藤斗星

夜の秋の電話へいそぐ壁鏡/稲垣きくの

夜の電話妻よりのもの天の川/藤崎久を

奥の湯の電話鳴りつぐ春炬燵/大島民郎

女よく笑ふ電話やつばくらめ/中村苑子

子の電話他人めく日や冬北斗/加藤節子

寝冷えして電話して来し男かな/皆吉司

幇間の汗の電話の辺にゐたり/細川加賀

朧夜の別れ来し地へまた電話/山田弘子

幼児語の電話了はりて汗滂沱/植木里水

数へ日や電話を龍太夫人より/伊藤敬子

新緑の寺の電話を借りにけり/増田龍雨

春寒く母へ用無き夕電話/鍵和田ゆう子

時差電話祭囃子も聞かせたく/山田弘子

時雨るるや電話に母の息遣ひ/角田周子

暑ければ用なき電話子の家へ/川崎俊子

俳句例:161句目~

楡に月細しと告ぐる電話かな/稲畑汀子

極月の詠歌きこゆる電話かな/宮武寒々

母家より起きよと電話秋出水/杉森干柿

河骨の咲きしを電話にて知らす/飴山實

泊船にかかる電話や春の昼/五十嵐播水

涼みゐし中の一人に電話来し/星野立子

淋しさは夜の電話の黒い光沢/住宅顕信

炉明りに馬の顔あり電話借る/木村蕪城

たらちねの声を聞かまく初電話/星野立子

ハネムーンプラン大詰め初電話/山田弘子

ヒマラヤは快晴と子の初電話/染谷佳之子

来よといふ嵯峨より電話春の雨/松尾静子

兎も角雪降るは降るはと初電話/岩井柳蛙

初電話ありそれよりの忙しさよ/星野立子

風邪声を詫びて御慶の電話かな/角川照子

切れさうで切れぬ電話の女正月/山川涛石

初電話すこし淋しと答へけり/今井つる女

鳴る電話救ひのごとし梅雨の夕/相馬遷子

初電話リアルタイムで来る画像/濱本紫陽

初電話二人が起ちて姉がきく/五十嵐播水

俳句例:181句目~

胎の子もすこやかといふ初電話/松村多美

花八つ手いつも電話は母より来/高橋悦男

初電話声が若いとほめられし/今井つる女

春一番電話の父の「いま成田」/辻美奈子

初電話嫁の里よりかかりけり/久保ともを

初電話子に新姓を名乗られて/秋月すが子

花衣ひきずりはなす電話かな/大橋櫻坡子

いま切れし電話の余韻蒲団干す/北上正枝

初電話親しき声のはづみ来し/天野佳津子

初電話鳴りをり吉か凶か知らず/村山古郷

落第を告ぐる電話はかかつて来ず/樋笠文

蝙蝠の日ぐれ泡だつ電話ボックス/穴井太

子機取れば介護課よりの初電話/伊藤白潮

思ひ出されて月の夜の電話受く/内田美紗

とっかかり要得ぬ電話文化の日/高澤良一

無事に年越せしと告ぐる初電話/吉田きみ

梅固し武器の如くに電話切る/赤松けい子

たまさかに電話が掛かる切山椒/今泉貞鳳

梅雨曇「卯波」に電話鳴りにけり/桂信子

春愁のかけずもがなの電話かな/西村和子