俳句例:101句目~
朝顔に路地の日中の風ありぬ/行方克巳
鼠捕り朝顔市の路地に売る/児玉真知子
三伏の路地をふさぎて婆の葬/菖蒲あや
路地口を四条通のすゞみびと/後藤夜半
烏丸の路地の奥まで雪あかり/橋本榮治
朝顔も終りし路地の雨さみし/菖蒲あや
佃祭よそ者に路地行どまり/鈴木真砂女
路地口や祭床几のはや置かれ/近藤竹窓
路地出でし吾を凩の見逃さず/日置草崖
灯が一つ二つの路地の祭かな/信谷冬木
地車の怪我人路地へ抱へ込む/小島梅雨
塩鮭の切身の錆朱風の路地/柴田白葉女
梅を干す路地の酸味も山荘址/桂樟蹊子
声ゆれて路地を出てゆく金売り/工藤貞
樽神輿路地を圧して子供ごゑ/高澤良一
夏のれん風待港の路地深く/鈴木美代子
路地の天寒しオリオン翼缺く/大橋敦子
路地狭き理髪師に来る復活祭/有馬朗人
八尾びと路地先に据ふ涼み台/高澤良一
夏茱萸や車押しゆく路地の奥/田中英泉
俳句例:121句目~
夜明路地落書のごと生き残り/佐藤鬼房
大阪弁洩れ来る路地に春の月/茂里正治
太夫町揚屋町てふ路地おぼろ/徳永亜希
八重葎住めば都の路地曲がる/中村正幸
吉原の路地ぬけて行く十三夜/竹田小時
子が逝きて路地に綿虫充満す/太田依子
品川の路地の海風海苔を干す/井沢正江
子を背負ひ男路地出る秋の暮/菖蒲あや
櫛の歯の路地に迷はず一葉忌/小路紫峡
路地に生れ路地に育ちし祭髪/菖蒲あや
煉炭の灰ぶちまけて路地寒し/菖蒲あや
冬日和死者も生者も路地を抜け/穴井太
氷屋やひねもす路地の空車/島村元句集
寒く黒く人ら集まり路地の葬/菖蒲あや
路地に入る白き手甲の夏花売/山田夏子
汐留のしじみなつかし鼠路地/今泉貞鳳
寒柝に打ち癖のあり路地曲る/三木春美
寒行の一人路地より加はりぬ/三宅良子
盆灯籠ともし佃の路地に老ゆ/久保方子
小商ひ殖えし路地うら鳳仙花/中村苑子
俳句例:141句目~
路地どこもおなじ風吹く釣忍/木原すず
山梔子の香り流れし闇の路地/今泉貞鳳
島の路地十歩に尽きて白子干/宗/瑞志
冬深む島には坂の路地多き/島谷ときを
路地の日の格子戸に洩る事始/守谷順子
盆太鼓遠くきこゆる佃路地/藤武由美子
巣燕や路地より見ゆる小浜湾/斎藤朗笛
路地ごとに隅田川ある祭町/深川正一郎
沈丁や根岸の路地の石だたみ/藤岡筑邨
生姜市路地夕影となりにけり/酒井郁子
路地ごとに神田祭の子供かな/野村久雄
燕飛ぶ奈良町狭き路地ばかり/塩川雄三
路地ごとに手花火の子ら佃島/伊東宏晃
質屋の路地小走りに冬が来て/高澤良一
誰もゐない路地や高鳴く初鴉/今村征一
訪問の路地にいかなご煮る匂ひ/辻桂子
浅蜊売とび込み路地の朝起す/菖蒲あや
浜に路地ありて産声二十日月/佐藤鬼房
恋猫のうかがひ走り蜑の路地/行方克巳
蝶来たり路地の奥より産声す/菖蒲あや
俳句例:161句目~
蝋梅は和蝋の飛び花内子路地/伊丹公子
蜑の路地飼ふ鶯の鳴きにけり/笹目翠風
細き路地古き家並みの六道参/永川絢子
路地口に澁釜すわる漁の秋/下村ひろし
蜑の路地すでに夜深く猫の恋/行方克己
浦安の貝剥く路地の余寒かな/田中幹也
蘭蝶の聞こゆる路地の片時雨/今泉貞鳳
手花火や路地に子供の声弾む/平尾直子
松過ぎし路地の一灯溝照らし/菖蒲あや
路地口に餅つく臼に人だかり/丸橋静子
焼芋屋知り尽したる路地廻る/藤巻朋子
秋風や路地に葬りの一たむろ/菖蒲あや
熊を彫る古潭の路地や鳥渡る/前田時余
菜を干して干して路地暖かし/松浦靖子
鶏頭の炎を活けて路地住まひ/河野絹子
黒髪庵涼しや路地の奥まりに/石黒哲夫
かくれんぼ貝殻踏みて路地日永/今西郁子
この路地に子らの影欲し鳳仙花/稲田きみ
この路地を芙美子出てくる豆の花/辻桃子
こぼれ鰯砂にまみれて蜑の路地/中井湖山
俳句例:181句目~
しやぼん玉しばらく路地に沿ひ流る/良子
そらまめ剥く祭の路地の青物屋/野澤節子
つきだしの和布青しも路地の秋/石川桂郎
つばくらの夕空となり島の路地/行方克巳
でで虫や昨日も今日も路地に雨/菖蒲あや
どの路地に入りても秩父祭なる/宮田富昭
どの路地の行手にもある春の山/遠藤梧逸
どの路地も湖に通じて赤のまま/大石悦子
ひとり身に夜の深まりし水中花/菖蒲あや
ひと路地に子の溜りくる鱗雲/黒坂紫陽子
べい独楽や佃の路地の行き止り/宮下邦夫
一の灯も二の灯も点し雪の路地/永井龍男
一泊の避暑にも馴染み島の路地/山本紅園
二の酉へ患者の屋台路地急ぐ/古賀まり子
人夫癒ゆ路地に日の唄露の唄/古賀まり子
佃の子に路地は近道なづな咲く/保坂伸秋
佃島古りし路地なりゆきのした/大江耐女
八ツ手咲く今も昔も路地ぐらし/菖蒲あや
冬菊やここ本郷の路地づたひ/今井千鶴子
冬菜に塩ふつて輝く路地の日よ/菖蒲あや