本に関連した俳句の例をまとめました。
本を含む俳句例
淋しい寝る本がない/尾崎放哉
影印本伊勢物語桜坊/川崎展宏
謡本静にとぢぬ朝桜/田畑比古
子規所蔵本肉蒲団四海波/日原傳
ある本の海賊版や読初/山口青邨
春愁の親指深く本に入れ/日原傳
冬籠本は黄表紙人は鬚/正岡子規
本を売り心の隅に鎌鼬/赤尾兜子
風吹て本面白や土用干/正岡子規
雪代や国中によむ謡本/長谷川櫂
七夕の街に求めし星の本/上村占
懐に項羽本紀や義仲忌/松瀬青々
本売りて一盞さむし春燈下/楸邨
紅葉焚くことも心に本を読む/青邨
洋本の間にはさむ桜かな/正岡子規
本の塵本に舞ひ降る煤払/高澤良一
本の山くづれて遠き海に鮫/小澤實
本の山硯の海や冬こもり/正岡子規
春惜む指栞して本を手に/福田蓼汀
年玉やかち~山の本一ッ/松瀬青々
俳句例:21句目~
本を読む菜の花明り本にあり/青邨
本抜けば本棚に洞西日中/依光陽子
仏壇に浄瑠璃本の夜寒かな/針呆介
薫風や本を売りたる銭のかさ/百間
顔面に艶本のせて鮎の宿/今岡直孝
同じ本購ひゐしか桜桃忌/高澤良一
絹本の墨色浅し一蝶忌/黒田桜の園
夏の灯の鯨の本へ乱反射/高澤良一
愛読せし本見当らず受難節/錦織鞠
病床の浄瑠理本や春の宵/正岡子規
隙間無く本積む机百間忌/木場瑞子
玄界に本の栞の紅葉飛ぶ/福田蓼汀
煤払仕舞を書棚の愛蔵本/関森勝夫
鏡餅置き処なし本の山/田川飛旅子
部屋中の本を砦に十二月/野木桃花
冬の雨中年本を手に飾る/古館曹人
夕顔や本に挟みて置手紙/福田蓼汀
夜寒さの水鼻落ちん本ンの上/朱拙
手習本春雨けむる山里と/田中冬二
五月雨や虫落来る本の上/正岡子規
俳句例:41句目~
亡き人の本を預かり冬構へ/石寒太
人老いぬ巨燵を本の置處/正岡子規
あの本の毒まわりたる烏瓜/森田緑郎
うたゝねの本落しけり時鳥/正岡子規
本買ふは業にも似たり鰯雲/藤田湘子
本買へば表紙が匂ふ雪の暮/大野林火
本重ね年を重ねていつか死ぬ/桂信子
妻留守の燈火親しき料理本/工藤義夫
松とれし公民館に本返す/稗田富貴子
子は本を地面に開き愛鳥日/城所志門
枕もとに本積めばこれ宝船/丸谷才一
枯木道脇挾む本ぬくとかり/高澤良一
栞して本を眠らす夜の秋/片山由美子
たどり読む本も入学近き雨/原田種茅
梅雨深し本の表紙の草木染/有馬朗人
涼しさや新刊本も帯締めて/鈴木恭子
どこを開いても夕焼色の本/今瀬剛一
ひねもすを本に嵌りて霾や/五島高資
猟夫きて催眠術の本買へり/大石雄鬼
秋晴や紀の国屋まで本買ひに/大野清
俳句例:61句目~
立膝にこんにやく本や花筵/加藤郁乎
立読みの戻せし本や啄木忌/鈴木鷹夫
床本を押しいたゞくや語り初/森田峠
ゆふぐれと雪あかりとが本の上/篠原
紙深き子育ての本娘に送る/両角玲子
経本の糸のほつれや生身魂/江見甦虹
悔ばかり本の谷間に鏡餅/田川飛旅子
憂き一日菫の本を枕頭に/田川飛旅子
成人式終へ一冊の本を買ふ/岩崎健一
美しき本童話集日記買ふ/深川正一郎
背皮やや傷みし本や夏館/大峯あきら
芝若し本も手もふところに入れ/篠原
折本のお経拾ひし彼岸かな/野村喜舟
拾ひ来し樫の実一つ本の上/島田青峰
虫干の本見てくらす一日哉/正岡子規
蚊を打つや枕にしたる本のかさ/其角
衣更て本を売りけり庵の主/内田百間
五月雨や小き虫落つ本の上/正岡子規
読む本を其まゝ顔に昼寝哉/正岡子規
読初の本の大きな活字かな/細川加賀
俳句例:81句目~
日短き道にひらひぬ子供本/室生犀星
重ね着や嫁ぎし頃の料理本/前山豊子
全集の端本なれば遅き日に/田中裕明
長き夜の大方は反古棚の本/高澤良一
頭のみ日かげに入れて本を読む/篠原
鹿中に首たれてよむ本厚し/細谷源二
冬籠友来て本を持ちゆけり/田村了咲
春本を読みすて昼寝行々子/田中冬二
黴の本うづ高く積み欺かれ/萩原麦草
書痴われに本の神田の祭かな/浩山人
本の山また崩れたり猫の恋/鈴木鷹夫
本の背炭火あかりに立ちならぶ/篠原
刷り本の八百八町紙走る/福嶋千代子
黴払ふ手垢よごれの稽古本/越智条山
君ら漂着傷だらけの胸に本/河辺一葉
本を手に牛ひく人の紙衣哉/正岡子規
本を置く白い夾竹桃の揺れ/中河原祥
本を読む教室鵲の巣は近く/福田蓼汀
地球儀と本に座す猫寅彦忌/村田白峯
売る本の重さ冬日の中に佇つ/飴山實