語りに関連した俳句の例をまとめました。
語りを含む俳句例
故郷も隣長屋か虫の声/其角
ひと年を語り尽すや女礼/☆風
翳にさへ語りかけたく春灯/林翔
院長が雪代山女語り出す/小池都
新内の泣き節語り菊膾/沢木欣一
天平の仏と語り日短/遠藤逍遥子
柚も柿も昔語りのついで哉/成美
湖底の村語り出す夜這星/石井保
くり返す語りの奥の青芭蕉/原和子
断崖も海も語り部沖縄忌/中村富子
新年の墨水語り其村吶る/正岡子規
雪催雀の語り聴いてをり/村越化石
炉語りや木一本に首一つ/羽部洞然
原爆忌語部語り尽せざる/原田輝子
傘に紅葉明りや語りゆく/籾山柑子
先生の星と語りし春の夜/菅原裕子
炎天や相語りゐる雲と雲/木下夕爾
友が恋語り得まじき秋袷/石塚友二
銀パリも昔語りの巴里祭/岸みよ子
万歳は語り部の里素通りに/杉本寛
俳句例:21句目~
語り継ぐ天草四郎むつ五郎/天谷敦
語り合ふ旅はや遠き秋灯/中村汀女
語り出す祭文は何宵の秋/夏目漱石
語りつつ片耳熱す春の霜/柿本多映
散りぬるを桜語りの流離譚/仁平勝
太白の語りそめたる初桜/山田弘子
縄文杉語り出したる列島譚/妹尾健
手袋の真白き道士語りだす/日原傅
子と遊び夫と語り妻の春/河野静雲
蚊の多寡を語りあふなる隣哉/風外
苦心譚笑顔で語り菊花展/士館千尋
花芒檜垣の嫗と語りけり/尾崎紅葉
寝語りも一枚毛布星流る/吉田鴻司
山吹の白には昔語りなし/後藤夜半
海苔採に昔語りを浦浪は/高澤良一
物売りと語り旅めく黍嵐/上山茂子
出る女代る女と語りけり/兼松平々
神の留守落語の語り爆発す/丸山道代
飢ゑし世を昔語りに夏炉守/太田光子
頼朝を問はず語りに初渡舟/山本うめ
俳句例:41句目~
暦売きのふの寒さ語りけり/白岩三郎
間語り桜蘂降るひと夜冷え/宮坂静生
中学生神語りおり雪積む藁/金子兜太
五月雨や人語り行く夜の辻/籾山庭後
身の上をさらりと語り心太/山田弘子
祈りを胸に語り伝へむ阪神忌/井上明
身にしみる昔語りや近松忌/老川敏彦
語り部は蛍袋に棲むという/伊藤典子
語り部は田毎の月の牛蛙/櫛原希伊子
語り部の祖を崇めて阿礼祭/佐藤史郎
語り行く眼に行手なる落椿/河野静雲
井戸端に雪語り居る朝日哉/正岡子規
語り継ぐ蜻蛉の空は二荒山/高柳重信
故郷の寒さを語り給へとよ/正岡子規
曾てなき端居語りの夜を得たり/青畝
石語り来るまで坐る木下闇/手島靖一
石垣は城の語り部新松子/村川与侑子
縁に腰して曝書の人と語り去る/篠原
新涼の人語りをり語りつぎ/永井龍男
湯煙の朧へだてゝ語りけり/島田青峰
俳句例:61句目~
語り傅へ謡ひ傅へて梅若忌/高濱虚子
夏椿さらりと貧を語りたる/竹内悦子
村の者来て夜語りや誘蛾燈/高野素十
語り伝へ謡ひ伝へて梅若忌/高濱虚子
涼風が昔語りをくりかへす/高木晴子
語りつゝ早三椀の雑煮かな/大谷句佛
松落葉東坡二客と語り過ぐ/丸林好翠
父が語りし高山祭まのあたり/大牧広
訥々と語り葡萄の花を指す/廣瀬直人
林この問はず語りの秋の声/鷹羽狩行
炉語りや五月八日の夜の情/飯田蛇笏
旅終へて旅を語りて秋惜む/稲畑汀子
短日の客語りつぎ座に通り/永井龍男
太棹の語りの人の単衣かな/安原楢子
旅語り黄菊もありて時移る/横光利一
稲妻や夜も語りゐる葦と沼/木下夕爾
昔語り縁をはなれて樗の実/田中裕明
語り部に食ひいる瞳原爆忌/細井泰子
春の日を奥山人と語りける/正岡子規
はるかなる月日語りて初桜/稲畑汀子
俳句例:81句目~
虫篝着火待つ間の昔語り/龍神悠紀子
虚子庵の椿も今は語り種/深見けん二
萬緑や先師語りて熱くゐる/中村明子
草虱野路の一日を語りたく/山田弘子
炉に語りつがれて遠野物語/田口秋光
秋袷よしなに河東語りけり/加藤郁乎
沙釣の川を隔てゝ語りけり/寺田寅彦
よき旅を語り雛に家居せる/稲畑汀子
山眠る神話の星が語りだし/宇咲冬男
女來よ初梦語りなぐさまん/正岡子規
短夜を語り明せし里言葉/稲畑廣太郎
田螺和小声語りの母は亡し/河野南畦
花柊もとより語り尽せざる/西村和子
春煖炉花に喩へて人語り/上田日差子
幾百の無言の語り部流灯会/岸田芳雄
床本を押しいたゞくや語り初/森田峠
生ひ立ちを語りて啜る心太/的場秀恭
春風や大樹の下の夢語り/広江八重桜
心底を語りて帰へる冬の空/前田普羅
昼寝覚死者と語りし顔拭ふ/細川加賀