電話に関連した俳句の例をまとめました。
電話を含む俳句例
戦友へ電話八月十五日/林昌華
蜩や山荘よりの夕電話/坊城中子
芋嵐片耳ふさぎ電話せる/高道章
妹を電話で叱る暮の春/橋本榮治
列車いま全速妻へ初電話/有働亨
故郷の訛に戻り初電話/松本幸代
携帯の電話片手に野焼かな/神郡貢
全身で来ぬ電話待つ酔芙蓉/苗代碧
七草の電話の声の女の子/長谷川櫂
蝿叩片手に電話受けにけり/橋爪隆
初電話母の病状経過良/五十島典子
初電話簡潔にして父の情/近藤昌平
初電話幼き声の弾けくる/岡崎玲子
敬老の日の翌日に子の電話/鎌田勝
仏壇と電話の黒き簾かな/依光陽子
初電話暗峠を声往き来/鈴木六林男
夏の夜の淡路泊りの遠電話/塙きく
初電話父に代りて母となり/上野泰
春霙遠き電話の声浮沈/八牧美喜子
又かかる誘ひの電話寝正月/湯川雅
俳句例:21句目~
妻もまた安曇訛よ初電話/玉木春夫
啓蟄の鞄の中に電話鳴る/森田智子
旅先の電話短し鉄線花/古賀まり子
大股に電話が歩き日脚伸ぶ/有田文
黄落や電話ボックス醗酵し/穴井太
急患の蝮蛇血清問ふ電話/松岡巨籟
鳥の恋港の電話故障中/神戸由紀子
電話急鯨とれしと幾度も/新山武子
電話して一人静の風伝へ/北村典子
話多き自動電話や秋の雨/星野立子
新橋に居ると電話や花の果/依光陽子
交通の事故の電話や肌寒し/田所一滴
決断を迫る電話や天の川/五十嵐みい
残り蝉友の訃伝う電話来る/金子徳治
散る柳電話の順は離れて待つ/岡本眸
兄からの電話数分梅の花/正木ゆう子
冬空の鴉の無言電話かな/岩淵喜代子
思ひ出のごとき電話や養花天/日原傳
松虫や遠洲灘より電話来る/白石みや
初電話母に元気を貰ひけり/大上充子
俳句例:41句目~
松の下に自動電話や秋の雨/野村泊月
携帯の電話とどかぬ天の川/川島久子
末枯のお稲荷様の電話鳴る/岸本尚毅
月明の地球の裏の子へ電話/猪瀬松枝
初電話果して彼の声なりし/高浜年尾
その声の奥の賑はひ初電話/藤陵紫泡
ちちろ虫電話の向う側は朝/山田弘子
春眠の底の底より電話鳴る/三村純也
声に張りある父嬉し初電話/山田弘子
大声で齢問はれたり初電話/渡辺園江
ふる里に雪深きこと初電話/山田弘子
春寒の言葉うろうろ訃の電話/米谷孝
よき事の話みじかき初電話/肱岡恵子
啓蟄や地球の裏より電話くる/佐竹泰
明日会ふ人の電話や春の月/小川軽舟
単身の夫へ蟇鳴く夜の電話/川原博美
夕立に遅るるといふ電話かな/上村占
蛤のぱつと口開き電話鳴る/八木秋子
旧師には旧姓名乗り初電話/津幡龍峰
家籠る風邪の教師に電話くる/上村占
俳句例:61句目~
搭乗前の電話は鰯雲のこと/横山房子
ブラジルは日本の裏よ初電話/長尾修
異国より子の声大き初電話/加納花子
モスクワの遠くて近し初電話/仲澤昭
筆持たぬ盲ひの友の初電話/高橋利雄
総身で聴く孫からの初電話/古市絵未
縁談をまとめし声や初電話/広津幾代
三日はや訃報の届く初電話/村井杜子
翼持つ少女のこゑや初電話/杉山哲也
秋雨の新居はじめて電話鳴る/皆吉司
鳴りしきる電話の鈴の暑哉/正岡子規
遠き娘に叱言も少し初電話/稲畑汀子
帰省子の電話の相手母は知る/森田峠
白梅や禰宜の姿で電話かく/北野民夫
女正月電話の中に時計鳴る/中村明子
灯れる自動電話や明易き/五十嵐播水
飯場出来花野の中に電話鳴る/星野椿
電話鳴る度に心の師走かな/小川修平
電話鳴る大きな音や梅雨龍/星野立子
初電話ありぬ果して父の声/星野立子
俳句例:81句目~
一回の電話で集ふ芋煮会/笠原ひろむ
長火鉢の上に卓上電話かな/京極杞陽
遺言となりし電話の咳の声/関口祥子
妊りを告ぐる電話の爽かよ/安野良子
遥かより電話の声が月の友/山田弘子
誕生日朝寝も一理電話鳴る/河野南畦
湖畔より掛る電話の秋めける/星野椿
行く春を電話の糸の乱れ哉/正岡子規
螢の国よりありし夜の電話/星野立子
父の日の子よりの電話母が待つ/森啓子
もてあます酒の機嫌の初電話/白岩三郎
矢車や血を乞ふ電話八方に/石田あき子
短日や五時と約して電話切る/星野立子
ポケツトの底に届きし初電話/酒井秀次
石蕗の花島の電話のよく聞え/細川加賀
二番目といふ言ひ訳し初電話/谷口桂子
秋雨や出前違ひに電話貸す/永井東門居
黴さうな声が電話の向うより/岡田順子
紅梅の枝をくぐりて電話借る/西本一都
結初の娘が頬染むる電話あり/楠部南崖