悲し/かなしに関連した俳句の例をまとめました。
悲し/かなしを含む俳句例
悲しさに喰ふ秋の夕かな/几董
徒に凍る硯の水悲し/寺田寅彦
義仲の寝覚の山か月悲し/芭蕉
日の影の悲しく寒し発句塚/史邦
さや豆を手向て悲し後の月/去来
びいと啼く尻声悲し夜の鹿/芭蕉
蟲くひの鬼灯悲し魂祭/石井露月
菊つかむ雀悲しき嵐哉/正岡子規
花桶の鳴る音悲し夜半の霜/可南
月見して余り悲しき山の上/暁台
悲しさや釣の糸吹く秋の風/蕪村
秋の道一日悲しもみぢ谷/田上尼
人悲し命命鳥の巣に孵り/中勘助
夕月に深田の蛙聲悲し/正岡子規
夏悲し終夜衰へぬ灯を沖に/村田脩
兜虫鍬型振れど眼悲しき/内田園生
或時は心悲しうす竹婦人/小澤碧童
雪悲しいつ大仏の瓦葺き/松尾芭蕉
面白うてやがて悲しき鵜舟哉/芭蕉
風吹て悲しさうなり初烏/正岡子規
俳句例:21句目~
うつむけば面悲しむ薪能/小林泰子
白日の天地悲しむ虎落笛/相馬遷子
白峰の月くまなくて悲しけれ/青畝
麦秋の中なるが悲し聖廃墟/秋櫻子
年玉や古く悲しき親の恩/高橋睡郎
忍ぶこと慣るるは悲し冬桜/湯川雅
流燈の迅速なるは悲しかり/有働亨
歌書よりも軍書に悲し吉野山/支考
悲しくも美し松の秋時雨/鈴木花蓑
聲悲し鴉の腹に雪を吹く/正岡子規
運河悲し鉄道草の花盛り/川端茅舎
喜壽悲し母の齢の春昔/松根東洋城
都かな悲しき秋を大水見/正岡子規
鉦叩悲し淋しと今宵また/星野立子
月雲に隱れて悲し鹿の聲/正岡子規
秋悲し白菊の色に染む事/高井几董
雨そふて悲しさつるゝ砧かな/鳴鳳
秋の雨月に対して猶悲し/松岡青蘿
声悲しつむじまき行く礒千鳥/暁台
声悲し君葬る日の寒苦鳥/伊藤ゆめ
俳句例:41句目~
声悲し雪に幾日の寒苦鳥/伊藤松宇
羅や人悲します恋をして/鈴木真砂女
黒穂出て村八分とは悲しけれ/星野椿
鯨船われは舵とる悲しさよ/久米正雄
春星に悲しき楽の起りけり/江口竹亭
歳饉ゑて庄屋が門の菊悲し/寺田寅彦
日に悲し落葉ただよふ汐ざかひ/白雄
悲します一語秋風の傍観者/福田蓼汀
鴨鳴くや悲しき沼の話聞く/高濱年尾
悲しまむや墨子芹焼を見ても猶/芭蕉
柴漬の悲しき小ばかりかな/高浜虚子
かの秋の横浜沖を真悲しむ/三橋敏雄
寒月に悲しすぎたり両大師/正岡子規
秋風や歴史悲しきこと多し/嶋田一歩
鴬の啼く音悲しと夢に見し/尾崎紅葉
この山の悲しさ告げよ野老掘り/芭蕉
悪妻を持たぬ悲しさ漱石忌/磯崎啓三
枯蟷螂悲しきまでに眼澄み/中島郁子
秋風に折れて悲しき桑の杖/松尾芭蕉
鹿の秋牛の秋さへ悲しきを/正岡子規
俳句例:61句目~
秋はあはれ冬は悲しき月の雁/原石鼎
破芭蕉悲し悲しと風の中/竹田ひろし
寒月に悲し過ぎたり善光寺/正岡子規
手調子は悲しきものよ踊笠/高木晴子
悲しきはその恋歌や西行忌/下村梅子
妹を悲しませずに済む焚火/櫂未知子
盆花を流して鮎を悲します/石田勝彦
白鳥は悲しからんに黒鳥も/高屋窓秋
波荒れて悲しき星の別かな/野村泊月
白鳥は悲しからずや児捨川/柴原保佳
悲しくて闊達冬の未亡人/殿村菟絲子
早春の空嵌めて悲し切通し/楠本憲吉
生悲しとも愛しとも走馬燈/千原叡子
琵琶悲し一夜に寒き鬢の霜/正岡子規
折り持つや柳悲しき馬の上/会津八一
根切虫悲しき性を持て余し/矢倉澄子
猿の手のちぎれて悲し初嵐/正岡子規
悲しさやをがらの箸も大人なみ/惟然
悲しめば瀬も号泣す秋の暮/福田蓼汀
捨苗を天秤棒も悲しがる/百合山羽公
俳句例:81句目~
人の親の病悲しき師走かな/赤木格堂
今更に悲しき籠の雉子かな/正岡子規
羅や人悲します恋をして/鈴木真砂女
若草に嫩草の名の悲しけれ/田中菊坡
大鷲の鋭けれども悲しき眼/山田凡二
菊時はあきぞ悲しき明樽の/正岡子規
虹立つや狂女の唄ふ唄悲し/稲畑汀子
蟻が運ぶ塊悲し君が墓/長谷川零餘子
鉄線花硯池に三片真悲しや/今井竜蝦
学問に霧一粒の曇る悲しさ/赤尾兜子
雛よりも悲しき心流さばや/稲畑汀子
山椒怒り悲しむかたちなす/山本一雄
雪に穴を失ふて熊の聲悲し/正岡子規
雉の声あらはに悲し焼野原/正岡子規
流さるる浮巣に鳰の声悲し/正岡子規
巻々の歌仙に悲し寅彦忌/東洋城千句
啄木忌悲しきまでに遠き雲/斎藤空華
囮鴨雌をつゝきぬ悲しけれ/高野素十
雷殖ゆ公などは悲しからん/高野素十
塩坑へ蛇下りゆくとき悲し/安井浩司