いのちに関連した俳句の例をまとめました。
いのちを含む俳句例
寿身延詣での紅支垂/高澤良一
白馬會に賜はる酒の壽/筑紫磐井
きくの露受て硯のいのち哉/蕪村
寒月や翼の如くいのち去る/朱鳥
衰へしいのちを張れば冴返る/草城
春の光絵師のいのちの貝殻に/原裕
文月のひと日ひと日が寿/長谷川双
初嵐いのちまるめて雀飛ぶ/林昌華
黒蟻やいのちの列の一行詩/林昌華
啼く虫のいのちの冷や箪/中島月笠
新暦いのち授る如くあり/竹中弘明
白の触れ合ふいのち掌に/佐野/健
新涼のいのちしづかに蝶交む/蒼石
あかあかと麹のいのち冬隣/長谷川櫂
いのちみな死をば携ふ鵙の贄/林昌華
朝顔は命の中のいのちかな/正岡子規
蜩はいのちの初夜を啼くならむ/照敏
白のいのちの嵩を量り売る/佐野達枝
寒桜淡きいのちを宙に揺る/三宅一鳴
一匹の蜂いのちなが冬牡丹/山本歩禅
俳句例:21句目~
寒紅をさし甦るいのちかな/樋口葉子
切干やいのちの限り妻の恩/日野草城
白繭のいのちの韻を妣の国/白澤良子
高齢のいのち明りに虎が雨/矢吹湖光
蔦紅葉絡むいのちは衰へず/荻江寿友
面上の星はいのち火冬銀河/井沢正江
雪深し経をいのちの峠越え/中川宋淵
煮凝やいのち重しと呟くも/角川春樹
三寸の水を蜆のいのちかな/正岡子規
脳天まで貫くいのち冬景色/各務麗至
浪音にあらがふいのち鬚髯白く/篠原
萩薄秋を行脚のいのちにて/正岡子規
野分中いのち小さく浪の上/野澤節子
遠桜いのちの距離とおぼえけり/林翔
いのちかけて待ちゐし鰤や鰤来る/占
萍の杭に一日のいのちかな/正岡子規
いのち柔き簑虫の裡飛爆音/中島斌男
若き日は手紙もいのち桜貝/中嶋秀子
今生のいのち惜しめり山桜/木村敏男
恩光やいのち久しき葡萄文/和田悟朗
俳句例:41句目~
胎動のいのち謐かに海に俯す/三谷昭
水洟や指をいのちの陶作り/中島寿銭
緑雨いまいのちの音か後円墳/松本旭
渡る鐘花惜むとはいのち惜む/安住敦
単色の沖にいのちの蜃気楼/対馬康子
緑蔭にいのちいたはる膝そろへ/林翔
いのち綱たらむと弥陀の糸桜/林昌華
句に燃やすいのち尊し星祭/川村紫陽
餅筵一隅に白しいのち祝ぐ/村越化石
うすれゆく墨のいのちや蕨山/上村占
水中花開く一瞬こそいのち/藤陵紫泡
桟やいのちをからむつたかづら/芭蕉
壮年のいのちみづいろ月の中/石寒太
神無言風花無言いのちの赤/平井照敏
海女潜きいのちの気泡音も無し/林翔
石山の石をいのちの蔦紅葉/野澤節子
凍蝶のいのちの翳の漂へる/鈴木榮子
蟻地獄飼ふもいのちの寂寥や/斎藤空華
蝶に似て粹をいのちの水商賣/筑紫磐井
蛇岩に垂れ水光は夏のいのち/飯田龍太
俳句例:61句目~
一すぢの糸にもいのち機始/下村ひろし
一対はいのちのはじめ貝割菜/高崎武義
一攫の蜆の暗きいのち買ふ/秋元不死男
蕗味噌の苦み尊しいのちなが/野池玉代
一獲の蜆の暗きいのち買ふ/秋元不死男
落鮎の流れのままのいのちかな/山信夫
万の稚ひとつのいのち雪解水/石川文子
烏瓜いのち蔓よりひきちぎる/辻田克巳
いのちあるものを曳く蟻爆心地/長田等
点す火にいのちを懸くる恋螢/三好潤子
炎天といのちの間にもの置かず/斎藤玄
菊咲けりいのち僅かに傾けて/松下金鹿
新米を諸手で掬ひいのちかな/今成千代
修羅を経て余りしいのち寒土用/角直指
炎ゆる間がいのち女と唐辛子/三橋鷹女
いのちなが寿とぞ踊るなり/八木林之助
いのちなき落花の水に屯せる/鈴木貞雄
涼風やいのち競へる波頭/鍵和田ゆう子
冬の蝶飛んでいのちの証見す/井上春子
花三分睡りていのち継ぐ母に/黒田杏子
俳句例:81句目~
冬川といのちの間の滾ちけり/齋藤愼爾
冬滝に対ひ刻々いのち減る/後藤比奈夫
いのちなり露草の瑠璃蓼の紅/石田波郷
岩焦けていのちを奪ふ砦かな/横光利一
芥子赤し金をもていのち購ふか/瀧春一
芋の葉の露のいのちの漂へり/佐川広治
いのちまた燃ゆる色なり初明り/神蔵器
凩や人のいのちの消ゆるとき/山口青邨
いのちゆらぐ水をになひて金売/井上子
いのちより翳りゆくなり秋の水/斎藤玄
いのち一つわが掌に寒玉子/高橋淡路女
いのち一つ寒の瞳の中にあり/野澤節子
いのち今日うなぎ肝たべ虔めり/籏こと
臍の緒はむかしのいのち鏡餅/鈴木太郎
いのち延ぶ万灯籠に火を加へ/大野林火
いのち思ひをり新涼の青畳/古賀まり子
汝がいのちとりとめし今宵初蛙/瀧春一
枯山に禽啖ひいのちあらはにす/齋藤玄
秋風やいのちうつろふ心電図/飯田蛇笏
いのち軽し常夏の海かく真青/山本歩禅