恋うに関連した俳句の例をまとめました。
恋うを含む俳句例
海人を恋ふ人伝説磯竃/稲岡達子
女恋う自嘲悔恨春雨急/土師清二
恋ふ心悔ゆる心や置炬燵/上村占
更衣人恋ふ心あてもなく/竹田小時
山の宿瓜坊の鼻人恋ふる/二田紀子
人恋ふる歌に雪積む林檎の木/原裕
人を恋ふ色見つけたり桜貝/関雄峯
日曜の春昼なれば父恋ふる/齋藤玄
夫恋ふる詞のありし謡初/荒川優子
恋ふるゆゑ紫の丈を妻の墓/森澄雄
寒椿人恋ふて咲く館跡/篠田恵衣子
鶯や人遠ければ窓に恋ふ/飯田蛇笏
泡盛に島の恋うた日焼翁/大東晶子
見つつゐて都踊の昔恋ふ/奈良鹿郎
蕾はや人恋ふ都忘れかな/倉田絋文
北窓を開き故郷を恋う話/浦川哲子
細雪遠干潟かけ人恋ふも/小林康治
秋近し七夕恋ふる小傾城/正岡子規
牡丹園父恋ふほどの日和にて/原裕
月明の卯波は女恋ふ如し/保坂嶺明
俳句例:21句目~
花鳥を恋ふや娘のきそはじめ/元夢
母恋ふや一日春雪動乱す/小林康治
一管の笛に父恋ふ黄門祭/富永浄子
古簾吊りて昔の風を恋ふ/北垣宵一
黒猫を恋ふ白猫に梅月夜/矢島渚男
眼前の妻子を恋ふる天の川/高橋馬相
蟇は蟇人は人恋ふ夜なりけり/小澤實
夏日恋ふ人の心を知るも旅/高木晴子
世を恋うて人を恐るる余寒かな/鬼城
すみれ咲き一列に咲き本土恋ふ/原裕
父恋ふる我を包みて露時雨/高浜虚子
日短か牛舎の牛は人を恋ふ/福田蓼汀
落汐や月になほ恋ふ船の猫/飯田蛇笏
灯の色も人恋ふ色や地蔵盆/藤原文子
初扇転じたる目の花を恋ふ/菅原鬨也
兎唇に秋草噛んで恋うさぎ/鈴木栄子
初燕日田の古町恋うて来し/稲畑汀子
海底の貝が貝恋ふ稲光り/白田喜代子
友を恋う水薙鳥の低き日は/塩野谷仁
夏山恋う陰毛に白まじりても/見学玄
俳句例:41句目~
夕明り恋うて高きへ枯野虫/鈴木花蓑
海の夫を女恋ふなり走馬燈/羽部洞然
秋草の地平の雲をつまよ恋う/三谷昭
山鳩は山恋う胸をふくらます/三谷昭
恋猫の恋ふ声何もはばからず/原絹江
母恋ふを誰に憚る夜のちちろ/飛島蘭
恋う寒し鼻黒犬と生まれ来て/三谷昭
七谷の花たばこ人恋ふる色/巌谷小波
母恋ふる茂吉うたいし翁草/時田貞子
春愁に似て旅を恋ふ心かな/稲畑汀子
美穂女恋ふ卯月曇の三回忌/千原叡子
亡母恋ふや夜風の中の鳥威/皆川白陀
母の顔春蘭に重ね家郷恋ふ/原田孵子
人を恋ふ鹿に見られて札納/大島民郎
椿手に本土恋ふ子らわれを追ふ/原裕
日を恋ふて已に星ある霞かな/原石鼎
疎みいし母恋う夜明蓮の花/榎本愛子
人恋ふる刻を鰈の宙にあり/柿本多映
松葉蟹海恋ふ色に届きけり/田中美彦
冬稲妻髪の根にても人恋ふる/齋藤玄
俳句例:61句目~
初凪や生簀のが海を恋ふ/大竹多可志
前掛のははの膝恋ふ梅若忌/津幡龍峰
北を恋ふ鶴唳に雪俄かなり/徳留末雄
杖先や光の中のすみれ恋ふ/村越化石
千条の日矢の海恋ふ宝船/河本沙美子
木苺の花白ければ妻を恋ふ/河野南畦
国境に立てば故郷恋ふ冬茜/加藤一水
闇恋うて蟇の漂流始まれり/手塚美佐
国訛まねて母恋ふ茂吉の忌/新倉和子
恋ふるひと皆遥かなり桑苺/安達哲路
袷着て母より父を恋ふるかな/安住敦
誓子恋ふ芦屋の街の初景色/塩川雄三
昔恋ふこと許るされよ梅椿/高木晴子
辻堂の浜に父恋ふ松露かな/今泉貞鳳
防人の雲恋ふ歌や磯菜つむ/杉田久女
祖母を恋ふ匂ひ袋の古代裂/梅本悦子
妻恋ふも旅恋ふも薄霞かな/小林康治
雁渡し自ら捨てし教師恋ふ/茂里正治
石庭にしきり人恋ふ秋の聲/石川桂郎
麦秋の猫も人恋ふ産期かな/富田木歩
俳句例:81句目~
短日の犬忘られて人を恋ふ/吉屋信子
葛飾や氷沼の葦の日を恋ふる/巌谷小波
山降りてすぐ山を恋ふ十三夜/福田蓼汀
人と灯を恋うて戻るや野に遊び/森澄雄
落葉急堂守とても人を恋ふ/北見さとる
川水を恋ふとはあはれ螢烏賊/高野素十
茂吉忌や最上川恋ふ母は亡き/石渡穂子
若狭なるお水送りの神事恋ふ/京極昭子
十二月火の神恋うて火の用心/中山純子
花追ふは人恋ふること吉野山/戸恒東人
恋うて来し冬の池見ゆかけらほど/林翔
花びらの一つを恋ふる静電気/石田郷子
老海女の片肌脱ぎて海を恋ふ/竹中弘明
経師屋の恋ふは人妻紙風船/曽根富久恵
天牛や人恋ふる日は雨が降る/横尾孝子
湖昏れて月を恋うるや残る鴨/磯喜代子
灰皿に小さな焚火して人恋う/原子公平
糸尽きてなほ天上を恋ふる凧/鈴木貞雄
石庭の日を恋う鳩や初凪げる/富田潮児
竹植うや旅恋ふ心ひそめては/清水基吉